シュウの秘策
シュウ達が、アジトに乗り込んできた。ボスはそう察していた。
「侵入者が来たな……」
「どうしますボス?」
「多分、護衛で雇われたギルドの連中ですよ。我々じゃあ勝てません……」
泣き言をいう部下を見て、ボスはため息を吐いて指示をした。
「商品を持ってこい。人質とすれば奴らも攻撃の手を緩めるはずだ」
「では、その隙に」
「ギルドの連中を殺せ。隙を作ればお前達でも勝てるだろ」
その後、部下が女生徒を無理矢理引っ張るように連れてきて、ボスに差し出した。女生徒を人質にしたボスは、マイクでアジト中にいる部下にこう告げた。
「ギルドの連中を中央部屋におびき寄せろ。そこで連中を始末する」
シュウ達は団員と戦っていたのだが、突如後ろを向いて逃げ始めたのだ。
「あー‼ 逃げるなコラー‼」
「待ちなさいフィアット‼」
逃げる団員を見て、フィアットは追いかけ、心配になったキャニーがその後を追いかけ始めた。だが、クリムは逃げる団員を見て少し疑問に思っていた。
「何か合図でもあったのですかね?」
「合図?」
「リセットワールドのボスからです。もしかして、奴らは私達が追ってくることを考えて、おびき寄せるつもりでは……」
クリムの話を聞き、タルトは少し考えてこう言った。
「奴らの跡を追おう。そこにボスがいるとしたら、行くしかないよな」
「……はい。でも、何かあった時の為にこっちも手段を考えましょう」
「大丈夫だクリム。俺には秘密兵器がある」
と、シュウはこう言いながら銃を構えた。
その後、逃げる団員を追いかけたシュウ達の目の前に、大きな部屋が現れた。先についていたキャニーとフィアットは、何故か立ち止まっている。
「無事か、二人とも‼」
突っ走る二人を不安していたタルトは、すぐにこう言ったが、二人は何も言わず目の前を見ていた。
「どうした二人とも?」
「敵がいないんです」
「どっかに隠れたと思うんですけど……」
「ようこそギルドの皆様。俺達のアジトへ」
その時、部屋の奥からボスの声が聞こえた。一斉に武器を構えたが、ボスが捕まえている女生徒を見て動きが止まった。
「あいつ……」
「攫った女生徒を人質にしてます」
「ご名答」
ボスが指パッチンをした後、それぞれ人質を連れた部下が姿を現した。
「クソ野郎‼」
フィアットが襲い掛かろうとしたのだが、タルトが止めた。
「止めるんだフィアット……お前が襲ったら、連中は女生徒達を始末するつもりだ」
「その通り。だが、彼女らは人身販売の商品だ。傷を付けたら値が下がる」
「人の命で商売をするな‼」
クリムが叫んだが、部下の一部が人質に武器を押し付けたため、後ろに下がった。
「世の中にはこういう物を望む連中がたくさんいる」
「だから、高い金で若い女性を売るんだな」
「ご名答ご名答。世の中はスケベが多くて困るな」
ボスは笑いながらこう言うと、シュウ達に向かってこう言った。
「こいつらに傷を付けたくなかったら、俺の言う事を聞け。まず、魔力を解け、そして武器を全て地面に捨てろ」
この言葉を聞き、クリム達は焦ったが、ボスの言う事を聞かなかったらどうなるか考え、それぞれの武器を捨てた。だが、シュウは銃をボスに見せてこう言った。
「武器を捨てるだけでいいのか? この中に弾が入ってるかもしれないのに」
「そうだな。お前の言うとおりだな」
ボスが考え始めると、シュウは天井を見ながらこう言った。
「今からこの銃に入ってる弾全部ぶっ放すよ。それから捨ててもいいだろ?」
「分かった。念には念を入れておこう」
その言葉を耳にし、シュウは少し笑った。そして、銃を天井に向けた。
「じゃあ行くぜ」
こう言うと、シュウは銃を天井に向けて撃ち始めた。部下やボスは察した。放った弾丸は天井に当たるだけだろうと。しかし、予想は外れることになった。突如天井から金属音が響き、部下の一人の右肩に命中したのだ。
「なっ!?」
「まだまだ行くぜー」
その後、シュウは何度も銃を天井に向けて撃った。撃った弾丸は天井のパイプに跳ね返り、下にいる部下に命中していったのだ。
「な……何だと……」
意外な展開を目の当たりにし、ボスは茫然としてしまった。
「さ、人質を離しなさい」
茫然としている隙に後ろに回ったクリムは、強烈な火炎魔法をボスに向かって放った。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
「助かりたかったら、大人しくするんだな」
と、タルトが倒れているボスに向かってこう言った。
その後、シュウ達は捕まっていた女学生を開放し、リセットワールドの連中を全員捕まえた。
「今回はあなた達に助けられました」
「いやー、天井のパイプを使って弾丸を跳ね返すなんて誰だって考えないよー」
「跳弾のテクニックの応用です」
シュウはキャニーとフィアットにこう説明していると、捕まっていた女生徒の群れがシュウを取り囲んだ。
「助けていただきありがとうございます‼」
「あの、名前は何て言うんですか?」
「どこのギルドに所属していますか? 会いに行きたいです‼」
「彼女はいますか!?」
女学生の質問攻めを喰らい、シュウは混乱し始めた。そんな中、クリムが女学生の群れの中に入り、シュウを助けてこう言った。
「止めなさい‼ 先輩が困ってるじゃないですか。それと、先輩と付き合ってるのは私なんですからね‼」
そう言うと、クリムはぼやきながらシュウを連れてタルトがいる車に戻って行った。
「大変だな、シュウは……」
「でもお義父様、これからが大変なのでは?」
クリムの言葉を聞き、タルトは次にある取り調べや書類の整理の作業があるという事を思い出した。
「ああ……そうだな」
と、頭を抱えてこう言った。




