女学生失踪事件
シュウやクリムがいる世界にも、一応学校というものが存在する。シュウはギルドに入るために中学で卒業した。一応シュウも学校を卒業しているのだ。
異世界にある学校だから日本とは違い、魔法の勉強もしているのだが、この世界の学校にも学校の怪談みたいなものがある。作者の話はこれで終わりにして、物語を始めます。
シェラールにある有名な学校の一つ、ユリバナ高等女学院。いわゆるお嬢様学校という奴だ。そこにいる女学生が、学校へ向かう通学路である噂話をしていた。
「ねぇ、またいなくなったんですってよ」
「本当に怖いですわねぇ」
「今週に入って二人目ですわ」
「一体誰がこんなことをしているのかしら?」
ユリバナ高等女学院では、その学校に通う学生が突如行方不明になるという事件が発生していた。目撃者によると、夜に犬の散歩をしていたら、悲鳴が聞こえてその場に向かったが、バックしかなかったという。そのバックの中をギルドの役人が調べて、ユリバナ高等女学院の生徒であると確認したのだ。
この事件はユリバナ高等女学院の校長や理事長も把握している。ギルドや警察には協力しているが、どちらもいい成果は上げていない。
「理事長……こうなった以上、彼らに頼むしかありませんね」
「ええ。そうですね」
と、会話をした後、理事長は電話を手にした。
数日後、バカップルはイチャイチャしながら朝食を食べていた。その光景を見ていた他の戦士は殺意を抱くことなく、普通に朝飯を食べていた。いつもこんな光景を見ていたせいで、次第に慣れて行ったからだ。
「ん? 誰からだ?」
クリムを抱きしめているシュウは、ポケットの中の携帯電話が鳴っていることに気付いた。手に取ってみると、タルトから連絡が入っていた。
「父さんからだ。ごめんクリム、ちょっと待ってくれ」
「はい。どうかしたんですかね?」
「聞いてみるよ」
通話ボタンを押し、シュウはタルトと話を始めた。
『シュウ、朝早くにすまん』
「大丈夫だよ。今朝ごはん食べてたところだし」
『そうか、実は……シュウとクリムちゃんに頼みたいことがあるんだ』
「何か厄介な依頼でも入ったの?」
『ああ……実はそうなんだ。こいつばかりはシュウとクリムちゃんの力を借りたいんだ』
「で、どんな事件なの?」
『ユリバナ高等女学院の女学生失踪事件についてだ』
この話を聞き、バカップルの目は真剣になった。この事件はすでにニュースで放映されて、全国で話題になっている。その為、バカップルの耳にもこの事件の事が届いている。
「女学院で護衛の依頼?」
『ああ。失踪した女学生を探し出すのは警察に任せ、我々は被害者をこれ以上出さないために護衛をする』
「了解。今依頼を受けてないから、すぐにでも行けるよ」
『そうか。すまないな……それじゃあ、すぐに迎えの者を来させる。詳しい話はそこでする』
「分かった」
その後、会話を終えたシュウはクリムの方を向き、支度をするぞと言った。クリムは急いで朝食を食べ、シュウと共に準備をしに部屋へ戻った。
数時間後、バカップルは迎えの車に乗り、シェラールへ向かっていた。車の中には、タルトとキャニーとフィアットが乗っていた。
「おいーっす。おっひさー」
「お久しぶりです」
「今回の依頼って、キャニーさんとフィアットさんと一緒ですか?」
「そうです」
「準備は出来てるようだな、乗ってくれ」
二人が車内に乗ると、車は動き出した。移動中、タルトは説明を始めた。
「これから私達はユリバナ高等女学院へ向かう。依頼内容は女学生の護衛、シュウとクリムちゃん、キャニーとフィアットが校内で護衛をし、私は周りに不審者がいないか捜査する」
「父さん一人で大丈夫?」
「心配するな。剣の戦いじゃあ負けた事がないんだ」
心配するシュウを見て、タルトは笑顔でこう答えた。シュウがホッとすると、突如口の中にお菓子が詰め込まれた。
「とにかく難しい話は終わりにして、甘いもんでも食いなよ‼」
フィアットが無理矢理シュウにお菓子を食べさせたのだ。キャニーはその光景を見て、ため息とともにこう言った。
「全く……緊張感ってものがないんだから……」
「そうですね……」
その時、クリムの口の中にもお菓子が詰め込まれた。呆れたキャニーはフィアットの頭を叩いてこう言った。
「止めなさいバカ。今度の事件は私達の母校が依頼者なんだから、少しは真面目にしなさい」
「そーおー?」
「特にあんたはいつも先生達を困らせてたじゃない」
「私にはそんな記憶はございません」
「嘘つけ‼ いつもテストで珍回答出しまくったり、炎の魔法の練習で校舎の一部を灰にしたり、地面魔法を失敗してグラウンドを真っ二つにしたり、校長先生の銅像の頭部分を斬り落としたのはどこのどちらさんでしたっけ?」
「キャニーじゃないのー?」
「あんたでしょうがアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
その後、キャニーは激しく叫びだし、フィアットはそれを茶化し始めた。その光景を見て、タルトはため息を吐いた。
「人選間違えた気がする……」




