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ストーカーの狙い

 翌日、シュウとクリムはマリネットとリビングにいた。紅茶を飲んでる中、クリムはマリネットにこう聞いた。


「すみません、いつからあのストーカーに狙われるようになったんですか?」


「半年前よ。最初は手紙であなたは必ず僕のものにする。待っててエンジェルって手紙を何通も送り付けるだけだったんだけど、その一ヶ月後からは剃刀の刃や錆びまみれの釘を送ってきたの」


「この時点で異常性が確認できるな……」


 シュウは呆れながら、マリネットのストーカーについて話を聞いていた。


「奴が姿を現したのは手紙を出してから三ヶ月後。テレビで私の家が紹介された時、少ない証拠で奴は私の家を特定したの。それから、奴は私の家の周りに出没するようになったの」


「そこから何か変化は?」


「変化……手紙は特定されてから送られてきてないし、それと同時に変な物も送られてきてないわ」


「そうですか……こうなると、奴は一体何の理由でマリネットさんを追い回しているか分かりませんね」


「愛してるからとか?」


「愛してるからストーキングするのだと思いました。ただ、愛してるという理由となると、何であなたを殺しにかかったのかが理解できません」


 クリムの話を聞き、シュウはある事を思い出してこう言った。


「前、昔の事件を特集する番組で流れてたけど、あるストーカーが愛していた女性を殺し、死体を腐らせないように細工して何年も部屋の中に置いていたって事件があったな」


「もしかして、奴も同じ理由でマリネットさんを狙っている可能性が」


「ああ。異常な連中の考えなんて分からないもんだ。実際にそれ以上にやばい事を考えている可能性がある」


 話を終え、バカップルはすぐにストーカー対策に動いた。マリネットの護衛はもちろん、別荘周辺にはクリムが水魔法で罠を張った。怪しい人物を見かければ、すぐに発動する仕組みになっている。


 護衛のやり方も昨日までと少し変えた。マリネットの護衛はクリムのみで、シュウは別荘の最上階からストーカーが来るのを警戒することにした。


「じゃ、俺は天井裏にいるよ」


「先輩、頑張ってください」


「ああ。クリムも頼んだぞ」


 シュウはクリムの額にキスをした後、ライフルなどの武器を構えて天井裏へ行った。シュウが去った後、クリムはマリネットの方を見てこう言った。


「さ、護衛を再開しますね」




 数時間後。時刻は13時頃。ストーカーが別の車に変えて別荘付近にやって来た。


「ぐぬぬぬぬ……僕の計画を邪魔しようとしているな……」


 ストーカーは周囲にあるクリムが仕掛けた罠の魔法をよけながら、車を移動させていた。そんな中、突如タイヤの方から破裂するような音が聞こえた。


「パンクか?」


 そう思い、ストーカーは車から降りてタイヤを確認した。


「嘘だろ、レンタル料の他にも金がとられる……」


 その直後、ストーカーの足元に銃弾が撃ち込まれた。ストーカーは情けない悲鳴を上げ、その場に倒れた。


「な……何だ何だ!?」


 慌てながら、車内にあるボウガンを持ってストーカーはこの場から逃げて行った。シュウが遠く離れた天井裏からライフル弾を撃ったことも知らず、ストーカーは恐怖で体を震えさせながら、時間が過ぎるのを待った。心の中で、時間が過ぎれば大丈夫だと思っているからだ。


 それから二時間後、クリムの罠の魔法が消えかかってるのを察したストーカーは、身を隠しながら徐々に別荘に近付こうとしていた。そのおかげか、弾丸が撃ち込まれることはなかった。


「こんな移動じゃ、日が暮れてしまう……」


 地道に移動することを嫌がるストーカーは、周囲を見てあることを思いついた。


 こっちから来るのではなく、相手の方から来させればいいのだと。




 別荘の中にいるクリムは、自分が仕掛けた罠がそろそろ消えると思っていた。


「すみません。先輩に連絡をして護衛を変えてもらいます」


「ええ、いいわよ」


 その後、クリムは携帯をとってシュウに連絡をしようとした。その時であった。突如、カツンと何かが刺さる音がしたのだ。鳥か何かが当たったんだろうと思ったが、もう一度その音が聞こえた。天井裏にいるシュウにも、その音は聞こえていた。しかし、外を見回してもあのストーカーの姿は見えなかった。


「あいつ、一体どこに……」


 望遠鏡で外を見回すと、建物の死角になるような場所でストーカーを見つけた。手には火が付いたボウガンが握られていた。それを見て、シュウは急いで下に行こうとした。扉を開けたその時、黒い煙が入って来た。


「グッ、もう火の手が回りだしたか……」


 シュウは急いでクリムの元へ行き、水の魔法で火を消すように頼もうと考えていた。急いで階段を降り、シュウは無事にクリム達と合流した。


「大丈夫かクリム? マリネットさん?」


「ええ。何とか大丈夫です」


「あのストーカー、何らかの方法でこの別荘を放火しようとしています」


「外に奴がいた。火が付いたボウガンを持ってた」


「……もしかして、別荘を燃やして外に避難した時、そこを狙うつもりですね」


 クリムの言葉を聞き、マリネットは少し震えてこう言った。


「じゃあ……ここにいるつもり?」


「はい。大丈夫です。煙を吸えないようにバリアを張りますので」


 そう言うと、クリムは周囲にバリアを張った。バリアを叩いて頑丈さを確認したマリネットは、安堵した表情を見せた。


「これで安心ね……」


「この程度の火なら別荘についている火災報知器で消せます。しばらく待ちましょう」


 その後、シュウ達は火災報知機で火の手が消えるのを待った。

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