戦いが終わる時、しばしの別れの時
リナサは普通の魔法使いの家族として生まれた少女である。だが、リナサは生まれてからすぐに光と闇の魔法を扱う事が判明する。しかし、その家族はかなり高度な魔法である光と闇を難なく扱うリナサを見て、かなり驚いていた。
そんなある日、リナサの両親が不意な事故で命を落としてしまう。それからリナサは親戚に預けられることになったが、普通の魔法使いではないリナサを見て親戚一同はリナサを変な目で見るようになった。学校へ行っても、他の子と同じように自然魔法を扱う事が出来ず、周りから変人だとかおかしい子とか言われるようになった。
孤独な日が続く中、ついに終わりの時が来た。リナサの話を聞いたタルトがギルドに来ないかとスカウトしに来たのだ。タルトはリナサを立派な戦士にすると言い、親戚一同を納得させた。まぁ、親戚一同は変な魔法使いであるリナサをさっさとよそへ行かしたいと思っていたためタルトの案にすぐ賛成したが。
その後、リナサはタルトの指示の下、立派な戦士となりました。
話を聞き、クリムは思った。少し自分の生い立ちと似ていると。
「どうかしたの? クリムお姉ちゃん」
「お……おね……」
お姉ちゃんと言われたことがないため、クリムは少しにやけ顔になった。
「クリムちゃん、にやけるのはいいけれど、今は仕事中だよ」
タルトが武器を持ってその場に立ち止まった。言葉を聞いてクリムは我に戻り、周囲を見回した。
「敵がいますね」
「ああ。魔力を感じるから、多分魔法使いだな」
シュウは左手に拳銃を持ち、クリムにこう言った。そんな中、リナサは周囲に闇の魔法を放った。
「何をするんだ?」
「敵意を感じる敵に攻撃をする闇魔法を使ってるの」
その時、ギャアと悲鳴が聞こえた。リナサは魔法を解き、タルトが先頭となって四人は悲鳴が聞こえた方へ走って行った。
「そこにいるな!?」
剣を持ったタルトが、下に落ちている男にこう言った。
「ぐぅ……なんだ今のは?」
「教えない」
リナサはこう返事をすると、男は舌打ちをしてリナサに向けて銃を構えた。しかし、シュウがすぐに銃を撃ち、男が持つ銃を打ち落とした。
「……ハッ‼ 銃は一つだけじゃないぜ、最強ガンマスターのダガン様を舐めるなよ‼」
ダガンは上着を脱ぎ、無数にある拳銃をシュウ達に見せた。しかし、無数の拳銃を確認したクリムが火の魔法を破裂させ、ダガンを攻撃した。
「この位の爆発なら、あなたの持ってる銃は全てダメになりましたね」
「……残念だったな、手はまだあるさ」
そう言って、ダガンは右手を銃のような形にし、指先に魔力を溜め始めた。
「魔力を弾丸にして放つつもりか」
「ご名答‼ 答えが分かったご褒美に貴様から始末してやるぜ‼」
ダガンは指先をタルトに向けたのだが、タルトが素早い居合抜きでダガンの右手を斬りつけた。攻撃を
受けたせいか、指先に溜まっていた魔力は消えてしまった。
「ぐぅっ……早い……」
「君が遅いだけだよ……」
タルトは呆れてため息を吐いた。だが、今度は左手を前に着きだした。
「右手がダメなら左手でやるつもりですね」
クリムは水の魔法を発し、ダガンの左腕全体をびしょびしょに濡らした。
「何するんだ!?」
「見てれば分かりますよー」
ダガンにこう答えると、クリムは水の温度を操って凍らせ始めた。それを見て、ダガンは慌てながら左手に付着した水を右手で払おうとした。しかし、右手にも水が付着したせいで、右手も凍り始めた。
「そんな……これじゃあ……」
「さーて、一気に行くぞクリム」
「はい‼ あいつにとどめを刺しましょう‼」
シュウは銃を持ち、クリムはさらに魔力を解放させたが、リナサが前に立ってこう言った。
「ここは私に任せて」
二人はリナサの言葉を聞き、攻撃の構えを解いた。
「何をするんだ……」
目をつぶった魔力を開放するリナサを見て、ダガンは怯えていた。ダガンはリナサをただの子供だと思っていた。しかし、彼女から感じる魔力は並大抵の魔法使いよりも強かったのだ。
「そんな……ただの魔法使いじゃないのかよ……」
「よく言われる。私は普通の魔法使いじゃないねって」
その直後、ダガンの足元から光が炸裂し、ダガンを空高く吹き飛ばした。
数時間後、逃げた四人を連れ戻した戦士達は、ハリアの村のギルドに戻っていた。
「皆無事のようだな」
「あんな奴らに負けるようじゃ、エイトガーディアンの名が泣くんでね」
スネックは欠伸をしながらこう言うと、一足先に車の中に乗り込んでこう言った。
「先に寝てる」
「分かった分かった。少し寝てろ」
その後、タルト達は捕らえた四人を引き連れ、車の中に乗り込んだ。
「それじゃあなシュウ。何かあったら連絡してくれ。もしかしたら、また厄介な仕事が入ったら手伝いを頼むと思うけど」
その言葉を聞き、他の戦士達はざわつき始めた。
「エイトガーディアンの手伝いだって!?」
「シュウも偉く成長したな。もしかしたら、またエイトガーディアンが来るかもしれないぜ」
「このギルドも有名になるかもな」
その言葉を聞き、ジャックは静かにしろと一喝した。そんな中、ナギが身を乗り出してシュウトラックを呼んだ。
「二人とも、よかったら連絡先を教えて‼ 私の連絡先、このメモに書いてありますので」
この瞬間、シュウとラックのファンの子達がそのメモを奪い取り、塵にしてしまった。
「ああああああああああああああああ‼ 私の連絡先がァァァァァァァ‼」
「ラックさんはともかく、先輩は私の彼氏なので」
と、クリムは黒いオーラを発しながらナギを睨んだ。そんなクリムを無視し、リナサは自分の連絡先が書いてあるメモをシュウに渡した。
「これ、私の連絡先。クリムお姉ちゃんにも伝えてあげて」
「ああ。分かった」
数分後、タルト達を乗せた車は動き出した。
「じゃあなシュウ。また会おう」
「ああ。いつでも待ってるよ、父さん」
シュウは手を振りながら、タルトを見送った。車が去った後、クリムはシュウにこう聞いた。
「お義父さんが帰って、寂しいですか?」
質問を聞いたシュウは、首を振ってこう答えた。
「少しな。でも、今はクリムがいるから大丈夫だよ」
「先輩……」
クリムはそう言って、シュウに抱き着いた。




