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シュウの同期

 ハリアの村から離れたシャーンの町。ここはハリアの村より広く、それなりにビルや公園も存在する。ただ、一部のバカップルが夜中の公園でイチャイチャしているという。


 この日の夜も、あるバカップルが町の公園でイチャイチャしていた。


「あっはーん。もう我慢できなーい」


 女性が、上で覆いかぶさるように抱き着いている男性の首筋を舐め、甘えた声でこう言った。


「周りに人は……いないよな。外でやるってのもなんだかドキドキして興奮するな」


「外でイチャイチャするのも、たまにはいいわね」


「さぁ、始めようぜ」


 男はこう言ったが、女性が何かを見て目と口を広げていた。


「ん? どうし……」


 この直後、二人の後ろにいた謎の人物が、手にしている鈍器で男を殴った。女性は悲鳴を上げて逃げようとしたが、気を失った男が邪魔で動けなかった。その結果、女性も鈍器で殴られた。




「はえぇ……悲惨なニュースですねー」


 ギルドの食堂で、ニュースを見ていたクリムがこう言った。今流れているニュースは、シャーンの町の公園で男性と女性が何者かに襲われ、大怪我を負ったニュースである。


「これで5件目だな。シャーンの町ってあんまり事件が起きないんだけどな……」


 シュウは牛乳を飲んでこう言った。


「前の事件も確か夜中に起きましたよね。同一犯かもしれませんね」


「ああ。まぁ、嫉妬でやってると思うんだけどな」


「ですねぇ。嫉妬で殴られたバカップルが可哀そうですよ」


 そんな話をしていると、ジャックがシュウに話しかけてきた。


「シュウ、そろそろあの二人が帰ってくるぞ」


「そうですか。確か依頼解決が一週間ぐらいかかるかもって言ってたけど……」


「予定より早く終わらせたようだ。なんだか予想以上に簡単な依頼だったようだ」


 話を聞いていたクリムは、何の事かと思い、シュウに聞いた。


「あの二人って誰です?」


「俺の同期だよ。よく一緒に組んで依頼をこなしてたんだ」


「今は別でやってるんですか」


「いや、相手の依頼で二人位必要って言われたんだ。それで、目星がついたのが俺の同期だったんだよ」


 その後、食事を終えた二人はギルドの入口へ向かった。そこには、女子の群れが発生していた。


「また先輩のファンクラブですか?」


「かもな……」


「私と付き合ってるっていうのに、まだ諦めてないんですね……」


「ああ……」


 その時、女子の群れから一本の腕が見えた。その腕の袖を見て、シュウはある事を察した。


「いや違う。あれはあいつのファンクラブだ」


「ふぇ? 先輩以外にモテる人っているんですか?」


「さっき言ってた俺の同期だ」


 シュウは女子の群れの中に入ると、一斉に女子達はシュウに群れかかった。


「シュウ‼ 君がそこに入ると大変なことになるって‼」


「いや~、相変わらずモテモテだね~」


 群れが散った女子の中から、薄緑の短髪の少年と、ふわっとしているツインテールの少女が姿を出した。


「今助けるから待っててね~」


 ツインテールの少女が、女子の群れの中に入り、無理矢理シュウを連れ出した。キスマークだらけのシュウを見て、クリムは急いで駆け付けた。


「大丈夫ですか先輩!?」


「少し……息苦しかった」


 咳き込むシュウを見た薄緑の髪の少年が、シュウに近付いてこう言った。


「大丈夫?」


「何とかな。それより、二人も無事でよかったよ」


「私がいる限り、誰一人怪我なんてさせないよ~。それより、この子誰?」


 ツインテールの少女が、クリムの方を見てこう言った。




 その後、シュウ達は食堂に再び移動し、椅子に座っていた。


「クリムに紹介するよ。薄緑の髪がラック。ツインテールの子がシュガーだ」


「ラック・スカイラインです。クリムさんの事はシュウから聞いています」


「シュガー・ピーナッツです。よろしくね~」


 二人の自己紹介の後、クリムはシュウにこう聞いた。


「私の事を知ってるんですか? この二人」


「ああ。何度か話したよ」


「入った時から、シュウ君はクリムちゃんの事を話してたもんね~。それだけ愛してたんだよきっと~」


「せんぱ~い、恥ずかしいじゃないですかぁ~」


 と、クリムは頬を赤く染めながらシュウに抱き着いた。


「言ってることとやってることが違うような……まぁいいか」


 ラックは苦笑いで、クリムにこう言った。


 それからクリムは、ラックとシュガーと話をしていた。話しているうち、クリムはこの二人がどんな人なのか理解する事が出来た。


 ラックは魔法剣士。魔法は火、水、風、雷などの基本的な魔法は使えるが、大地、闇、光の魔法は使えない。幼く見えるが、こう見えてクリムより一つ年上だった。


 シュガーはヒーラー。おっとりしているが、これでも頭がいい方だとシュウが言っていた。年齢はシュウと同じ17だったが、胸は確実にクリムより大きい。その事を知ったクリムは少し衝撃を受けていた。


「まぁ、そんな感じでこの二人と依頼をこなしてたんだよ」


「ほう。皆立派な戦士ですね」


「いや~、賢者にこう言われると照れるね~」


 と、シュガーは照れ笑いをしていた。そんな中、ジャックが慌ててシュウの方へやって来た。


「緊急依頼が入ったぞ」


「どんな依頼ですか」


 ラックがこう言うと、ジャックは手にしている依頼表を皆に見せた。


「依頼人はシャーンの町の町長だ。今多発しているカップル襲撃事件を警察と共に解決してほしいとのことだ」


「これ以上被害を増やさないために、ギルドに頼んだわけですね」


 シュウがこう言うと、ジャックは「そうだ」と返事をした。


「町長は賢者であるクリムがここに所属したことを知っている。恐らく、力を借りたいんだろう」


「分かりました、私が何とかしましょう‼」


 クリムは立ち上がって、ジャックにこう言った。




 会話から数時間後、クリムはシュウ、ラック、シュガーと共にギルドが手配した車に乗っていた。


「悪いな、遠出から帰ってすぐ次の依頼に入ってもらって」


「大丈夫だよ、慣れてるから」


「私は車の中で爆睡したから大丈夫だよ~」


 ラックとシュガーはこうシュウに返事を返した。


「それよりも……賢者であるクリムさんがどんな魔法を使うか、少し楽しみなんだ」


「私の魔法ですか?」


 クリムがこう聞くと、ラックは頷いてこう話を続けた。


「魔法を使って戦うから、自分より強い魔法使いの動きを見て参考にしたいんだ」


「私の動きで参考になるなら、ぜひ見てください」


 クリムが笑顔でこう答えると、車が止まった。窓からは、シャーンの町の門が見えていた。


「さて、そろそろ準備をしておかないとな」


 シュウは皆の顔を見て、こう言った。

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