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密林での戦い

 ナギは驚いていた。敵が銃を撃ってくるとは思ってもいなかったからだ。ハヤテはともかく、自分はかなり優秀な戦士だとナギは思っていたのだが、敵が攻撃してきたことは全く察知できなかったのだ。


「少し、プライドが傷ついた……」


「プライドなんてどうでもいいだろうが」


 ティラは小さな声でこう言った。ナギは察した、大きな声を出すと敵に居場所を悟られると。


 しばらくティラは無言でライフルを構えていた。この間、ティラは体を少しも動かさなかった。だが、何かを察したのかすぐに動き出した。


「ついて来い」


「え? あ、はい」


「ちょっと待てよ!」


 三人は急いで場所を移動し、大きな湖の元に着いた。ティラは湖の近くに移動し、しゃがみ込んだ。何をするつもりなのだろうか? ナギは緊張しながら様子を見ていた。


「……‼ オヴェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ‼」


 ティラは大きな声を立てて、吐き始めた。それを見て、ハヤテとナギはずっこけた。


「何やってるのよ!?」


「緊張感のせいで酔った」


「昨日の酒のせいじゃねーのか!?」


「酒は飲んでも酔わない性質」


 ティラはそう答えながら湖の水で口元を拭いた時、拳銃を持って一発撃った。その音を聞き、ハヤテとナギは身構えた。


「ここら辺の土地は頭の中に叩きこんである。だから、あんたがどこから撃つかなんて大体の予想は付く。姿を出しなよ」


 その言葉の後、茂みの中からライフルを持った男が現れた。先ほどの一発が右肩に命中したのか、右肩を抑えている。


「グッ……優秀なスナイパーがいたのか……」


「あんたはゲール」


「要人暗殺未遂で手配されてた奴だな。それ以外にも数件の暗殺事件を起こしたって」


 ハヤテとナギは魔力を開放し、ゲールに襲い掛かった。


「ちょっと休んだら私も加勢する。それまでがんばってー」


 ティラは二人にこう言って、再び吐き始めた。少々呆れながら、ハヤテは両手に持つ剣とナイフを使ってゲールに斬りかかった。


「チッ、クソガキが‼」


 ゲールはハヤテの攻撃を対処するため、ライフルを盾にして攻撃を防いだ。


「大事な商売道具なんだろ? 盾にしていいのか!?」


「心配しなくても大丈夫だよ。替えがあるから」


 真っ二つになったライフルをハヤテに投げつけ、ゲールはもう一つのライフルでハヤテを捕らえた。だが、ゲールの後ろに回っていたナギが攻撃を仕掛けた。


「グガッ!?」


「暗殺者が後ろを取られるなんて、なんて間抜けかしら」


「フッ……間抜けは貴様だ‼」


 ゲールは痛みをこらえながら、背後にいるナギを捕まえ、盾になるようにした。


「こいつを助けたかったら、俺を見逃しな」


「やなこった‼」


 ハヤテは躊躇もせず、ゲールに攻撃を仕掛けた。


「こぉぉぉぉぉぉぉんのバカ野郎‼ 私に攻撃が当たったらどうするつもりだァァァァァァァァァ‼」


 ハヤテの行動を見てブチ切れたナギは、ゲールを盾にしてハヤテの攻撃を防いだ。


「お前の事だから大丈夫だと思って攻撃したんだよ‼ それ見ろ、結局敵を盾にしたから無傷じゃねーか‼」


「そういう態度がむかつくんじゃァァァァァ‼」


 その後、ハヤテは魔法を使って攻撃を始め、ナギはゲールを盾にしたり武器にして振り回したりしてハヤテに攻撃を仕掛けて行った。二人の喧嘩を見て、ティラは笑いながらこう言った。


「いやー、エイトガーディアンって頑固な連中が多いってイメージがあったけど、愉快な連中じゃねーか」


「「誰が愉快な連中だ!?」」


 ティラの言葉を聞いたハヤテとナギは、同時にこう叫んだ。




 その頃、ジャック達は高い所に移動して敵を探ろうとしていた。


「魔力を感じるか?」


「いいえ、全然」


 敵の魔力を察知しようとしているミゼリーは、返事をしてジャックに近付いた。そんな中、スネックは近くで横になって寝ていた。スネックを見て、ジャックは呆れてこう言った。


「こんな中でよく眠れるな……」


「悪いね、スネックは戦いが好きなんだが、それ以上に寝るのが好きなんだよ。それと、めんどくさがり屋」


 笑いながらボーノがこう言った。この言葉を聞いていたのか、スネックは小声でうるせーと呟いた。その時だった。突如地面が揺れ始めたのだ。


「地震か?」


「いえ、魔力を感じる。厄介ね、大地魔法を使う奴がいるなんて……」


 ミゼリーの言葉を聞き、ボーノはこう言った。


「ボローゼの仕業だな……奴は大地魔法を悪用し、殺人を繰り返している」


「おいおい、そんな奴がいるのかよ……」


 ジャックはしゃがみながら、揺れを耐え始めた。そんな中、体勢を崩したミゼリーがジャックに倒れてきた。


「大丈夫か?」


「ええ……何とか……」


「揺れが収まらないな……揺れが収まるまでここで待機しよう」


「そんな必要はねー」


 スネックが起き上がり、銃剣を構えた。


「奴は近くにいる。魔力を感じるんでね」


 そう言って、銃剣を構えて引き金を引いた。しばらくし、揺れが収まった。


「行くぞ」


 スネックは一言そう言って、走り始めた。ボーノもジャックとミゼリーに俺達も行こうと伝え、共にスネックの後を走り始めた。

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