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激戦の予感

 タルトの仲間、スネックから連絡が入って2時間ほど経過した。その間、シュウ達はこれから起こるだろう戦いの準備を行っていた。そんな中、ギルドに一台の車が入って来た。


「まさかこんなにかかるなんて思わなかったわー」


 フィアットが腰をさすりながら、車から降りた。


「長時間のドライブになるから用意しておきなさいって言ったでしょ。ほら、後がつっかえてるんだからさっさと降りる」


 呆れながら、キャニーが次に降りた。それからリナサが降り、周囲を見渡した。


「そう言えば、リナサはこういうところ来るのは初めてだったな」


 車から降りたボーノがリナサに声をかけた。それを聞き、リナサは軽く頷いた。


「……スネックの野郎、まーだ寝てんのかよ」


 ボーノは車から降りてこないスネックを起こすため、車へ戻った。


「おい、ハリアの村に着いたぞ」


「ん? 何だよ、もう着いたのか……」


「お前ずっと寝てたのか? 車の中でよく眠れるなー」


「俺はどこでも寝れる性質なんだよ。お前らと違って神経質じゃねーし」


 起こされたスネックは欠伸をし、のんびりとした動きで車から出た。そして、軽く柔軟運動をし、こう言った。


「さて、タルトに会いに行くか」




 一方、ギルドで準備をしているタルトは、スネック達の魔力を感じてこう言った。


「どうやら皆が来たみたいだ」


「この魔力がエイトガーディアンの……」


 クリムは魔力を感じ、呟いた。シュウもクリムと同じようにエイトガーディアンの魔力を感じたが、自分が持つ魔力よりも強く感じ、驚いていた。


 しばらくし、スネック達がギルドの中に入って来た。


「どもー、エイトガーディアンです。タルトはいるか?」


「来るのを待ってたよ」


 と、タルトはシュウ達と共にスネック達を出迎えた。スネック達はシュウを見て、何度もタルトの顔と見比べていた。


「やっぱり似てるな」


「ほら、生き別れた親子だったじゃねーか。この賭け俺の勝ちだな」


「くっそ~、後でなんかおごらないと……」


「私がいない間に何やってたんだ?」


 勝手に賭け事のネタにされ、タルトは少々不機嫌にこう聞いた。その後、シュウ達はスネックから逃げ出した裏ギルドの事を聞いていた。


「自己紹介は後でする。まずはここに逃げた裏ギルドの連中について話しておく。数は4人。ほとんど野郎だ。大したことはないが、全員殺人の罪を犯している。かなりおっかねー連中だ。出来る限り生かして捕まえてくれ」


「分かりました。私達に任せてください」


 クリムがこう言った後、キャニーが近付いた。


「また面倒ごとに巻き込んでしまい、申し訳ありません」


「気にしないでください。賢者として、ギルドの戦士として働くのは当然の義務ですから。ね、先輩」


 そう言って、シュウに抱き着いた。この光景を見て、ナギが悔しそうに睨んでいた。


「おいナギ、妬む暇があったらさっさと動こうぜ」


「むきィィィィィィ‼ 乙女心も知らないで‼」


 ナギは叫び声を上げながら、ハヤテに延髄蹴りを放った。ボーノはジャックに近付き、こう言った。


「うちの者が騒いで申し訳ない……」


「大丈夫です。慣れてるんで」




 その後、軽く自己紹介をかわした後、シュウ達は何班かに別れて行動を開始した。行動するメンバーは以下のとおりである。


 シュウ、クリム、タルト、リナサ。

 ラック、シュガー、キャニー、フィアット

 ジャック、ミゼリー、スネック、ボーノ

 ティラ、ハヤテ、ナギ


 ティラは欠伸をしながら、森の中を歩いていた。後ろにいるハヤテとナギは、もうすでに武器を構えていた。そんな二人を見て、ティラはこう言った。


「そんなに殺気を出してると、奴らにばれるぞー」


「そんな呑気なことを言わないで頂戴」


「いつ戦闘になってもおかしくねーんだからよ」


 ハヤテとナギはそう言ったが、ティラはそーですかいと返事をし、先に歩いて行った。ティラにとってハリアの村の周辺は自分の庭のような感じだが、ハヤテとナギにとっては未開のジャングルのような物である。どこに何があるのか、この地にどんなモンスターが生息しているのかさえまだ把握はしていない。


「ねぇ、本当に大丈夫なんですか?」


「私を信じろ。この辺りの地理には詳しい方なんだ」


 と、ティラは言っているが、ハヤテとナギは昨日のバカ騒ぎの張本人の言う事をあまり信用していなかった。


 しばらく歩いていると、ティラは足を止めた。それと同じく、ハヤテとナギは急いでティラの元へ向かった。


「向こうは私達が来たのを勘付いたらしいね」


「魔力を察したんですね」


「それらしい魔力は前から感じていた。お前らもそうだろ?」


 ティラがこう聞くと、ハヤテとナギは頷いて合図をした。ティラはライフル銃を構え、周囲を見渡した。


「木でカモフラージュをしているようだけど……魔力を辿れば姿は見えるんだよね……」


 こう呟いた瞬間、ティラは素早く二人を突き飛ばした。


「いってーな、何す」


 ハヤテが起き上がって怒鳴ろうとした瞬間、足元に弾丸が撃ち込まれた。


「……嘘だろ……」


「向こうは魔力を持ってるみたいだけど、使う銃は魔力で使用するタイプじゃないか……面白くなってきたじゃん」


 ティラはにやりと笑い、ライフルのリロードを始めた。

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