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似た者同士の戦い


 スネックと戦っている男、ラコブはスネックを見てあることを思い出した。この世は広い。

出生、年齢は違っても、思考回路が同じ奴がいるかもしれないと。


「あーあ、まさか似たような奴とこんな所で出会っちまうなんて」


「それはこっちのセリフだ、クソ野郎。似たような武器使いやがって。変えろ、今すぐ武器を変えろ」


「ケッ、それはこっちのセリフだ!」


 と言って、ラコブは銃剣を構えてスネックに発砲した。スネックはラコブが放った銃弾を回避し、銃剣を持って逃げた。


「反撃しないか、そこだけは俺に似なかったな。よかった」


 スネックはこの言葉を聞き、舌打ちをした。本当は反撃をしたかったが、相手が似たような性格であることを考え、反撃を予測して攻撃を仕掛けるとスネックは思ったのだ。


 クソッたれと思いつつ、スネックは乱れた呼吸を整えた。柱の裏に隠れ、ラコブがどう動くか様子を見ることにした。


「おいおい、逃げるのか……いや、何を考えている?」


 ラコブがスネックに向かってこう言った。敵に手の内を言うバカはいないと心の中で叫びながら、スネックは懐の小さなハンドガンを手にし、柱から身を乗り出してラコブに向けた。スネックの動きを見て、次の行動を予測したラコブは横に飛んで逃げようとしたが、その動きをスネックは予測し、発砲した。


「ウゴッ!」


「ケッ、当たったか。ザマーミロ」


 ハンドガンの弾丸が脇腹に命中し、うずくまるラコブを見てスネックは大きな声でこう言った。


「ぐ……クソ野郎……」


 ラコブは傷ついた脇腹を抑えながら、苦しそうに立ち上がった。


 小さなハンドガンから放たれた弾丸はかなり威力が弱く、敵に命中しても大きな傷を与えることはできない。そのことを知ったうえで、スネックは小さなハンドガンで攻撃を仕掛けた。その理由は一つ。小さな傷を与え、相手を動かせて傷を広がせること。ラコブは脇腹を負傷した。治療魔法で治せばあっという間に治療されてしまうが、その隙を与えまいとスネックは考えて行動していた。


「おーい。どうしたクソ野郎? あんな小さな弾丸受けてもう動けないのかー? お前は口や態度が悪いが、所詮この程度なのかー? ヘイヘイヘーイ。どうした? かかって来いよ、ベイベー」


 と、スネックは柱から出てきてラコブを挑発した。舌を出し、尻を振って挑発するスネックの姿を見て、ラコブの怒りは爆発した。


「このクソ野郎! お前だけはこの手でぶっ殺す! ギッタギタのボロボロにして、そのままどこかのモンスターの餌にしてやる!」


 ラコブは魔力を開放し、スネックに襲い掛かった。


 狙い通りだと、スネックは思った。自分と同じ思考なら、簡単な挑発で激怒し、何も考えずに突っ込むと予想していたのだ。スネックは突っ込んで来たラコブの突進を避け、脇腹の傷に目がけて蹴りを入れた。


「グッ! この野郎!」


「負傷したまま突っ込むバカがどこにいる? あ、目の前にいたわ」


「殺す!」


 スネックは更に挑発を続け、ラコブの怒りをもっと強くした。感情で放たれるラコブの攻撃は鈍く、簡単に避けられる。


「ほれほれ、どうしたクソ野郎さん」


「チッ……このままお前を殺したいが……」


 ここでスネックの予想外のことが起きた。ラコブは急に冷静になり、脇腹の傷を治したのだ。その隙にスネックは銃剣を構えて狙撃しようとしたが、ラコブの治癒速度は早く、傷はすぐに治り、ラコブは素早く懐のナイフを握ってスネックに向けて投げた。


「何! グッ!」


 スネックに向けて投げられたナイフは、腹部分に刺さった。ラコブは呼吸が乱れたスネックに近付き、銃剣の銃口を向けてこう言った。


「形勢逆転だな。クソ野郎」




 その一方、火事場泥棒しにやって来たメッズーニたちは、改造されたアロウの部下やギルドの戦士から逃げていた。隠れる中、メッズーニは泣いていた。


「あーもう、こんな所に来た私がバカだった~」


「メッズーニ様。今泣いてもどうしようもないですよ」


「生きてアジトに戻ることだけを考えましょう」


 部下の励ましを受け、何とかメッズーニは泣き止んだ。だがその時、改造の力を使ったアロウの部下に見つかった。


「誰だ……お前ら? どうでもいい。男は殺す。女は……グヒヒヒヒ」


「いやァァァ! 殺される!」


「女はグヒヒヒヒって何? 私に何をするつもり? エロ同人みたいに酷いことをするつもりなの?」


「エロ同人? そんな物は知らないが、酷いことをするのは大正解!」


 と言って、アロウの部下はメッズーニたちに襲い掛かった。メッズーニたちは悲鳴を上げながら逃げたが、アロウの部下はメッズーニたちの後を追いかけていた。


「あいつ、でかいのに早い! 格闘ゲームだと、でかい奴は動きが遅いのに!」


「ゲームはゲーム。でかい奴でも足が速い奴はこの世界にたくさんいるわよ! そんなことより、この状況どうしましょう! 私の純情、あんな奴に捧げたくないわ!」


 メッズーニが泣きながらこう叫ぶ中、部下の一人がリュックから何かを取り出した。


「仕方ありません。緊急事態です。私が作った特製爆弾で何とかしてみましょう!」


「お願い!」


 部下はメッズーニの言葉の後、爆弾をアロウの部下に向かって投げた。だが、アロウの部下は飛んで来た爆弾を裏拳で遠くへ弾き飛ばしてしまった。


「あら嘘」


「あら嘘、じゃないわよ! あいつ、また追いかけて来るわよ!」


「なら今度は煙幕!」


 と言って、部下は煙幕を張った。突如発した煙に巻き込まれたアロウの部下は、動揺し始めた。


「うわ! 何だ、急に? 煙が……前が見えない!」


「これは効いている。今のうちに逃げましょう!」


「あらこらさっさー!」


 アロウの部下が動揺した隙に、メッズーニたちは逃げて行った。一方、アロウの部下が弾き飛ばした爆弾は、セントラルタワーの方へ飛んで行った。


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