エイトガーディアンの安否は?
シェラールで大規模なテロが発生した。発生した直後、緊急のギルド会議が行われた。会議が行われる中、クリムたちギルドの戦士はギルド内で待機することになった。待機する中、シュウは焦りを見せていた。
「シュウ、焦っていても何もならないよ」
「分かっている。そうだけどさぁ……」
ラックにこう答えながら、シュウはリボルバーをいじっていた。唯一の肉親であるタルトがいるギルドから連絡がないので、相当シュウが焦っているとクララは考えることができた。シュガーやティラも、シュウに話しかけることはしなかった。ドゥーレはティラに近付き、こう聞いた。
「シュウさんに話しかけないの?」
「うん。焦っているのは分かるけど、話しかけたところで焦りは解消されない。とにかく待つしかないさ、今は」
と、ティラは答えた。とにかく待つしかない。その答えを聞いたドゥーレはその通りだなと思いつつ、椅子に座った。だが、今のシュウの心情をあんまり理解していないバカが二人いた。
「大丈夫だってシュウ! あんたの親父さんは無事だよ!」
「フハハハハハハハハハ! テロリストだかエロリストだか知らないが、我の雷で滅ぼしてやろうぞ!」
「こんな空気でバカなこと言わないの!」
叫び声と共に、クララの拳骨がストブとヴァーナに命中した。あまりの痛さに悶絶するバカ二人を無視し、クララはシュウに近付いた。
「すみません、空気を読まないバカ二人が余計なバカを」
「大丈夫。少しは焦りが収まった」
クララを安心させるために、シュウは笑みを作ったが、その笑みの中にはまだ悩みの色が見えていた。このシュウの表情を見て、クララはすみませんと謝り、バカ二人に説教するため部屋の隅に向かった。そんな中、クララが慌ててシュウの元へ駆け寄った。
「先輩、今私の携帯にリナサちゃんから連絡が入りました」
「リナサから?」
話を聞いたシュウは慌てて立ち上がり、クリムの携帯を覗き込んだ。会話中であるためか、画面にはリナサの携帯番号とアイコンが映っていた。クリムはまだ電話は通じていると言い、シュウに携帯を渡した。
「もしもし、リナサか?」
『うん。リナサだよ』
「よかった、無事だったんだな」
『そうだけど……』
『ああああああああ! リナサ、誰と連絡しているの? シュウさん? シュウさんでしょ!』
『ちょっとナギ! 今はそんなことしている場合じゃないでしょ! リナサ、今の状況をシュウさんたちに話したいから、変わってくれる?』
『うん。お兄ちゃん、キャニーさんに代わるね』
受話器の向こうから、キャニーとナギの声が聞こえた。この時点でエイトガーディアンの三人が無事であることが確認された。シュウが安心していると、キャニーが話を始めた。
『シュウさん、今のシェラールの状況を伝えます。シェラールのギルド戦士はタルトさん、スネックさん、ボーノさんを中心としてテロ組織と戦っています』
「父さんとスネックさん、ボーノさんは無事ですか?」
『今のところは大丈夫のようです。魔力を感じます。フィアットとハヤテはタルトさんたちの援護に向かっていませんが、生きています』
「じゃあ、エイトガーディアンは皆無事か」
『はい』
よかった。話を聞いてシュウはこう思ったが、これから戦いが激しくなり、状況が悪化するかもしれない。そう考え、安易によかったと思うのを止めた。
『シェラールは今、大変なことになっています。テロ組織の攻撃が激しいので、被害が拡大しています。死傷者もたくさん出ています。テレビのニュースで放映されている光景よりももっと悲惨です』
「今の時点で、テロ組織がどんな奴らか分かりますか?」
『それがまだ分からないのです。奴らは重装備をし、強い魔力と武器を使って暴れまわっています。それに、何の目的でシェラールを暴れまわっているのか分からないのですよ』
「正体不明のテロ組織ってわけですね」
『ええ』
話をしている中、ギルドのスタッフが戦士に集合をかけた。ジャックたちが立ち上がって別室へ向かう中、シュウは慌ててこう言った。
「すみません、集合がかかったので一度電話を切ります」
『分かりました。電話は私かリナサ、ナギの番号にかけてください』
「はい。では、無事を祈ります」
『ありがとうございます』
と言って、キャニーとの通話は切れた。
ハリアの村の会議室、クリムたちギルドの戦士はそこで会議をしていた。議題の内容は、シェラールで起こっている無差別テロについて。
「シェラールで起こっているテロについて、皆さん周知だと思います」
スタッフの声を聞き、クリムたちは頷いた。
「シェラールのギルドは私たち、ギルドにとって中心的存在です。決して滅んでは行けない場所です。先ほどの緊急のギルド会議で、今すぐにでもシェラールへ向かい、他のギルドと共にシェラールへ向かうこととなりました」
「やっぱりな」
こうなるだろうと思い、ティラが呟いた。スタッフは神妙な顔で、クリムたちを見回した。
「我々ハリアの村のギルドからは、シュウさん、クリムさん、ジャックさん、ミゼリーさん、ラックさん、シュガーさん、ティラさん、ストブさん、クララさん、ドゥーレさん、ヴァーナさんの最強戦力を出すことにしました」
「うっし! 私に任せときな!」
ストブは立ち上がって拳を鳴らしたが、クララが席に座るように促した。スタッフは少し呆れていたが、すぐに我に戻って話に戻った。
「それでは皆さん、今すぐに支度をしてヘリコプターに乗り込んでください。事態は深刻です、シェラールを必ず救ってください」
「はい!」
クリムたちはスタッフの言葉に対し、力強い返事を返した。




