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ゲットフィーバーとの決戦!

 運がないせいで勝手に追い込まれていたゲットフィーバーは、ハデナナトリを捕獲したクリムたちに襲い掛かる。だが、追い込まれている状態のゲットフィーバーは雑魚並みの強さまで落ちていた。そんな中、キウジはセベルと他の団員を逃すため、一人で戦いに挑んだ。


 一体多数の状況。その上、敵は空腹と疲れで体力と魔力が大きく削れている。そんな中での戦いになり、クリムはため息を吐いていた。


「私としては弱った敵と戦いたくはありませんが……仕事であるため、仕方ありませんね」


 クリムは杖を構え、キウジを睨んだ。キウジは小さい糸のような魔力を発生し、クリムに向けて放った。


「俺のクリムに向けて何してんだ?」


 シュウは銃を構え、魔力の糸を撃ち抜いた。だが、小さい糸は踊りを舞うように動き、シュウの弾丸をかわした。


「チッ、厄介な動きだ」


「大丈夫ですよ先輩。あの手の攻撃は、糸に触れたらダメージを負うような仕掛けになっているのでしょう」


 クリムの言葉を聞き、キウジはそこまで手を読んでいるのかと動揺した。


「攻撃の手を読んでいたとはな、流石賢者クリムだ。だが! この動きは予測できるか?」


 そう言って、キウジは両手で操る糸の動きを激しくした。そのせいで、周囲に糸が動き回り、地面をえぐり、木々を斬り倒していった。


「あらー、結構強いのね」


 糸の攻撃力を目の当たりにしたドゥーレは、感心するかのように声を出した。この声を聞いたキウジは、笑いながらこう言った。


「そうだ、ただの魔力の糸だと思ったら大間違いだ! 降参するなら今のうちだぞ!」


「するわけないじゃないですか。そんな攻撃、誰だって簡単にできますよ」


 クリムの言葉を聞き、キウジは少しイラッとした。だが、目の前の光景を見てキウジは言葉を失った。クリムの両手の指からは、キウジと同じように魔力の糸が発生していた。


「何だと……俺と同じ技を……」


「見よう見まねですが、この位の魔力を使った技は初心者の魔法使いでもできます。応用的に考えると、こんなこともできますよ」


 と言って、クリムは左手を動かし、魔力の糸をキウジに向けて放った。キウジは糸をかわしたのだが、糸は移動中に伸び始め、キウジの足に命中した。


「ガアッ!」


「風を使った魔力の糸です。切れ味はどうですか?」


「グウッ……」


 クリムは痛みに苦しむキウジに近付き、こう聞いた。キウジは近付いたクリムに一発でも顔面を殴りたい気持ちで一杯だったが、足の激痛に耐えるしか今はできなかった。


「さて、あなたはもう戦えないようですね。これでおしまいです」


 クリムは右手の魔力の糸を操り、キウジの体を縛った。その時、近くからライフルの発射音が聞こえた。その音を聞いたキウジは驚きながら、遠くを見た。


「安心しろ、お前の仲間も今捕まえた」


 シュウの言葉を聞いたキウジは悔しそうに項垂れた。たった今、シュウの手によって逃げていたセベルたちが倒されたのだ。




 ハデナナトリを捕獲し、ゲットフィーバーを捕まえたクリムたちは、キャンプに戻ってギルドに連絡をしていた。


「今ハデナナトリを保護しました。そのついでにゲットフィーバーの連中も捕まえました」


『分かりました』


 クリムの連絡を聞きながら、捕まったセベルはシュウの方を見てこう言った。


「腹減った、足が痛い。どうにかしてくれ」


「するかボケ。テメーら悪党の言うことなんか聞くわけねーだろ。痛みなんてこれで対処しておけ」


 そう言ってシュウは小さな絆創膏をセベルに向けて投げた。セベルは絆創膏のサイズと撃たれた足の傷を見て、シュウに向かって叫んだ。


「おい! これじゃあ傷なんて保護できねーんだけど!」


「知るかボケ。叫ぶな、クリムの電話の邪魔じゃねーか」


 と言って、シュウはセベルの額に銃口を付けた。これ以上変なことを言うと殺されると思ったセベルは口を閉じた。


「ではこれから保護団体の方にハデナナトリを送ります」


『了解しました。あ、いまストブさんとヴァーナさんが戻ってきました。代わりますか?』


「ええ、お願いします」


 クリムがそう言ってから数秒後、受話器からヴァーナの笑い声が響いた。


『ハーッハッハ! 大したことのなかった敵だったぞ! 我とストブの二人であっさり壊滅させたぞ!』


「お疲れ様」


『だが、仕事に言った奴らを捕まえることはできなかった。それが残念だ』


「大丈夫よ。あなたたちが倒しに向かった裏ギルドはゲットフィーバーでしょ?」


 クリムがこう言うと、ヴァーナの驚く声が聞こえ、ストブが代わってくれと声が聞こえた。


『クリム。まさかお前たちが残りの奴らを……』


「ええ。偶然だったけどね。あなたたちが倒しに向かった裏ギルドの連中がいたのよ」


『そうか。まぁこれでゲットフィーバーは滅んだな!』


『我らの前に敵はなしだな! ファーッハッハ!』


「じゃ、またギルドでねー」


 クリムはそう言って電話を切った。会話を聞いていたセベルとキウジは、仲間たちがやられ、ゲットフィーバーが崩壊したと聞き、残念そうに項垂れた。ドゥーレとクララはセベルたちに近付き、ため息を吐きながらこう言った。


「当然の報いよ」


「こうなることは分かっていたけどね。まー、悪いことなんてするもんじゃないよ」


「クソッたれ……」


 セベルはそう言って大きなため息を吐いた。




 その後、ゲットフィーバーは崩壊、クリムたちは無事にハデナナトリを保護団体へ渡した。それから数ヶ月、バカップルはそのハデナナトリが卵を産んだことを聞いた。


「あのハデナナトリ、卵を産んだみたいですね」


「これがきっかけで、絶滅から脱すればいいな」


「ええ」


 ニュースを見ながら、バカップルはそう話をした。


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