恐るべき実験
人型モンスターに囲まれたシュウ達。しかし、ティラが手に物騒な物を持っていた。
「それって……まさか……」
「手榴弾だ‼」
ティラは手榴弾を前に放り投げ、大爆発を起こした。そこにいた人型モンスターは爆発でぶっ飛び、道が出来た。
「道は作った、さぁ行くぞ‼」
ティラは先頭を走って行った。その後ろをバカップルとキャニーが付いて行ったのだが、キャニーは周りが焦げたのを見て、これでいいのだろうかと思っていた。
しばらく走っていたが、人型モンスターはシュウ達の後をゆっくりと歩きながら追いかけていた。
「ふー、しつこい連中ですねー」
「だな、一体何のモンスターだか……」
シュウとクリムは走っている中、こんな会話をしていた。そんな時、キャニーはシュウ達にこう言った。
「先ほど……あのモンスターが言葉をしゃべったんです」
「モンスターが言葉を? そんなわけが……」
「本当です」
キャニーの言葉を聞き、バカップルは立ち止まった。止まった二人を見て、ティラは慌てて走るのを止めた。
「おいおい、まさかあの言葉を本気で信じたのか?」
「……実はさっきから違和感を感じていました。あれほど人に似ているモンスターなんてこの世にいません」
「キャニーさんの言葉を聞いて、もしかしてと思って……」
シュウは足止め用の粘着弾を発射し、追ってくる人型モンスターの足を止めた。そして、クリムがモンスターに近付いて話しかけた。
「私の質問に答えてください。あなた達は一体何なんですか?」
「……オレタ……チ……ハ……チカクニスンデ……イタ……フロウシャ……ダ……」
人型モンスターがクリムの質問に返事をしたのを聞いて、ティラは目を丸くして驚いていた。
「一体何でこんな目に?」
「クルーガーノヤツダ……アイツニ……サラワレテ……ヘンナ……クスリヲノマサレタ……」
「まさかクルーガーの奴、違法な人体実験も行っていたなんて‼」
元浮浪者の答えを聞き、キャニーは驚きと怒りをあらわにしていた。
「タスケテ……クレ……モウ……リセイガ……ホンノウヲオサエラレナ……ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
クリムの質問に答えていた人型モンスターは牙をむき、クリムを襲おうとした。しかし、粘着弾で動けないせいで、攻撃は出来なかった。
「……先を急ぎましょう。早くクルーガーの奴を半殺しにして、この人達を元に戻しましょう」
「ああ」
「そうだな」
「了解です」
会話を終え、シュウ達は急いでクルーガーの元へ走って行った。
隠しカメラの映像から、クルーガーは先程の戦いの様子を見ていた。
「まだ、理性は残っていたのか……実験は失敗だな」
クルーガーは椅子から立ち、コーヒーメーカーがある棚へ向かった。コーヒーを飲みながら、クルーガーは今後の事を考えていた。いずれシュウ達がこの部屋に殴り込みに来るのは目に見えている。これまでの戦いを見たクルーガーは、シュウ達がかなりの強敵だと理解している。
「……あれを使うか」
クルーガーはぽつりと呟くと、モニターの近くにあるスイッチをいくつか押した。その光景を見たミルチは、クルーガーに近付いた。
「一体何をしているんですか?」
「最終兵器を使う。奴らなら侵入者を確実に始末するだろう」
そう答えながら、クルーガーは奇妙な笑みを浮かべていた。
シュウ達は襲ってくる研究員や改造モンスターを倒しながら、奥へ進んでいた。クリムとティラが倒した研究員を脅してクルーガーの情報を得ているせいか、難なくクルーガーの元へ向かう事が出来た。
「今地下の三階みたいですね」
「一体どれだけ深く基地を作ったんだよ……」
ティラは足をさすりながらこう言った。
「もう足を痛めたんですか師匠?」
「何を言うか、私はまだ若い」
「三十路超えて若いっていますかね……」
「うるせーなクリム‼お前言うようになったじゃねーか」
と、騒がしい会話を間近で聞いているキャニーはため息を吐いていた。この人達に緊張感はないかと、心の中で呟いていた。
そんな中、シュウ達は広い廊下に出た。
「確かクルーガーの部屋があるってのは地下三階だったよね」
「はい」
「じゃあ、この奥に奴がいるってことだな」
ティラは遠くにある扉を見て、にやりと笑っていた。しかし、すぐにティラの顔から笑みが消えた。
「その前にドンパチ暴れる羽目になりそうだな」
「ですね」
シュウがこう言うと、クリム達はすぐに戦闘が出来るように準備をした。しばらくすると、巨大な足音と羽音が響き渡った。
「二体いるか……」
「一体につき二人で相手した方がいいな」
「ええ」
返事の直後、シュウ達はすぐに二手に分かれた。
「……来ます‼」
クリムの叫びと同時に、部屋の中にクマのようなモンスターと、巨大なカラスのようなモンスターが襲ってきた。
「先輩‼守りは任せてください‼」
クリムはそう言うと、クマのモンスターの攻撃に対し、バリアを張って防御した。ティラの方は、飛んでくるカラスの爪攻撃をかわし、キャニーに向かって叫んだ。
「爪を銃でへし折れ‼」
「了解です‼」
キャニーは拳銃を使い、カラスの爪に向かって発砲したが、カラスはその攻撃を察していたのか、あっさりとキャニーが放った弾丸をかわしてしまった。
「こりゃー、結構強そうだね……」
ティラは廊下中を飛び回るカラスを見て、不安そうに呟いた。




