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またもや現れた変態集団

 クリムが誘拐事件の黒幕を導き出した。その話はあっという間にスエランのギルド全体に伝わった。仮眠をとっていたレースンは騒ぎを聞いて目を開け、ゆっくりと起き上がって近くにいた役員に尋ねた。


「何かあったか?」


「賢者クリムが誘拐事件の黒幕の正体を暴いたようだ!」


「マジかそれ!」


 驚きのあまり、レースンの眠気が吹っ飛んだ。そして、急いでナホックの元へ向かった。


「犯人が分かったのか!」


「はい。ばっちりです」


 クリムはレースンの方を振り返りながら、パソコンの画面を見せた。レースンは高画質になったパソコンの画面を見て、声を上げた。


「おぉ……画質を綺麗にしたらこんなにはっきりと……」


「奴らは監視カメラの死角になるような場所で犯行を行ったと思っているようでしたが、少しでも見えたらそこから答えを導くことができます」


「こいつが犯人か……で、一体誰だ?」


「メッズーニだ。俺とクリムは何度も奴が起こした騒動を解決したけど……捕まえることができなかった」


「それだけ腕のいい犯罪者なのか」


 有名なバカップルでも捕らえられない犯罪者がいると知ったレースンは、衝撃を受けた。バカップルはため息を吐き、周囲を見回した。


「皆さん、この町に私たちの手から何度も逃げた変態集団がいます」


「恐らく、今後も似たような事件が発生します」


「これ以上被害を出さないため、私たちが早急にあの変態集団をぶっ倒します」


 この言葉を聞き、ギルドの役員や戦士はバカップルがやる気であると察した。




 スエランの町外れ。ここにはいくつか使われていない工場が放置されている。そのうちの一つ、大きな廃工場の中ではカチンカチンと何かを叩く音か響いていた。その中では、何度もバカップルやギルドの手から逃れてきた運がいい変態犯罪者、メッズーニとその部下がいた。メッズーニは高笑いをしながら叫んでいた。


「オーッホッホ! さっさと新しいロボ、ブチコワーシ君を完成させなさーい!」


「分かりました」


「了解しました」


 その声に反応したのは、虚ろな目をしている女性たちであった。この変態集団は、独自に作った催眠アプリを使い、女性たちを操ってロボットを作らせているのだ。メッズーニの部下は笑いながら煎餅をかじり、お茶を飲んでいた。


「いやー、メッズーニ様も考えたなー」


「催眠アプリを作って女性を催眠状態にして、操っていろいろとするなんて」


「何て悪い人なんだろう。まー、そのおかげで俺たちは楽ちん楽ちん」


 メッズーニの部下は笑いながらこう言っているが、メッズーニは部下の方を見てこう言った。


「あんたらも行動を起こすんだよ! ロボットの設計が合っているか、武器の用意をするとか!」


「だったらメッズーニ様も手伝ってくださいよー」


「私は他の作業をするの。ギルドの動きがあるだろうし、いざという時に逃げる時の準備をしないと」


 メッズーニの言葉を聞いた部下たちは、笑いながらこう言った。


「なーに言ってるんですか」


「こんなタイミングであのバカップルが来るわけないでしょうが」


「そんな奇跡的なことがあってたまりますかってんだ」


 と、部下たちは言っていたが、メッズーニは呆れた表情でこう考えていた。ギルドも誘拐事件が多発しているため、捜査するだろうと。そして、捜査に行き詰まったらあのバカップルが来るだろうと。


「こんな時にバカップルが来てたまりますか。ブチコワーシ君が完成すれば、あのバカップルをけちょんけちょんのぐちょんぐちょんにしてやるのに……」


 そう呟きながら、作っている途中にブチコワーシ君を見上げた。




 翌日、クリムはシュウとレースンに話をしていた。


「奴らが狙うのは若い女性です。何故女性を狙うのかは分かりません。もしかしたら奴の部下の趣味かもしれませんが」


「もしそうだったら最悪な趣味だな」


「本当にな」


 この言葉の後、三人は呆れたようにため息を吐いた。


「話に戻りましょう。奴らが犯行を行うのは深夜。人の気配がない場所で行います」


「そうだが……一体どうするんだ? もしかして……おとり捜査を行うつもりか?」


「はいそうです。私がおとりとなって奴らをおびき出します」


 クリムの言葉を聞いた後、レースンは少し不安に思った。だが、クリムの彼氏であるシュウの顔には不安の色がなかった。それを見たレースンは、シュウに近付いた。


「なぁ、クリムが不安じゃないのか?」


「ああ。クリムの魔力なら雑魚相手なら軽く倒せるし、もし何かあればこいつで一発だ」


 そう言いながら、シュウは大型のスナイパーライフルを取り出した。どこから出したか分からない大型スナイパーライフルを見て、レースンは驚いた。


「オワァッ! どこからそんなもん出したんだよ!」


「折り畳み式ライフルだ。大きいモンスターと戦う時に使う奴だが、いざという時に持っていてよかった」


「なぁ、ちなみにこいつの威力はどの位だ?」


「三十センチほどの分厚さの鉄板を撃ち抜く。一発でだ」


「そんな物騒なもん持ってくるなよ……」


 そう言いながら、レースンは冷や汗をかいた。


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