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ついにアジトへ

 シュウたちは車道で出会った滅びを望む者の待ち伏せを蹴散らし、アジトへ向かった。待ち伏せと戦ったシュウ、ケンジ、ヴァリエーレは車内で一息ついていた。


「先輩、シュウさん、ヴァリエーレさん、お疲れ様です」


 クリムが三人にお茶を渡しながらこう言った。


「ありがと、クリム」


「あまり強くなかったぜ、あの連中」


 シュウと剣地は笑いながらお茶を手に取り、飲み始めた。だが、ヴァリエーレは何かを考えているのか少しボーっとしていた。


「どうかしたんですか、ヴァリエーレさん?」


 クリムが声をかけると、我に戻ったヴァリエーレが返事をした。


「待ち伏せがいるとしたら、この先にもいるかもしれないって思って」


「時間稼ぎか、私たちを倒すつもりで待ち伏せを置いたんでしょう。私たちがアジトの場所を突き止めたって情報が流れたんだと思います」


 この言葉を聞き、ヴィルソルは驚きの声を上げた。


「オイオイオイ! じゃあ敵のスパイがケブルの村にいるというのか!」


「ええ。ですが、タルトさんたちがスパイごときに倒されるはずもないですし、敵が私たちに対して準備しようともぶっ飛ばしてやりますよ」


 と、クリムはヴィルソルに答えを言った。少し不安になったヴィルソルだが、クリムの魔力を思い出し、大丈夫かと思った。


 それから数分後、クリムたちを乗せた車は人里離れた山道に入った。


「あと少しで滅びを望む者のアジトです」


「いよいよ奴らとの戦いに決着をつける時が来たんだな」


 剣地はにやりと笑ってこう言った。成瀬は緊張感があるのかしらと呟きつつ、戦いの支度をしていた。だが、そんな中でもバカップルはイチャイチャしていた。リナサとシュガーは見慣れた光景なのであまり気にしなかったが、ティーアは戦いの前にイチャイチャして大丈夫かと不安になっていた。


「皆様、ここで車を止めます」


 運転手がそう言って車を隠すように停車した。シュウは運転手が戦いに巻き込まれないように離れた場所に車を止めたと考えた。


「うし、皆行こう」


 シュウの言葉を聞き、クリムたちは返事をして外に出た。




ルハラ:滅びを望む者のアジトの近く


 いやー、悪い連中のアジトっていうのはどうして雰囲気が悪いんだろうね? 天気も状況に合わせたように曇ってじめじめしてるし、カラスのような鳥が周囲に飛び回ってる。こりゃー不気味だね。


「あれがアジトかな?」


 リナサが少し離れた所にある変な建物を指さした。歩いて数分の所にあるが、天井や壁の形が変に不気味だ。建築家はアンバランスのような形がかっこいいと思ているのだろうか? まぁどうでもいいわ。どうせぶっ潰すんだし。しばらくすると、弱い魔力を感じた。


「見つけたぞ!」


「やはり情報通りこっちに来たか!」


「ここで倒すぞ!」


 ありゃりゃ。私たちが来たことを察した滅びを望む者の連中がやって来た。雑魚が大量に来ても無意味だっつーのに。


「さて、一発ぶちかますか」


 私はそう言って魔力を開放し、風を放った。私の風に吹き飛ばされた雑魚共は、悲鳴を上げながらぶっ飛んで行った。だが、後から敵が現れた。


「さて、今度は俺が行きますかっと!」


 ケンジが両手に剣を持ち、後から現れる敵の群れに突っ込んでいった。それを見たナルセが呆れた声を上げ、魔力を開放した。


「はぁ、あまり無暗に突っ込まないでよ剣地」


 そう言ってナルセも敵の群れに突っ込んで暴れ始めた。二人の活躍によって敵はあっという間に減っていったが、運よく二人から逃げられた敵が私たちに襲い掛かった。


「シャァァァァァァァァァァ! ボーっとしてるとあぶねーぜぇ!」


 敵の一人が斧を持って私に襲い掛かった。あんな大振りな攻撃、私に当たるはずがない。私は後ろに下がって攻撃をかわし、目の前の敵に蹴りを喰らわせた。それからも他の敵が現れたが、シュウの銃が敵を襲い、クリムの風の魔法が敵を宙に浮かした。そして、他の敵はリナサの闇でぶっ飛んだ。


「うわあああああああああああああああああああ!」


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


「こりゃ勝てない」


 そんな悲鳴を上げながら敵はぶっ飛び、数を減らしていった。そんな中、シュガーがこう言った。


「皆ー、最初から暴れると後から疲れるよー」


「多分大丈夫でしょう」


 と、ヴァリエーレがシュガーにこう言った。その時、後ろに隠れていた敵がシュガーに襲い掛かった。あーあ、襲い掛かったら一番まずい人に襲い掛かった。シュガーは敵の存在に気付き、敵の攻撃をかわしながら蹴りで敵を地面に倒し、動けないように敵の頭を踏みつけた。


「うふふ。何をしようとしたか分からないけど……襲い掛かってきたら反撃するのが常識だよねー」


 シュガーはポーチから変な色の液体が入った注射器を取り出した。見た目で危ない薬が入った液体だと私は思った。あれを今から敵に注入するのか。一体どうなるかあまり考えるのは止めよう。


「何それ? 今からそれを入れるの? ちょっと待って、なんか危ないから止めて! あの、そこの長耳のお嬢ちゃん、助けて!」


 おいおい、敵に助けを求めるなよ。私しーらない。そう思った直後、敵の悲鳴が響いた。


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