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車道での射撃戦

 タルトたちはケブルの村で何があっても言いように待機していた。が、ハヤテやナギ、フィアットは騒いでいた。


「あー! 暇だ暇だ暇だァァァァァァァァァ!」


「うっさいわねバカハヤテ! 暇が一番いいじゃないの!」


「よくねーよ! 退屈でつまんねーんだよ!」


「私も同じ意見! あーあ、あいつらがここにいれば暴れてやるのになー」


「不謹慎なことを言わないの! はぁ、このバカ共は……」


 ナギは呆れたようにため息を吐き、ソファに座って読んでいた雑誌の続きを読み始めた。その時だった。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 聞いたことのない声が響いたのだ。この声を聞き、ナギは何者かが自分たちに近付こうとし、誰かにやられたのだと判断した。


「おっ! 何かあったみたいだ!」


「何だろな? 何だろな?」


 ナギが動く前に、暇を持て余していたハヤテとフィアットが先に外に向かってしまった。二人が外に出ると、そこには不審者を捕らえているミゼリーとキャニーの姿があった。


「もう片付いたわよ」


「ちぇー、暴れてやろうと思ったのによー」


「キャニーさぁ、ちったぁ私たちにも出番を頂戴よ」


「バカなことを言ってんじゃないわよ。さ、こいつを取調室に連れて行くの手伝いなさい」


 キャニーに言われ、ハヤテとフィアットは不審者を連れて行った。その後、ボーノが不審者の取り調べを行った。


「で、あんたは何者だ?」


「俺はザムサイラ。あんたらの敵対者さ」


「滅びを望む者ってわけか。で、どうしてこんな所に?」


「情報を流していたのさ。知ってるぜ、あんたらのお仲間が俺たちを倒しに向かったってことを」


 この言葉を聞き、ボーノの表情が変わった。ザムサイラの言うことが本当であれば、滅びを望む者のアジトを壊滅しに行ったシュウたちの存在が伝わったかもしれないからだ。


「どこから聞いていた?」


「異世界の奴らが来た時からだよ。大体の情報を俺はアジトに流してた。重要そうなことからどうでもいいこともな。今頃、俺たちのアジトは侵入者を迎え撃つ準備をしているんだろうなぁ」


 と、ザムサイラはボーノを煽るような口調でこう言った。腹が立ったボーノは一発ザムサイラの顔面を殴ろうかと思ったが、タルトが現れた。


「タルトさん……」


「ボーノ、相手の挑発に乗るんじゃない。情報が流れていたのはまずかったが、大したミスじゃあないだろう」


 タルトの言葉を聞き、ザムサイラはにやりと笑った。


「あらまぁ、俺たちを倒す自信があるんですね旦那。知ってるんですよ。俺たちを倒しに行った奴の一人が旦那の息子、シュウだってことを」


「私はシュウやクリムちゃん、皆の強さを知っている。だからこそ不安も何もない。きっとお前たちはシュウたちにやられるだろう」


 と言って、タルトは去って行った。ボーノは冷静になった後、ザムサイラを牢屋へ連行した。




剣地:車道


 俺とシュウは車から飛び降り、辺りを見回した。銃を持った奴の姿は見えない。俺たちが飛び出したのを察知して岩陰に隠れたようだ。俺が周囲を見ていると、シュウは車の様子を見ていた。


「車がどうかしたか? クリムたちが不安なのか?」


「弾丸の威力を調べてる。どうやら車を貫通していないようだ」


 シュウの言葉を聞き、俺は関心の声を上げた。車のボディには弾丸がめり込んだが、貫通はしていない。なら、そこまで弾丸の威力はない。奴らの攻撃で命を落とすことや、致命傷を負うことはないだろう。滅びを望む者の連中は、安い弾丸を使っているのだろう。おっと、そんなことを思っていると、敵がこちらに向けて銃を撃って来やがった。


「大した腕じゃないが、距離があるな」


「ああ。こっちが攻撃の準備をしている隙に敵は逃げるな」


 俺とシュウはそう話した後、近くの岩場に隠れた。さてどうすっかな。敵は大したことがないが、離れている以上普通に戦っていたら長期戦になる。俺は少し考えた後、シュウにこう言った。


「俺が直接叩いてくる。援護してくれねーか?」


「大丈夫か? 敵は一人とは限らないぞ」


「まーな。大したことはない」


「余裕みたいだな。それじゃあ任せろ」


 シュウの返事を聞いた後、俺は剣を持って移動を始めた。俺が出てきたのを察知して敵は俺を狙い、銃を向けた。だけど遅い。俺はそれより早いスピードで移動している。銃を構える暇なんて与えるかっつーの。そうしていると、別の方から発砲音が聞こえた。どうやらシュウの予想通り、敵に仲間がいたようだ。でもま、素早い俺の動きを見て動揺しているし、大した腕ではないというのが分かった。シュウもこの発砲音を聞き、敵に仲間がいることを察しただろう。近くの敵はシュウに任せ、俺は遠くの奴を狙おう。


「は……早すぎる……」


 敵の声が聞こえた。どうやら動揺してパニックになってるみたいだ。狙うなら今だな。俺は高くジャンプして敵の近くに着地し、笑顔を見せた。


「どもー」


「うわああああああああああああああああ!」


 俺が近くに着地したのを察知し、敵は銃の引き金を引こうとした。だが、俺はその前に電気の魔力で敵を攻撃し、銃を弾き飛ばした。


「アガッ!」


「さーてと、これでおしまいだ。大人しくした方がいいぜ」


 俺は持っていた剣を敵の喉元に向けてこう言った。


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