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本当に頼れるのは

成瀬:ケブルの村


 外から魔力を感じたため、私と剣地は外に出た。


「ナルセ、今戻ったわよ」


「私たちが先に戻って来たみたいですね」


「みたいだな」


 外にはヴァリエーレさんと、シュウとクリムがいた。滅びを望む者のお偉いさんらしい人が縄で縛られ、同行されていたため、アジトを壊滅させて連れてきたのだと私は判断した。


「私たちが攻めたアジトのトップは捕まえました。他の団員は現地の警察に引き渡しました」


「ヴァリエーレさん。俺とクリムはこいつを尋問するんで、先に休んでもいいですよ」


「分かったわ。それじゃ、お言葉に甘えて」


 会話を終え、シュウとクリムは滅びを望む者のお偉いさんを連れて去って行った。


「あの二人、ペアで組んで戦うとかなり強いわ」


 間近で二人の戦いを見たであろう、ヴァリエーレさんが私と剣地にこう言った。剣地はマジかと呟きつつ、イチャイチャしながら歩いているシュウとクリムを見た。この世界ではかなり有名なバカップルと言われているから、かなりの戦力なのだろう。いずれ、一緒に戦う時になったら私もあの二人の戦いを見ることになるだろう。




 スネックはスライムが開けた穴のせいで、転倒してしまった。起き上がろうとしたのだが、三人組はスネックに襲い掛かっていた。


「クソッたれ! どうにでもなれ!」


 一か八かの思いでスネックは動かせる右足で目の前の男を蹴った。蹴りは男の腹に命中し、後ろに吹き飛ばした。が、残りの二人の攻撃がスネックに命中した。


「グッ!」


 三人組の武器は剣。長さはそれほどないため、長剣よりも短いだろうとスネックは判断した。しかし、切れ味がいいためか、斬撃を受けたスネックの服は、綺麗に切れてしまった。


「少し体を動かし、急所を動かしたようだな」


「だが、次はそうはいかんぞ」


 二人は剣を構えなおし、スネックにこう言った。この隙を狙い、スネックは立ち上がって銃剣を構えた。


「お前らに次はねーさ。剣と銃、どっちが強いか分かってるだろ?」


「分かっているさ」


「我らの剣の方が上だ!」


 そう言いながら、蹴り飛ばされた男がスネックに斬りかかった。スネックは攻撃をかわしたのだが、後ろにあのスライムがいたことに気付いた。


「ヤッベ!」


 攻撃をかわしながら、スネックは後ろへバク転しながらスライムを飛び越し、地面に着地した。そしてすぐに銃剣を構え、一人に向けて発砲した。しかし、スライムが壁の用に立ちはだかり、スネックが発砲した弾丸を溶かしてしまった。


「無駄だと言った」


「貴様では我らに勝てん」


 三人組は勝ち誇ったかのように微笑んだ。だが、スネックの表情も微笑んでおり、三人組は笑いながらこう言った。


「おいおい、こんな状況だからって笑うなよ」


「自分が死ぬと分かって頭がおかしくなったのか?」


「お気の毒、ご愁傷様」


「バーカ。気の毒なのはテメーらの方だ」


 スネックの言葉を聞き、三人組は笑うのを止めた。その瞬間、突如闇のような物が発生し、スライムを飲み込んだ。


「な……何だ急に!」


 突如発生した闇を見て、三人組は目を開いて驚いた。しばらくして闇は消えたが、闇が飲み込んだスライムも消えていた。


「スライムが……消えた」


「まさか、闇の魔力を使う魔法使いか?」


「一体どこに?」


 三人組はスネックの仲間がいると察し、周囲を見回した。だが、その隙にスネックは銃剣で三人組の足を撃った。


「グガッ!」


「グッ……卑怯な!」


「戦いに卑怯も何もねーだろ。それに、テメーらだって物騒なもん使ったじゃねーか」


 スネックは銃剣を三人組に突き付けてこう言った。その直後、三人組の背後にシュガーが現れた。


「スネックさん、そんな真似をしては行けませんよ。穏便、穏やかにことを解決しましょう」


 と言って、三人組のうちの一人に手にしていた注射器を刺し、液体を注入した。


「な……何を……し……した?」


「体温を急上昇させる少し危険なお薬です。簡単に言えば、この薬を使えば簡単に高熱の症状になれます」


 シュガーの説明の後、その男の顔は急に赤くなり、体力がなくなったかのようにその場に倒れた。二人は突如倒れた仲間を見て、恐怖の表情となった。それを気にせず、シュガーは残る二人に注射器で高熱の薬を注入した。


「ま……まず……い……」


「頭が……痛い。体が……熱い……」


 シュガーの薬を注入された二人は、うめき声を上げた後、その場に倒れた。スネックは物騒だなと思いつつ、注射器を持って微笑むシュガーを見た。


「さてスネックさん。この三人を連れてケブルの村に戻りましょう」


「お願いね、スネック」


 そう言ってシュガーとリナサは去ろうとした。先に帰ろうとした二人を見て、スネックは倒れている三人組を縛りながら叫んだ。


「おい! 何で俺一人で三人を連れて行かなきゃならないんだ!」


「一人で勝手に動いた罰ですよー」


「スネック一人で何でもできるんでしょ? だったら一人で三人連れて来てよ」


「無理だって! お前らも手伝ってくれよ!」


「女の子に男を背負って歩けっていうの? 男の言うことー?」


「この三人組にとどめを刺したのはどこのどいつだ!」


 スネックは文句を言っていたが、二人が先に行ってしまったため、スネックは仕方ないと思いつつ、一人で三人組を連れて行った。


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