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不利な状況下での戦い

 スネックはシュガーとリナサと共に滅びを望む者のアジトを探していたが、やる気があるかどうか分からない二人を置いて、自身が見つけた不審者の三人組を追いかけた。スネックは三人組がどう動くかを確認するため、距離を置いて様子を見ることにした。ここは町の中で、人も多数いる。こんな状況で戦うと無関係の人が戦いに巻き込まれる。なので、スネックは三人組が町の中から出て行くと同時に話しかけると決めた。しかし、あの三人組が町の外に出て行くかどうかは分からない。それに、滅びを望む者の関係者であると確定したわけでもない。だが、あの三人組は異様で怪しいとスネックは長年の経験の勘で感じていた。


 尾行を始めて数分後、あの三人組は町の外に出て行った。自分の勘が当たったと思いながら、スネックは三人組の後を追い、人の気配がいない所へ行ってくれと願った。またしばらく尾行を続けると、三人組は人の気配がない所へ向かった。よっしゃと思いながら、スネックは銃剣を構えて三人組に向かって行った。


「手を上げろ。お前ら、あの町で何をやってたんだ?」


 スネックがこう聞くと、三人組の一人が振り向きつつ、ビンを手にしてスネックに向けて投げようとした。中には緑色の液体が入っており、危険物だと察したスネックは飛んで来るビンをかわし、三人組の一人に突進した。


「何だ今の液体は?」


「見ればわかるさ」


 三人組の一人がこう言うと、ビンは地面に落ち、割れた。その中にあった緑の液体は徐々に地面に広がっていった。そして、突如大きくなった。


「な……何じゃこりゃ!」


「ケッケッケ……スライムだよ。いろんな生き物の死体を混ぜて魔力を注ぎ込んだ。簡単に言えば、人の手で作ったモンスターだよ」


「クッ!」


 スネックは銃剣でそのうちの一人に斬りかかったが、別の二人が同じようにビンを投げ、スライムを出した。


「本当は町の中で暴れようと思ったけど、あんたがいたからできなかったじゃないか」


「でもその代わり、あんたでスライムの力を試すよ。さぁ、死んでくれ!」


「ケッ、あんな化け物にやられて死んでたまるかよ!」


 スネックはスライムに狙いを定めて銃剣を発砲した。放たれた弾丸はスライムを貫通し、大きな穴を作った。だが、スライムはうねうねと動きながら大きな穴を塞いでしまった。


「無駄無駄。スライムは核を撃たないと倒せないよ」


「ま、その核の大きさも一センチもないけれどね」


 三人組はそう言いながら、剣を持ってスネックに斬りかかった。スネックは攻撃を防御しながら後ろに下がったが、その後ろにはスライムがいた。地面から煙が発しているため、スライムには物を溶かす力があると察した。


「チッ!」


 スネックは高くジャンプし、三人組とスライムから距離を取った。


 これはまずいとスネックは思った。シュガーとリナサを連れてくればと後悔した。しかし、スライムを倒せなくてもあの三人組だけは倒すと決め、スネックは銃剣を構えて三人組に狙いを定めた。


「ほう。スライムが倒せないから我らを撃つつもりか」


「無駄なことを。一人で三人を相手にできるものか」


「貴様に勝ち目はないぞ」


「黙ってろ。群れじゃないと何もできねー奴らが」


 スネックがこう言うと、三人組は笑いながら言葉を返した。


「確かにな! だが、三人いるから何でもできる!」


「一人より多数! 勝つためには手段を選ばぬ!」


「ここで惨めに死ぬがいいわ!」


 三人組は物凄い速さでスネックに接近し、剣で攻撃を始めた。スネックは三人組の動きを見つつ、確実に防御をしていった。だが、スライムが地面を溶かしたせいでできた穴に足をとられ、スネックは転倒してしまった。


「グッ……ヤベェ」


 起き上がろうとしたが、三人組が宙から襲い掛かっていた。




剣地:ケブルの村


 ティーアたちが滅びを望む者のアジトへ向かって何時間か経過した。俺はその間剣の練習をしたり、タルトさんやラーソンのじーさんの話を聞いていた。話の中で、よくシュウとクリムの名前が挙がった。よくイチャイチャしているバカップルのような……というかバカップルの二人だが、シュウは右手に大きなダメージがあるが、銃の名手であり、クリムは最年少で賢者になるほどの魔力の天才。何度も難事件を解決したと。


「へー、結構強いんだね、あの二人」


 ルハラはお茶を飲みながらこう呟いた。成瀬も感心しながらあの二人の活躍の話を聞いていた。そんな中、タルトさんは不安な表情で言葉を発した。


「二人の活躍は素晴らしい。だが、不安な所がある」


「不安な所?」


「シュウの右腕のことだ。さっき言ったとおり、シュウは幼いころに右腕に傷を負った。今はまだ動かせるが……いずれ動かなくなるだろうと私は思う」


「魔力の治療で何とかなんないの?」


「ああ。魔力による治療でも、できる範囲とできない範囲がある」


 そうか……難しいんだな。シュウの奴も結構強そうに見えたが、かなり大きい傷を背負ってるんだな。だけど、その傷があったからこそ、今の二人の強い絆と力があるんだなと俺は思った。


 ん? 外から魔力を感じる。誰か帰ってきたのか?


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