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現れる異世界のハーレムパーティー

成瀬:コセントの村


 次の日に私たちはコセントの村へ向かった。騒動が起きてから日が経っているせいか、村で起きた異常気象を見るために人々が集まっていた。何が起きても私たちが守れるという保証はないのに。


「あ! ハーレムパーティーだ!」


「すげー、本物だ!」


「この異常気象を解決するために、本気ってわけだな」


 人々は私たちが村に到着したのを見て、騒ぎ始めた。私とヴァリエーレさん、ヴィルソルは恥ずかしそうにしてたが、会釈としてなのか剣地とティーアは手を振っていた。そんな中、ヴィルソルはルハラがいないことに気付いた。


「おい、ルハラはどこに行った?」


「この展開、もしや」


 その時だった。ルハラの歓喜の声と女性の声が響いた。


「ねーちゃん結構胸おっきいねー」


「いやーん。ルハラさんに揉み揉みされるー」


「何やっとんのじゃお前は!」


 女性の胸を揉んでいたルハラに対し、ヴィルソルが近付いて頭に拳骨を落とした。まったくもう。仕事で来てるってのに、ルハラのセクハラ癖は相変わらず治らない。というか、絶対治らないし、ルハラ自身も治す気はないだろう。


「うーん……やっぱりヴァリエーレの胸の方がいいなー」


 ルハラの言葉を聞き、セクハラを受けた女性はヴァリエーレさんの胸をまじまじと見つめた。


「ふむ……女性の私としてもこの位の胸の方がいいかもしれない」


「オイオイ、そんな話はあとでしてくれよ」


 剣地が冷や汗を流しながらこう言った。その後、私たちは村長の元へ向かい、騒動のことを尋ねた。どうやら、数週間前からデンゲの石碑に魔力を感じ、徐々に強くなっていったとのこと。伝説で異世界との繋がりがある際に石碑が強くなると言っていた。


「皆様、予想外のことが起こる可能性が大きいです。気を付けてください」


「分かりました。では、調査を開始します」


 私がこう言った後、私たちはデンゲの石碑へ向かった。剣地は驚きの声を上げ、石碑を見つめた。


「ありゃー、結構強い魔力感じるぞこりゃ」


「邪神と同レベルくらい強い魔力じゃな。何でこんな魔力が……」


 剣地とヴィルソルが近付いた瞬間、突如破裂したかのような音と共に石碑の中央に謎の空間が現れた。邪神との戦いの際、聖域の白馬が日本へ向かった邪神を追うため、私たちの為に空間を開けてくれたことがあった。それと似たような物だけど、周りには稲妻のような物が発し、どこか禍々しい物を感じた。


「何だこりゃ!」


「ま……まずい……吸い込まれる!」


 近くにいた剣地とヴィルソルは何かに掴まって耐えようとしたが、すでに遅かったのか体が宙に浮いていた。私とティーアは光で手を使って二人に向けて伸ばしたのだが、空間から発する吸引力が強いためか、私たちも宙に浮き、空間に吸い込まれた。


「嘘! ちょっと……何よこれ!」


「吸い込まれる!」


「こりゃちょっと……まずいね……」


「剣地とヴィルソルも助けないといけないのに……皆さん! 遠くへ逃げてください!」


 私は吸い込まれる際、石碑を見に来た人に向かって大声で叫んだ。私の叫び声が聞こえたのか、人々は去って行った。助かったみたいだけど、私たちは無事じゃないみたい。私たちはそのまま空間の中に吸い込まれてしまった。ああ、これからどうなるのかしら……。




 ユエスビの石碑から感じる魔力は徐々に強くなっていった。ローラとラーソンが真剣な顔で魔力を開放しているのを見て、クリムは今起きていることが改めてイレギュラーなことだと把握した。しばらくすると、大きな音と共に空間が現れた。


「な……何だありゃ!」


 シュウは驚きのあまり、声を上げて突如現れた空間を見つめた。タルトも口を開けて驚いており、構えていた剣を下ろしてしまった。そんな中、シュガーが空間の中から人影を見つけていた。


「誰かが出てくるみたい」


 それからしばらくし、空間の中にいた六人の人影が徐々に近づき、ユエスビの石碑の前に落下した。その直後、空間は消え、ユエスビの石碑から感じていた強い魔力は消滅した。だが、今クリムたちが注目していたのは空間から現れた六人の少年少女だった。


「イテテテテ……何だここ? 皆、無事か?」


 少年がこう言うと、周りにいた少女たちはゆっくりと立ち上がった。


「何とかね。でも……どこかしらここ?」


「さぁ? 丁度そこに武器を持ったおっかない連中がいるし、聞いてみる?」


 少女の中でも長い耳の少女が立ち上がり、ミゼリーに近付き、胸を見ながらこう尋ねた。


「ねー、ここどこ? で、お姉さん何カップ?」


「初めて会う人になんてことを聞くのじゃお前は!」


 褐色の少女が長い耳の少女に近付き、こう言った。その後、褐色の少女が代わりにミゼリーに話しかけた。


「すまぬがここはどこじゃ?」


「え……えーっと、ここはケブルの村……何だけど……」


「ケブルの村? ヴァリエーレ、そんな名前の村なんてあったかのう?」


「確か存在しないわ。それよりも、電話が通じないわ。リーナ姫にもシーアにも繋がらない」


「うわ、本当だ。圏外になってる」


「うーん……何か変なことになってきたな」


 少年少女が話をする中、バカップルが少年少女に近付いた。


「あなたたちは一体誰ですか?」


「変な空間から現れたようだけど、何かあったのか?」


 バカップルに声をかけられ、少年は考えながら答えた。


「えーっと……まぁ話せばいろいろあるけど……その前に自己紹介でもしねーか? 互いの名前と立場を理解してた方が話はしやすいだろ」


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