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異世界に繋がる石碑

 ある休日の日、シュウは携帯電話に一通のメールが届いていたことに気付いた。誰からだろうと思いつつメールを開き、宛先人がタルトであると確認した。それと同時に、誰かと電話をしていたクリムが驚きの声を上げた。


「明日にケブルに向かうから一緒に来い? そんな今すぐに準備とかできないよ。それでも向かう? その前にギルドの役員に連絡は……したの? ついさっき? 少しすれば話は通るって……ちょっと待ってよ、明日話すって言わないでよ。今すぐ話してよ。準備するからもう切るってこっちの都合も……もう」


 話が終わった後、クリムはため息を吐きながら携帯の通話を切った。クリムの口調からして、シュウは電話の相手がラーソンかローラだろうと思った。


「ラーソンさんかローラさんからの電話か?」


「そう。明日、ケブルの村に向かうことになりまして……」


「俺もだ。何か、ケブルの村で異常があったみたい。余裕があれば一緒に来てほしいって父さんからメールが来てた」


「タルトさんも?」


 エイトガーディアンであるタルトもラーソン、ローラと同じようにケブルの村の話が出た。何かあると思ったバカップルは、急いでギルドのカウンターへ向かった。役員を見つけ、シュウは急いで声をかけた。


「すみません。ケブルの村で何かありましたか?」


「私の祖父母からも連絡があったと思います」


 バカップルの言葉を聞き、役員は返事をして資料を見せた。


「今、ケブルの村では異世界とつながっていると言われているユエスビという石碑の周りに異常気象が発生しているようです。理由はまだ分からないため、エイトガーディアンが動いていると言われています」


「その異常の解決に私たちも手を貸してほしいと連絡が入りました」


 クリムの話を聞き、役員は頷いた。


「はい。こちらからも連絡が入っています。シュウさん、クリムさん。明日朝一でシュガーさんとミゼリーさんと一緒にケブルの村へ向かってください」


「分かりました」


「はい」


 バカップルは返事をした後、準備をしに部屋に戻った。




 翌朝、準備を終えたバカップルとシュガー、ミゼリーはすぐに迎えの車に乗った。ハリアの村から車で約二時間かけてケブルの村に到着した。村には、すでにタルトたちエイトガーディアンとローラとラーソンがいた。


「やっと来たようだねぇ」


「ミゼリーちゃん、お久しぶり」


 ラーソンはミゼリーの胸に触れようとしたが、キャニーとローラのビンタがラーソンにクリティカルヒットした。


「こんな中でバカやってんじゃないわよ」


「こんなセクハラジジイが賢者とは……」


「こんな祖父で申し訳ありません……」


 クリムはキャニーに対し、頭を下げた。スネックは咳ばらいをし、紫色の雲がかかっている方向を指さした。


「話はそれまでだ。さっさとあの異常気象を調べようぜ。何が起こる前にさっさと終わらせようぜ」


「ああ」


 その後、クリムたちはユエスビの石碑へ向かった。向かう途中でバカップルは通常時のユエスビの石碑の写真をタルトから見せてもらった。


「見た所普通の石碑みたいですね」


「石碑の中央が開いているんだね」


「ああ。だが……今はああなってる」


 ユエスビの石碑に到着したと同時に、タルトはバカップルに石碑を見るように促した。石碑の空間部分には、紫色の電気のような物が溜まっていた。クリムは魔力を感じたのか、小さく身震いしていた。


「感じたことのない強い魔力です」


「そうだねぇ。生まれて七十年は経ってるけど……こんな魔力は感じたことないよ」


「何かが起きそうな予感じゃ。皆の衆、何があってもいいように身構えておくのじゃ」


 ラーソンの言葉を聞いた後、クリムたちは各々の武器を構えた。




剣地:ロイボの町


 邪神を倒してから一年が経過した。その間いろいろあったが、邪神以上のインパクトのある事件ではなかった。その為か、簡単に解決することができた。だが、今俺たちの元に来た次の依頼は簡単ではなさそうだ。


「異世界に繋がる石碑?」


 不思議そうに成瀬が依頼の紙を見て呟いた。異世界に繋がるとか夢のあるような言葉だ。だが、この世界以外にも異世界って存在するのか? 少し胡散臭いような気がする。そう思っていると、後ろにいたルハラが成瀬の持つ依頼書を見に来た。


「なになにー? コセントの村のデンゲの石碑の周りで異常気象が発生。見たことも起きたこともない事例なので助けてくれと」


「それで、この石碑が異世界に繋がるって書いてあるのよ。変な話よね」


「夢のある話で我は嫌いではないのだがな」


 話を聞いていたヴィルソルが顔を洗いながらやって来た。ヴィルソルはタオルを首にかけた後、依頼書を覗いた。


「コセントの村か。確か、異常気象が発生しているとニュースで話題になっておったな」


「私もそのニュース見たよ。携帯でもSNSでも話題になってるよ」


「町の中でもその話で話題になってるわ」


 着替えをしていたティーアとヴァリエーレさんが、着替えを終えて戻って来た。成瀬は皆に依頼書を見せて、もう一度こう言った。


「皆、この依頼受ける?」


「もちろん。困ってる人がいるなら助けないと」


「ルハラの言う通りね。今回ばかりは私たちの力が必要なのかもしれないわ」


「異常気象だろうか何だろうが私たちの敵じゃないよ」


「今回の依頼に敵がいるかどうかは分からんが……ま、原因追及しなければ周辺の人たちも不安じゃろう。ケンジ、どうする?」


 ヴィルソルにこう言われた後、皆が俺に注目した。俺が言う答えは、一つしかない。


「行こう。何があったか分からねーけど、パパッと解決しようぜ」


 皆は俺の声を聞き、掛け声を上げた。


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