表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

325/448

深夜の大作戦

 山賊集団、ドゥールの団員は高笑いしながらバイクや車の運転をしていた。


「さーて、今日もあの村からいろんなもん奪いに行くぞ!」


「戦士共は皆殺しにしたし、今日からは楽に強奪できるぜ!」


「殺しちまえばこっちのもん、楽勝楽勝!」


 団員は勝った気分でバウリッドへ向かっていた。その一方で、クリムは村の入口で待機し、シュウとアチヤは高く、枝や葉で身を隠せそうな気の上にいた。二人はクリムからの連絡が送受信できるように、片耳に小型の通信機を付けていた。クリムは欠伸をしながら待機していると、アチヤから連絡が入った。


『クリムさん、そろそろ奴らが来ます』


「了解しました。先手必勝と行きましょう。先輩と一緒にグループの先頭の奴を攻撃してください」


『分かりました。やってみます』


 アチヤが返事をした後、クリムはアチヤがどれだけ活躍するか、少し見ることにした。




 ドゥールの団員はバウリッドへ向かうための坂道を見て、げんなりした声を出した。


「ここの坂道嫌いなんだよな。急だし長いし、ガソリン食っちまうよ」


「だな。俺らがここを占拠した後、爆薬でこの辺の道を変えるか」


「それがいいな。この辺の自然なんてどうでもいいし」


 そう話をしていると、何かが風を切るような音が聞こえた。気付いた団員は注意深く前を見たが、異常はなかった。


「何か変な音がしなかったか。シュッて感じな」


「何も聞こえなかったぞ」


「空耳なんじゃねーの?」


「空耳……か」


 同じ車に乗ってる団員に空耳と言われ、そうだろうと音に気付いた団員はそう思った。だが、突如何かが破裂する音が聞こえた。


「何だ、パンクか?」


 急いで外に飛び出し、タイヤを調べると、前輪の右側のタイヤが矢で打ち抜かれ、パンクしていたのだ。団員は矢を抜き取り、怒りをあらわにしたかのようにそれをへし折った。


「俺らに対してふざけたことをしてくれるじゃねーの。誰か分からねーけどぶっ殺してやるよ!」


「ハッハッハ! 俺たちドゥールに喧嘩を売るなんて大バカ野郎だな!」


 団員たちは笑い始めたが、もう一本の矢が後ろの車のタイヤに命中した。


「クソ! またどっからか矢が飛んで来た! 急いでサイドブレーキをして車を動けないようにしろ!」


 団員は後ろの車に乗る仲間にこう言ったが、どこからか弾丸が飛んで来て、後ろの車を撃ち抜いた。


「うわあああああああああああああ! 何だ、どっからか弾丸が飛んで来た!」


「慌てるな、とにかく車から降りろ!」


 後ろの車に乗っていた団員たちは急いで車から降りたが、目の前の車が狙撃され、その反動で動き出した。


「嘘だろ……動き出した!」


 団員は慌てて下に移動する車から避けたが、坂道の下にいた団員たちは滑って来る車に命中し、ぶっ飛んで行った。そんな中、バイクに乗っている団員たちがアクセルをふかしながら飛んで来た。


「俺たちが代わりに攻めてやる! このままぶっちぎるぜ!」


 怒りが混みあがるような感じの声で叫んだが、それと同じタイミングで何発も弾丸が放たれる音が響き、バイクを撃ち抜いた。


「うわああああああああああああああああ!」


「俺の愛車が!」


「ひでーことをしやがる!」


 撃ち抜かれたバイクから降りた団員は、動かなくなったバイクを見て悲しみに暮れていた。残った団員は、強くこぶしを握り締めてこう言った。


「誰がどんな手を使ったのかはどうでもいい……今は俺たちの敵をぶっ殺すだけだ! いや、あの村の連中全員皆殺しにしてやる!」


 団員の一人がこう言うと、他の団員は勇ましい声を上げた。そして、剣や槍、銃などの武器を持って坂道を走り始めた。バウリッドへ到着するまでかなり時間がかかったが、団員たちは息を切らせながらもバウリッドの入口に到着することができた。


「ハァ……ハァ……ハァ……やっと……到着した……」


「つ……つか……れ……た……」


「もう……ダメ」


「ギブアップ」


 だが、村に到着したと同時に、疲れ果てて団員は倒れてしまった。しかし、まだ戦う気力のある団員は、武器を持って村に向かった。


「出て来い……俺たちに歯向かう奴らは全員殺してやる!」


「ほう。そんな状態でできるものならやってみてください」


 そう言いながらクリムが団員の前に現れた。クリムの姿を見た瞬間、団員たちは血の気が引いたのか、顔の色が青く染まっていた。


「け……賢者クリム……な……ななな……何でこんな田舎の村に……」


「仕事で来たのです。あなたたちを倒してほしいと依頼されましたから」


 笑顔でクリムはそう答えた。その笑顔を見て、団員たちはクリムの笑顔の裏にはとんでもない殺意が秘められていると察し、逃げようとした。しかし、足元に無数の弾丸が放たれた。


「まさか……相方のシュウもいるってわけか?」


「オイオイオイオイ……あのバカップルが俺たちの相手になるなんて聞いてねーよ」


「か……勘弁してください……」


 負けを認めた団員たちは、クリムに向かって一斉に土下座をした。だが、人の命を奪った山賊集団に対し、クリムは魔力を開放してこう答えた。


「人の命を奪った人が土下座をしても、私には意味がないですよ。少し、痛みを知りなさい」


 クリムはそう言った後、団員たちを風で上空へ吹き飛ばした後、火や雷、水を使って懲らしめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ