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親子の前に現れる敵

 出入口での騒動を察した議員たちは、席を立って大声で叫んだ。


「この騒動は一体なんだ!」


「外で一体何が起きているんだ?」


「暴動でも起きているのか!」


「我らが死ねば、この国がどうなるのか王子は知っているのか!」


 と、次々と議員はアウに迫ってこう言った。その時、アウはクリムとリナサにこう言った。


「丁度いい、皆が集まった。バリアを張ってくれ」


「はい。分かりました」


 クリムが返事をすると、集まった議員が全員囲むほどのバリアが現れた。バリアを見た議員たちはホッとしてその場に座った。だが、アウだけは立っていた。


「安心するのはまだ早い。騒動はまだ終わってないんだ」


「やはり外で何かが……」


「僕の命を狙う輩が来たんだ。今、シュウ君とタルトさんがその相手をしている」


 アウの言葉を聞いた議員は驚き、アウにこう言った。


「輩って……何人来たんですか? もしかしたら多数かもしれませんよ? それに対してたった二人で対処って……」


「先輩とタルトさんの力を見くびってるんですか?」


 不安なことを言った議員に対し、クリムがこう言った。それに続いてリナサが口を開いた。


「お兄ちゃんとタルトさんは裏ギルドの連中なんかに負けない。必ず勝つ」


「しかし……」


「しかしもかかしもあるか。僕が雇ったのはギルドの中でも腕のいい戦士だ。彼らを信じるしか道は無い」


 アウはそう言って、議員たちを見回した。




 シュウは襲ってくる敵に対し、銃を撃って攻撃していた。


「ウオッ!」


「ギャアッ!」


「流石シュウ。一発一発確実に命中してる」


 タルトはシュウを見てこう言った。一人に対し、一発の弾丸で処理をしており、無駄な弾丸を一切使ってないのだ。シュウは銃のマガジンを外し、リロードを始めた。


「父さん、少し時間を稼いでくれ。リロードをしたいんだ」


「どのくらい時間が欲しい?」


「一分ちょい」


「分かった」


 タルトは返事をして、シュウの前に立った。それに対し、武器を持った敵が一斉に襲い掛かってきた。


「銃が無ければこっちのもんよ!」


「安物の剣で俺たちに敵うはずがない!」


「死ねェェェェェェェェ!」


 襲ってくる敵に対し、タルトは剣を構えて襲ってくる敵を素早く一閃した。


「んな……」


「早い……」


「安物の剣のくせに……」


「たかが安物の剣でも、使い手によっては最強の武器となる」


 タルトはそう言って前にいる敵を睨んだ。タルトの攻撃の際、シュウはリロードを終えて銃を構えている。どうあがいても勝てない。そう思った敵は後ずさりを始めた。だが、敵の一人が大声で笑った。


「こりゃー強い奴がいたもんだ。さっすがエイトガーディアンのタルト、そんでもってバカップルの片割れのシュウ!」


 敵の群れは大声を上げた男の方を注目した。その男はどいたどいたと言いながらシュウとタルトの前に歩いてきた。突如現れた男を見て、シュウとタルトは何だこいつと思いながら見ていた。男は軽くストレッチをしながらこう言った。


「俺はラモンド。金が欲しいから裏ギルドに入っている」


「裏ギルド……やはり目的はアウ王子の命か」


「まーな。ま、詳しいことはあまり話したくないし、俺としてもさっさと仕事を終わらせて帰りたいんだ。あんたらを倒したらさ、ここを通してよ」


 ラモンドはそう言うと、格闘技のような構えをとった。シュウは銃口を向けてラモンドに発砲したが、ラモンドは素早く弾丸を回避した。


「素早く銃を撃ったと思うが、引き金を引く前に相手を狙うから若干隙があるぜ」


 シュウの背後に回ったラモンドは、にやりと笑ってこう言った。だが、シュウとラモンドの間を引き裂くようにタルトの剣が現れた。


「シュウには手出しさせん!」


「そういやーあんたら、実の親子だったんだな。こりゃまた失礼っと。そいじゃ、あんたを始末してその後でシュウも始末してやるよ」


「そうはさせるか!」


 タルトは剣を振るってラモンドを攻撃したが、ラモンドは腕で防御をする姿勢をとった。それを見たタルトは腕を犠牲にするつもりかと思ったが、そのまま剣を振り下ろした。しばらくし、金属音が周囲に鳴り響き、床にタルトの剣の刃が突き刺さった。


「剣が……折れた……」


 シュウは折れた剣の刃を見て驚いていた。タルトも折れた剣を見て何があったのかと思いながらラモンドを見た。ラモンドの腕は鉄のようになっており、そこから煙が上がっていた。


「魔力を使えば腕は鉄のように固くなる。魔力で身体を強くできるのは誰でも知ってるはずだよ」


「まさか……体を鉄のように固くするとは……」


「鍛えに鍛えたからできた芸当だ。しかもこいつは防御以外にも攻撃で使えるぜ!」


 と言って、ラモンドはタルトにラリアットを仕掛けた。鉄のように固い腕のラリアットを喰らったタルトは、そのまま勢いよく壁に激突した。


「がああああああああああああああああああ!」


「父さん!」


 壁にめり込んだタルトを見て、シュウは思わず銃をラモンドに向けた。だが、ラモンドはめり込んだタルトを無理矢理引っぺがし、盾のように前に出した。


「さーてと、この状態で銃を使えるかな?」


 気を失ったタルトを盾にされ、シュウの指は震え始めた。


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