ビムを探せ!
マリの父親からマリの元カレ、ビムの存在を知ったシュウたち。話の中でビムの愛するがゆえに異常な行動をしてきたということも知り、彼がトッツオとマリの結婚式を台無しにした黒幕だと察しした。
話を聞いた後、シュウたちは一度トッツオが入院している病院へ向かった。
「あらギルドの皆さん、トッツオさんのお見舞いですか?」
「はい。少し用事で離れた所へ向かいますので、その前に一度伺おうと思いまして」
クリムがこう言うと、看護婦は安心するような笑顔を作ってこう言った。
「丁度良かったわ。トッツオさんが目を覚ましたのよ。今丁度面会可能になったわ」
「本当ですか!」
トッツオが無事に目を覚ました。このことを知ったシュウたちは歓喜の声を上げた。その後、シュウたちはトッツオがいる病室へ向かった。ベッドの上にいるトッツオはシュウたちに気が付き、挨拶をした。
「すみませんギルドの皆様、迷惑をかけてしまって……」
「あなたが迷惑をかけたわけじゃありませんよ」
「全て悪いのはビムと言う男かもしれないので」
と、フィアットがこう言った。ナギはこれまでのことをトッツオに話した。話を聞いたトッツオは難しい顔をしてこう言った。
「ビムか。マリが一度言っていたな、かなり酷い男と付き合ったことがあるって」
「我も話に聞いていたが、もし我があのような男と付き合うなら一度天罰と言って魔力の雷を頭の上に落とすな」
「物騒なことを言わないの」
クリムはヴァーナの頭にチョップしてこう言った。それからトッツオはペットポトルの中にある水を飲み、話を続けた。
「マリは僕と知り合う前、ビムのせいで男性不信になっていたんだ」
「そりゃーあんなことされたらそうなるわ」
「黙ってなさいフィアット。それで、あなたが何とかいろいろやってマリさんの男性不信を直したんですね」
ナギがこう聞くと、トッツオは照れながらこう言った。
「かもしれませんね。僕自身はありのままの態度で彼女に接してたから。それが彼女を癒すことにつながったんだと思う」
「いい話じゃないか」
と、ヴァーナは泣きながらこう言った。シュウはトッツオの方を向き、力強くこう言った。
「マリさんは俺たちが救い出します。結婚式はかなり延期になってしまいましたが、必ず俺たちが結婚式を再開させます」
「はい。私の先輩の言う通りです。悪いことをやった奴はコテンパンにやっつけて、あなたの前に突き出して、全裸で土下座とかいろいろやらせます」
「それだけじゃダメだクリム。奴の髪形を爆発アフロにし、半分くらい火傷させねば……」
「あんたらやりすぎよ! 全く、私のシュウさんの前でとんでもないこと言わないでよねー」
と、ナギはシュウの腕に抱き着きながらこう言った。クリムはその光景を見てすぐにナギをシュウから引っぺがした。
その後、シュウたちはビムが住んでいたと言われるアパートの前にいた。
「ビムさん? ああ確かにそんな人いたねー。ただ、彼女さんが出て行った後、それからすぐに引っ越しちゃったけど」
と、そのアパートの大家がこう言った。クリムはその話を聞いた後、次の質問をした。
「どこへ引っ越したか分かります?」
「ごめんね、そこまではおばさん知らないの。仕事の関係とか言ってたけど、場所までは話してなかったわねー」
「そうですか……そうだ、どこで働いてましたか?」
クリムがこう聞くと、大家は思い出しながら答えた。
「えーっとねぇ、確かここから近くのオオザエモン工場よ。確かあそこは接着剤の工場だったわねー」
「分かりました。貴重な時間をありがとうございます」
「はいねー。分からなかったらまた来てねー」
大家は手を振って去って行くシュウたちを見送った。話を聞いたシュウたちはすぐにオオザエモン工場へ向かい、関係者に話を聞いた。
「ビム? ああ、確かそんな奴いたなー」
「ビムさんが住んでいたアパートの大家さんに仕事の関係で引っ越したと聞いたのですが、どこへ行ったか分かりますか?」
シュウの質問を聞き、関係者は首を振ってこう言った。
「いや、分からないな。だけど仕事の関係で引っ越したってのに引っかかるなー」
「え?」
「俺たちの工場はここだけなんだよ。他の地域には企業を展開してないんだ。だから、別の工場へ異動とかないんだよ」
「それじゃあ……」
「あいつは嘘をついてるな。真面目な奴だったのに……彼女に振られて人が変わったのかな。この工場を辞めたのも降られてその直後だったな……」
関係者の話を聞いた後、シュウたちは近くのカフェで話をまとめることにした。
「まず一つ、ビムは何かしらの理由でどこかへ引っ越した」
「確実に降られたマリさんの元へ会うために引っ越しましたね」
シュウとクリムがこう言った後、ナギがジュースを飲んでこう言った。
「工場を辞めたのも全てマリさんと会うため。何を考えていたのか分からないけど……」
「だけどさー、ここで何もかも手がかり無くなっちゃったじゃーん!」
フィアットの言うとおり、工場や前に住んでいたアパートの大家にもどこへ引っ越すとか言ってなかった。もう証拠が無い。どうしようか思っていると、クリムがあることを思いついた。
「一度トッツオさんの元へ戻りましょう」
「どうしてだ?」
ヴァーナがこう聞くと、クリムは言葉を返した。
「トッツオさんは男性不信のマリさんとコミュニケーションをして信頼させ、男性不信を直した。その時の会話でビムのことを話していたかもしれないじゃない」
クリムの言葉を聞いた後、シュウたちはすぐに病院へ戻った。




