ティラとの任務
ティラがハリアの村のギルドに帰ってきた。その日の夜、ティラはギルドの戦士達を集めて宴会を開いていた。
「おら‼ 飲め飲め飲め‼ 酒をじゃんじゃん持ってこーい‼」
「全く、この人はバスの中でも飲んだってのに……」
シュウは呆れながら串に刺さった肉を食べていた。クリムはジュースを一口飲み、こう言った。
「昔から変わりませんね」
「ああ……あの人の修行は本当に地獄だったよ……」
過去の事を思い出しながら、シュウはしみじみと呟いた。
「私がいない間に何があったんですか?」
「私がたっぷりとこいつをしごいてやったんだよ‼ ヒック」
完全に酔っぱらったティラが、クリムに絡んで来た。
「ティラさん、もう酔ってる」
「酒なんて酔うために飲んでるようなもんだよ。お前達も一杯どうだ?」
「俺とクリムはまだ未成年です」
「そんな細かい事を気にすんなよ‼ ほら、私のおごりだ飲め‼」
と、ティラは2人に近付いてきたが、ミゼリーがティラの足元を凍らせた。それに気付いたティラは、ミゼリーに怒鳴った。
「おいコラ‼ 足を凍らすな嬢ちゃん‼」
「未成年にお酒を飲ますのは違法ですよ」
「分かったよ~、だから魔法を解いてくれ~」
「はいはい」
ミゼリーは魔法を解き、ティラの足元を解放させた。その後、自由になったティラは誰それ構わず酒を口の中に突っ込ませていった。
ここで注意、この世界でも現実でも未成年の飲酒は禁止されています。酒は美味いと思いますが、未成年が飲んだら体に毒なので絶対に飲まないように。成人になったからって、飲みすぎても毒だからほどほどに飲めよ‼ あと、酒が苦手な人に無理矢理飲ますなよ‼
数時間後、宴が終わったのか、ギルドの成人した戦士達は皆酔いつぶれて倒れていた。
「もう止めて……ティラさん……」
「もう飲めないっす……」
「吐きたい……トイレどこ?」
などと、うめき声が聞こえていた。シュウとクリム、そしてシュガーとラックは酔いつぶれたティラをベッドの上に移動させていた。
「全く、この人はギルドに帰ってすぐに皆を酔わせて……」
シュウはブツブツ小言を言いながらティラをベッドの上に乗せようとしていた。だが、途中でティラが寝返りを打ったため、ティラを支えているシュウとラックがバランスを崩しそうになった。
「あわわ。大丈夫ですか?」
「はい」
「この人、酒癖悪いな……シュウ、この酔っ払いが本当に師匠なのかい?」
ラックの質問に対し、シュウはため息とともにこう答えた。
「ああ……この人が俺の師匠で、育ての親なんだよな……」
「私も、この人の手で育てられたんですよね……」
クリムがこう言った後、バカップルは同時にため息を吐いた。
翌朝。ティラは欠伸をしながら起き上がった。
「あぁむ……もう朝か」
寝癖が付いた髪をぶっきらぼうに触りながら、ティラはギルドのカウンターに向かった。そこで、まだ酔って倒れているギルドの戦士達を見つけた。
「お前ら情けねーな。あの程度飲んでまだ立ち上がれないって、本当に鍛えてるのか?」
「そんなところを……鍛える必要はねーだろ……」
と、苦しそうにジャックがこう言った。その直後、気を失った。
「ったく、飲み相手がいないとこっちはつまんねーんだよなー」
「じゃあ、今日は俺達と一緒に依頼に行きましょう」
ティラの後ろにいたシュウがこう言った。
「ティラさんが皆さんを酔い潰したせいで、カウンターの人達の仕事が増えてしまったんですよ」
「久しぶりに、こっちでの仕事を頑張ってくださいね」
「あー……へーへー」
バカップルに言われ、ティラはめんどくさそうに返事をした。
その後、3人はカウンターへ向かい、依頼表を見ていた。
「今のところ、緊急性のある依頼はなさそうですね」
「しばらくはここ周辺の依頼をやろう。この前から結構遠くへ行ったりしてたし」
「そうですね」
そんな話をしながら依頼表をめくっていると、ティラが何かを見つけたのか、あるページに目を付けた。
「うし、これにしよう」
「これは……モンスター退治か」
シュウはティラが見つけたページを見て、依頼の確認を行った。
依頼の内容はリザードブロスの討伐。リザードブロスは、大きくて二足歩行のトカゲのようなモンスターである。しかし、リザードブロスの体には頑丈な鱗が生えており、剣や弾丸の攻撃を弾いてしまう時がある。それと、爪には若干の毒がある。多少の攻撃なら毒に侵されることはないが、何度も攻撃を受けると麻痺性の毒が体に回り、身動きが取れなくなってしまう。リザードブロスは獲物を何度も攻撃し、動けなくなったところを始末するという性質を持っている。ある意味嫌な性格のモンスターだ。
「リザードブロスか。クリム、この依頼でいいか?」
「ここから近場ですし。大丈夫です」
「うーし決まった‼ 早速行こう‼」
その後、シュウ達は依頼を受け、現場へ向かって行った。
ハリアの村から車で数分後、シュウ達は依頼場所であるナシュシュの滝に来ていた。
「相変わらずこの滝はすげーなー」
「師匠、感傷に浸っている暇があったらリザードブロスを探してください」
懐かしそうに滝を眺めるティラに対し、シュウはこう言った。だが、ティラは鼻で笑っていた。
「まだまだ甘いな。奴ら、もうすでにこの辺にいるぜ」
「え?」
その直後、シュウとクリムの頭上に3匹のリザードブロスが襲ってきた。クリムはとっさにバリアを張り、攻撃を防御した。
「そら、さっそくお出ましだ」
と、ティラはにやにや笑いながら銃を構えた。




