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カーボンを襲うズノーベアー

 三手に別れた後、バカップルは魔力や銃を使いながら確実にズノーベアーを駆除していった。本気を出したバカップルが化け物並みに強いことを察したズノーベアーは、恐れをなして逃げようとした。だが、逃げようとしたところでシュウの放つ銃弾がズノーベアーの後頭部を撃ち抜いた。


「逃がさねーって。また悪さするつもりだろ?」


「無駄な殺生はしたくないのですが、あなたたちみたいな悪知恵が働く熊は別です。悪意を持って動くモンスターを生かす理由はありません」


 バカップルの非情な攻撃がズノーベアーに襲い掛かっていた。一方別の所で戦うティラも、クララの背後からスナイパーライフルを使い、一発で確実にズノーベアーを駆除していった。


「へへっ、命中命中」


「ティラさん、本気を出すとすごいんですね」


 と、クララがティラの方を振り返りつつ、襲って来たズノーベアーを撃退した。ティラは逃げようとしたズノーベアーを撃ち抜いた後、笑いながらこう言った。


「本気だせばあんなの敵じゃないよ。悪知恵が働こうが、私の方が悪知恵は働く。奴らが次にどう動くかは大体察知してんだよ」


「似たような性格だから、分かるんですか?」


「熊と一緒にしないでよー」


 言葉を返しながら、ティラは攻撃を続けていた。




 その頃、一人で動くカーボンは襲い掛かってくるズノーベアーを斬り捨てていた。


「ふぅ……流石に数が多いときついな……」


 常日頃鍛錬をしているカーボンだったが、一人で無数のズノーベアーと戦っているせいで疲れが溜まってきた。それでも、カーボンが倒したズノーベアーは三十匹は越えていた。仲間の死体を見たズノーベアーはカーボンを見て恐れていたが、一部のズノーベアーはカーボンの疲労が溜まっていることを察し、襲い掛かった。


「疲れた所を狙ってきたか。だが、その程度では俺は倒せないぞ」


 そう言うと、カーボンは鞘に納めた剣を素早く振り払い、襲って来たズノーベアーを切り裂いた。宙に舞ったズノーベアーの群れが地面に倒れた後、カーボンは恐れをなしているズノーベアーの方を睨んでこう言った。


「人の言葉が分かるのであればよく聞け。死にたくなければここへ来るな。俺が去った後も、悪さをするようであれば貴様らを一匹残らず斬り捨てる」


 少し魔力を込め、威厳と威圧を発した。カーボンの狙い通りズノーベアーは少し後ろに下がった。しかし、そのうちの一匹がにやりとカーボンの方を睨んでいた。変な奴もいるんだなと思いつつ、カーボンがその一匹の動きを見てると、その一匹は足元に落ちていた大きめの木の枝を手にし、鋭い爪を使って剣に似た形にした。そして、勇ましい声を上げながらカーボンに襲い掛かった。


「俺の真似をするのか」


 さっきの攻撃を見て、真似をされたのだとカーボンは察した。ズノーベアーは勢いよく木の剣をカーボンに向けて振り下ろした。カーボンは攻撃をかわしたが、前髪にかすり、少し毛が斬れてしまった。


「即興で作った割に威力はあるじゃないか」


 カーボンがこう言うと、ズノーベアーは木の剣を横に強く振った。カーボンは木の剣をへし折るため、剣を構えた。そして、相手の攻撃に合わせてカーボンは剣を振るった。カーボンの剣はズノーベアーの木の剣を半分に切った。半分に切られた木の剣を見て、ズノーベアーはにやりと笑った。その笑みをカーボンは見て驚いた。


「策があるのか?」


 そう呟いた時、ズノーベアーは折れた木の剣を両手に持ち、二刀流の構えでカーボンに襲い掛かった。


「グッ、この手があったか!」


 カーボンはズノーベアーの攻撃を弾きながら呟いた。ズノーベアーの隙の無い攻撃を弾いたり受け流す中、カーボンはあることに気付いた。


(何だ、動きは素人じゃないか)


 いくら攻撃の隙が無くても、同じような動きをすればいずれ見切られてしまう。カーボンは剣の道に生きる中でこう学んでいた。その為、似たような動きは一切しないよう心掛けているのだ。だが、いくら賢いズノーベアーでも、この考えまでは浮かばなかった。


「さて、対処法も出来上がったことだし、お前に本当の剣の使い方を教えよう」


 そう言うと、カーボンは相手の動きに合わせて剣を振るった。剣によって弾かれた二本の木の剣は宙を舞い、そのまま川へ落ちて行った。ズノーベアーは木の剣を取りに行こうとしたが、目の前にカーボンが現れた。


「頭の回転はよかった方だが、所詮は付け刃。そんなものでは俺には通用せん!」


 そう言うと、カーボンは勢いよく剣を振り、ズノーベアーを一閃した。戦いの様子を見ていた他のズノーベアーは茫然としながら、この光景を見ていた。カーボンは剣を鞘に納め、睨むような目でズノーベアーを見た。こいつを怒らせたら殺される。そう察したズノーベアーは悲鳴を上げながら逃げて行った。戦いが終わった後、カーボンは息を吐いてその場に座った。


「少し厄介な相手だったな……」


 そう呟いた後、自分の手を見つめた。もし、シュウとの戦い、そして再開と二度目の敗北をし、色んな事をカーボンは考え直した。その結果が今の強さにつながったと、再認識した。


「休んだらシュウたちの所へ行こう」


 そう言った後、カーボンは座りながらその場で力を抜いた。


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