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リナサの本気

 リナサがまだタルトたちと出会う前、リナサは周囲から不審な目で見られていた。理由は一つ、他の人間とは違って光と闇の魔法が使えるから。そのせいで他の魔法は使えないダメ女とか、他の子と違うから関わっちゃダメなどと大人たちに言われ、親類にも変という理由で遠ざけられていた。そのせいでいつも独りぼっちだった。だが、リナサの話を聞いたタルトが彼女の元にやって来た。理由はギルドにスカウトするためだ。最初、スカウトの話を聞いたリナサは断ったが、タルトの話を聞いてギルドに入る決意をした。タルトが話したことは、失った家族のことである。その当時のタルトの話を聞き、リナサは重い悲しみを背負った人がいるんだなと思った。だが、タルトが戦う理由を聞き、決意したのだ。その理由は、悲しむ人を出さないため。その為に、どんな力でも必要だと。その話を聞き、他とは違う自分の力が、他人の為になるとリナサは察したのだ。


 それからリナサはギルドで活躍をしていった。それからタルトの推薦でエイトガーディアンというギルド内で位の高い地位に納まった。それでも、リナサはタルトから聞いた戦う理由を忘れなかった。


 今、リナサは本気で戦おうとしている。自分の力で本当に悪い奴を倒そうと思っているのだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


 リナサは目を閉じ、闇と光を一体化させ、巨大な剣を作った。それを見たルーファは驚き、後ろに下がった。


「光と闇の剣だと……」


 幻と言われている光と闇が合体した剣。ルーファはその威力を知らない。というか、知る由もない。今まで光と闇を使った魔法使いとは出会ったことはなかったし、幻と言われている光と闇が合体したらどうなるか考えてもなかったのだ。


「本気であなたを斬ります」


「グッ……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ルーファは恐怖心を振り払い、リナサに向かって走って行った。ルーファは思った、当たらなければ問題はないと。床を蹴って剣より高く飛び上がり、ルーファはリナサに向かって飛び蹴りを放った。リナサはルーファの飛び蹴りをかわし、大きく剣を振り払った。ルーファは攻撃を察知し、再び高く飛んで攻撃をかわした。その時、ルーファはリナサの剣の腕を察した。リナサの剣の腕は高くないと。


「フッ、慣れない剣を使って戦うからそうなるんだ」


 リナサに向かってそう言ったが、それでもリナサは剣で戦い続けた。


「愚かだな。所詮ガキはガキか」


 恐怖心が無くなったルーファはリナサの攻撃をかわし、背後に回って回転しながら裏拳で攻撃をしようとした。だが、ジャンプした瞬間に突如めまいが発した。


「グウッ!」


 ルーファは動きを止め、攻撃を受けないように後ろに下がった。だが、リナサは剣を振り上げ、その攻撃に命中した。


「グファッ!」


 攻撃を受けたルーファは体にできた切り口から血を流しつつ、宙に舞って床に倒れた。光と闇が合体した剣は威力が高く、激しい痛みがルーファを襲った。しかし、致命傷ではないため、何とか動くことはできた。安堵したルーファだったが、再びめまいが襲った。しかも、今度のめまいはかなり強く、たっているだけでも体が宙に浮いているかのような感覚になっている。


「ど……どうしてこうなった?」


「集中すると、回りが見えなくなる人ですねぇ」


 と、シュガーが注射器を手にしてこう言った。その中には、紫色の物体が入っていた。それを見て、シュガーが隙を見て自分に接近し、素早く注射したとルーファは察した。


「何だ……それは?」


「パリーピ草を煮詰めた薬です。知っていますか? パリーピ草には精神を安定化させる効果がありますが、強い副作用として神経や感覚を長時間混乱させてしまいます。少量だったらいいのですが……大量の場合はどうなるんでしょうかねぇ~?」


 恐ろしい表情をしたシュガーの説明を聞き、ルーファは絶望した。戦闘能力が無いと判断したシュガーの手によって、あっという間に追い詰められてしまったからだ。立ち上がろうとしたが、やはり副作用のせいで立つことができず、何度も倒れてしまった。その動きを察し、リナサが光と闇の剣を持ってルーファに近付いた。


「これで終わりです!」


「クソッ!」


 ルーファは防御しようとしたが、リナサの光と闇の剣の前では効果がなかった。攻撃を喰らったルーファはそのまま後ろの壁に吹き飛んで激突し、気を失った。




 タルトとスネックは上の階にいた。襲ってくる信者はいないが、二人は信者は下にいるシュウたちに向かったと推理した。


「雑魚がいないと楽だな」


「だが、奴が何を考えているか分からない。罠の可能性もある」


「ああ。悪あがきしても無駄だっつーのに」


 スネックはそう言って、目の前の扉を蹴り飛ばした。部屋の中にいたのは袋を持って逃げようとしているムジの姿があった。


「あ!」


「逃がさねーよ」


 スネックはすぐに銃剣を手にし、逃げようとするムジの足を撃ち抜いた。ムジは悲鳴を上げ、その場に倒れこんだ。二発目を撃とうとするスネックに対し、タルトは止めろと手でジェスチャーをし、倒れたムジの方へ向かった。


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