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直接対決の時

「オラァッ!」


 勢いよく声を出しながら、スネックはボイスヘブン本部の入り口のドアを蹴り飛ばした。


「やりすぎじゃないのー?」


「向こうは俺たちが来ることを知ってるんだ。どうせなら派手に行こうぜ」


 と、スネックはシュガーにこう言った。入口が無理矢理開かれた後、タルトが剣を持って先に入り、回りを見渡した。


「罠はない。だが、敵の気配がする。各々武器を持って警戒しながら進むんだ」


「了解っと」


 タルトの言葉の後、シュウたちは武器を持ったり魔力を開放して本部の中へ入った。本部の中に入って最初に目に入ったのは、金で作られたムジの巨大な像だった。それを見たリナサはげんなりした表情で呟いた。


「気持ち悪い……」


「センスの塊もありませんね。自分の権力の強さを示したいのか、ただ目立ちたいだけなのか分かりませんね」


 クリムもリナサと同じようにげんなりとした表情でこう言った。スネックは銃剣を構え、ムジの像の右目に向かって発砲した。スネックが放った弾丸は、ムジの像の右目に食い込んだ。


「これくらいやっとかないと腹の虫がおさまらない」


「どうせなら頭をぶっ飛ばした方がよかったんじゃないですか?」


「弾の無駄だ」


「いや、さっきの行動も十分無駄なような気がするが……」


 スネックの発言を聞き、タルトは冷や汗をかきながらこう言った。その時、シュウが静かにしてくれと手で合図をした。


「敵が来る。足音が遠くから聞こえてくるよ」


「さて、派手にやりますかね?」


 スネックは再び銃剣を構えてこう言ったが、タルトは頭を横に振った。


「ここで派手にやると時間がかかる。手っ取り早く終わらせるには、ボイスヘブンのボスを倒すしかない。雑魚は時間稼ぎの駒だ」


「だな」


 その時、武器を持った信者たちが一斉にシュウたちに襲い掛かった。だが、クリムが雷の魔法を使い、信者たちを痺れさせた。


「手加減はしました。死なないのでご安心を」


「流石クリムお姉ちゃん」


 リナサは痺れてその場に倒れる信者を見ながら、クリムにこう言った。その後、シュウたちはボイスヘブンのボス、ムジを探すことにした。だが、本部はかなり広く、探すだけでも時間がかかる。そう思ったタルトは、シュウたちにこう言った。


「広い場所を六人で探すのは時間がかかる。ここは三手に別れよう」


「私と先輩、リナサちゃんとシュガーさん、タルトさんとスネックさんで組みますか?」


「それがいいかもね」


「俺もその案に賛成。手っ取り早く終わらせるにはうってつけだ」


 シュガーとシュウもタルトの案に乗り、それぞれ分かれて行動を始めた。




 バカップルは襲い来る信者を倒しながら、ムジを探していた。


「一体ここの信者は何人いるんだ?」


「それだけ人生で迷ってる人がいるってことですよね」


 倒した信者を縛り、バカップルはこう話をしていた。そんな中、信者の何人かがバカップルに向かってこう言った。


「当たり前だ。誰もが順調な人生を送れていない」


「俺たちは負け犬だ。だが、ムジ様はこんな俺たちを拾ってくれた」


「仕事で失敗ばかりの俺たちを、救ってくれたんだ」


「ムジ様を奪うな! 俺たちから居場所を奪うな!」


 声が上がった直後、次々と信者はムジを表する声と、バカップルを罵倒する声を出した。その声を聞き、クリムはため息を吐いてこう言った。


「少しきつい言葉かもしれませんが、何かを失ったのは何か理由があるんじゃないんですか? 誰かに奪われたってのもありますが、その時に自分自身が最善の手を尽くさなかったのもあるんじゃないんですか? 何もかも人のせいにするのはよくありませんよ」


 クリムの言葉を聞き、信者の一部は怒ったような表情をし、クリムに向かって叫んだ。


「このガキ! お前はいいよな、勝ち組の人生を歩めて! 俺たちは負け犬だ! あがいても逆らっても結局は負けるんだ!」


「天からの声が俺たちの支えなんだ!」


 再び上がった信者の声を聞き、シュウはため息を吐いて言葉を返した。


「自分よりもそんな声を信じる奴が偉そうに叫ぶなよ」


「先輩の言うとおりです。変なものを信じた結果、あなたたちは犯罪者となって、本当の負け犬になってしまったんですから」


 バカップルの言葉を聞き、信者たちは黙ってしまった。ようやく静かになったと思ったバカップルは、怯えている信者に近付いた。


「ヒッ……ヒェッ!」


「あなたなら何でも答えてくれそうですね」


「脅しみたいであまりいい気がしないけど、こっちの仕事だから勘弁してくれ」


 シュウはそう言って怯える信者にムジの居場所を尋ねた。だが、その信者は怯えて何も答えなかった。


「あなたたちのボスの居場所を教えてください。これ以上痛い目には合わせないので」


「嫌だ! 俺はあの人たちを裏切れない!」


「言わないとあんたの立場が危うくなるぜ。あんたも犯罪者の一人だからな」


「犯罪者……私はそんなのになった覚えはない!」


「武器を持って私たちに襲い掛かった以上、あなたには殺人未遂の罪が付きますよ」


 クリムの言葉を聞き、信者はこれ以上逃げても無駄だと察し、口を開いた。


「ムジ様はいつも……」


 その時だった、何者かが怯える信者に接近し、その信者の胸を剣で貫いた。周りにいた信者は驚き、逃げようとした。だが、謎の人物は逃げようとする信者に接近しては剣で一閃していった。


「役立たず共が。所詮は捨て駒に過ぎない負け犬というわけか……」


「あなた……」


 目の前の惨劇を防ぐことができなかったことと、簡単に人を殺した謎の人物に対し、クリムは怒りを燃やした。謎の人物はクリムの怒りの表情を見て、面白そうににやりと笑った。


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