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ボイスヘブンへ殴り込み

 タルトとスネックが救出された。この一報はすぐにシュウからボーノたちに伝わった。その後、話を聞いたボーノたちは会議を中断して現場へ急行した。


「タルトさん! 無事でよかったぜ!」


「死んだかと思いましたよ~」


「心配しましたよ。本当に!」


 ボーノとフィアット、キャニーは担架の上で横になっているタルトとスネックに近付き、声をかけた。リナサは涙を流しながらタルトに近付いていた。


「すまない、心配かけたようだね」


「俺たちは運がよかったんだ。あと少し発見するのが遅かったら死んでたんだとさ」


 スネックはこう言った後、ナンパをし、ローラにハンマーで叩かれているラーソンを見てため息を吐いた。


「まぁ、あんなスケベなじーさんに助けられるとは思ってもなかったがな」


「生きていただけでもいいとしよう」


 タルトはスネックの言葉を聞いて笑い始めた。そんな中、レスキュー隊員が二人に近付いてこう言った。


「お話し中申し訳ありません、そろそろ病院の方へ直行します」


「ああ。お願いします」


「俺たちはしばらく病院での生活だ。ボイスヘブンのこと、任せたぜ」


 タルトとスネックが救急車に運ばれた後、ボーノはにやりと笑ってシュウたちにこう言った。


「これで不安要素はなくなった。近いうちにボイスヘブンをとっちめる」




 次の日、クリムはシェラールのギルドのパソコンを使ってボイスヘブンのアジトを探していた。フィアットはパソコンを操作するクリムを見てこう言った。


「ネットで奴らの情報を探すことってできるの? 私、ああいう犯罪者はそんなことをしないと思うけど」


「奴らはテロ組織みたいですが、一応宗教団体です。それに、あんなことをしてても奴らを崇拝する奴はいます。これを見てください」


 クリムはパソコンの画面をフィアットに見せた。それは、ボイスヘブンの信者のブログだった。フィアットは「こんなのがあるんだ」と呟いてサイトを閲覧した。


「時折出てくる写真を見てください」


「はいはいえーっと……」


 クリムに言われた通り、フィアットは写真に注目をした。すると、ビルらしき建物と共に信者の姿が映った写真があった。ビルには、ボイスヘブンのマークがついた看板が付いていた。それを見て、フィアットはここがアジトだと確信した。


「流石賢者様。場所を確定することができたじゃん!」


「まだ終わってません。この場所の住所が確定してません」


 その後、クリムはその写真のデータをコピーし、ボーノの元へ持って行った。ボーノは今、シュウとジャック、クララと世間話をしていた。そんな中、クリムが先ほどの写真のコピーを手にしてやって来た。


「情報を手にしましたよ皆さん」


「本当か?」


「流石クリム」


 シュウはそう言ってクリムを抱きしめた。クリムは幸せそうな表情で写真のコピーをボーノに渡し、こう言った。


「ここがボイスヘブンの本部です。住所の確定まではしてませんので、調べてもらってもいいでしょうか?」


「ああ。後は俺たちに任せてくれ。お前たちは思う存分イチャイチャしてな」


「は~い。ありがとうございます~」


「行くか、クリム」


 シュウはクリムと手をつなぎ、イチャイチャしながら部屋に戻って行った。ジャックとクララはこの様子を見て最初は呆れたが、仕方ないかと思いつつ二人を見送った。




 数日後。シュウたちはシェラールのギルドの前で戦いの支度をしていた。今日、ボイスヘブンの本部へ向かうのである。激しい戦いが予想されるため、近くの住民たちは避難させ、マスコミたちが入らないように守りを固めた。


「奴らは私たちが来たことを察しているだろう」


「住民の動きが変だからそれで察するかもな」


 と、武器を持ったタルトとスネックがこう言った。その後ろでハヤテがチョコバーを食べながらこう言った。


「あんな連中、俺がギッタギタのボッコボコにしてやるぜ」


「病み上がりなんだから少しは抑えてねー」


 やる気満々の三人に対し、シュガーが笑顔でこう言った。三人はシュガーの笑みを見て、大人しくしたがった。実はこの三人、シュガーの荒治療を受けてすぐに回復することができたのだ。その分、大きな苦痛を味わったが。


「さて、そろそろ行きますか」


「ああ」


 その後、シュウたちを乗せた何台ものトラックがボイスヘブンの本部へ向かった。


 ボイスヘブン本部にて。トラックに乗って向かってくるシュウたちを確認したルーファがムジにこう言った。


「奴らが来た」


「そうか。では、近くにいる信者に罠を発動させろと命令しろ」


「分かった」


 ルーファは携帯を手にし、信者に命令を行った。その後、携帯をしまってムジに近付いた。


「もし、奴らが罠を潜り抜けたらどうする?」


「なーに。考えているさ。その為に鉄砲玉をたくさん用意したんじゃないか」


 ムジはそう答え、ルーファに監視カメラの映像を見せた。そこには、剣や銃を手にし、勇ましい声を上げている信者たちの姿が映っていた。


「やる気満々だな」


「さっきこう言ったんだ。我らを攻撃してくる奴らが来る。銃を持て、剣を持て。愚か者を逆に血祭りにしろと」


「考えていたのか」


「そうだ。あれだけの数がいれば、逃げる時間も稼げるしエイトガーディアンの一人くらい殺せるだろう」


 と、ムジはこう言ってワインが入ったワイングラスを片手で持ち、優雅に飲み始めた。


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