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ローラVSウルト

 ウルトは突如現れたローラを見て驚いていた。一目見てまず思ったことは「誰だあのババアは?」の言葉。そして、本当に戦えるかどうかか。


「俺の実力を見て狂っちまったのか?」


 ウルトはリロードをしながら小さく呟いた。リロードを終え、窓からシェラールのギルドを見つめた。屋上にはローラとバカップルがいたが、屋上の周りにはバリアのような物が張られていた。一度ライフルで撃ってみたが、ウルトの予想通り弾丸はバリアを貫くことはできなかった。


「予想以上に強いバリアだな」


 バリアを破壊することは不可能ということを知ったウルトは相手の魔力切れを狙った。強いバリアを張るためには強い魔力が必要。それを長く持続するにはさらに魔力が必要。強いバリアを長時間張り続けるのは困難である。いずれバリアは消えるだろうとウルトは考えたのだ。


「さて、根気よくやりますか」


 そう言って、ウルトは懐から煙草を出し、吸い始めた。




 ローラは欠伸をしながらウルトがいるビルを見つめていた。バリアを張るだけのローラを見て、クリムはどうするつもりか尋ねた。


「一体何をするつもりなんですか? いくらおばあちゃんのような賢者でも、いずれ魔力はなくなっちゃうよ」


「心配はいらんよ。次の攻撃はもう考えているよ」


 ローラはそう言うと、小さな火の魔力を発し、ウルトがいるビルに向けて放った。そして、ウルトがいるビル全体に炎のドームを作り出した。


「これで私の勝ちだ」


「え? あれだけで?」


 シュウはこれだけの行動で敵を倒せるのかと思った。心配そうなバカップルの顔を見て、ローラは再び欠伸をしてこう言った。


「さ、後は時間の勝負だ。お茶菓子はあるかい? 魔力を補給したいんだ」




 あれから一時間が経過した。ウルトはスコープを望遠鏡代わりにして下の様子を見た。シュガーの手によって操られたボイスヘブンの信者たちの同士討ちにより、半分以上が倒されてしまった。ボーノたちが倒れた信者たちをギルド内に運ぶ様子が見えたのだが、彼は手助けしようと思った。だが、屋上ではシュウがライフルを持ってこちらを狙っていた。下手に動いたらやられる。そう思い、舌打ちをしながらビルの中に戻った。


「あいつがいなければ助けられたのだがな……」


 そう呟き、ため息を吐いた。その時、ウルトは額に汗が流れたため、タオルで汗をぬぐった。それから水筒を手にし、水を飲もうとした。だが、水筒の中身は空だった。


「もうないか」


 渋々水筒をしまい、再び溜息を吐いた。それから再びその場で時間の流れを待ったのだが、喉の渇きはゆっくりとウルトを苦しめていた。


「水……クッ、水が欲しい」


 ウルトは立ち上がり、水を求めて歩き始めた。しかし、ここは廃ビル。使わなくなって何年か経過している。運よく水道から水が出るにしても、飲めるかどうか保証はない。だが、ウルトにそう考える余裕はなかった。今は喉の渇きを潤すことしか考えていなかったのだ。


「水……水……」


 歩く中、ウルトは熱さを感じ、衣服を脱ぎ始めた。スナイパーがいると思い、防弾仕様で分厚いチョッキや服を着ていたのだが、それらを着ているせいで余計熱さを感じたのだ。その後、下着姿でウルトは水を求めて歩いたのだが、水を手に入れることはできず、それどころか余計熱さを感じ始めた。


「クソッ……水が無い……それに、熱い……」


 そんな中、ウルトはあることに気付いた。今はそんなに大して熱くない季節。そして、今日の気温は真夏日ではない。それがどうして急に熱くなったのかとウルトは思った。


「まさか……」


 ウルトは急いで外を見て、ローラの方を見た。ローラはシートの上に座ってお茶菓子を食べていた。だが、彼女の周りには強い魔力を使った時に発するオーラのような物が見えていた。それを見て、ウルトは確信した。ローラが魔力を使って何かをしていると。


「あのクソババア!」


 こんな手を使って苦しめられたことを察したウルトはライフルを構え、感情に任せて銃を撃ち始めた。だが、ローラが作った分厚いバリアを貫通することはできなかった。


「クソッたれが! 直接向こうへ行ってぶっ殺してやる!」


 ウルトはナイフを持ち、ビルの外に出て行った。シェラールのギルドへ向かう途中、町の人が下着姿でナイフを持つウルトを見て、悲鳴を上げていた。


「キャアアアアアアアアアアアア! 不審者よ!」


「何だあの変態は? 頭がいかれてるのか?」


「こんな真昼間から変態と遭遇するなんてなんて日だ!」


「シェラールのギルドで騒ぎがあるし、変態が出るし、何だよ今日は?」


 人々の悲鳴を聞き、ウルトは流石にこの格好はまずいと察した。物陰に隠れてギルドへ行こうと考えた、近くのビルの裏側に移動した。だが、そこにはボーノとナギが立っていた。


「ナギ、こいつがハヤテを倒したのか?」


「ええそうよ」


「そいじゃ、ハヤテの仇をとりますかねっと!」


 ボーノはそう言ってナイフに電撃を纏わせ、強く振って電撃の刃を発した。電撃の刃はウルトに向かって飛んで行き、命中した。


「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 ウルトは悲鳴を上げながら感電した体を振るわせた後、その場に倒れた。黒焦げになったウルトを見て、ボーノはシェラールのギルドの屋上を見て呟いた。


「チュエールの賢者様に感謝しないとな」


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