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ギルド内での戦い

 バカップルが建物の中へ戻るのを見たジャックは、敵の中に優秀なスナイパーがいることを確信した。シュウがそのことに気付き、奴を倒すために戻ったのだと。そう思った後、後ろにいたナギにこう聞いた。


「なぁナギ。敵の中に銃を使う奴がいるか?」


「一人心当たりがあるわ。ハヤテを病院送りにした奴が銃を使ってたわ」


「分かった。そいつがいるかもな」


 スネックの言葉を聞き、ナギははっとした表情をした。だが、スネックがニコッと笑ってナギにこう言った。


「大丈夫だ。シュウとクリムが向かった。俺たちは目の前の敵を倒そう」


「はい」


 返事をした後、敵の一人がナギに向かって剣を振り下ろそうとしていた。だが、ナギは素早く剣を振るって反撃を行った。


 前線で戦っているギルド戦士の何名かが傷を受けて後ろに戻っている。後ろにいるシュガーとクララが治癒魔法や薬を使い、彼らの傷を治していた。


「大丈夫ですよ。安心してください」


「ああ、ありがとう」


 シュガーの手によって傷を受けた戦士の傷が癒されている。クララはたまにぶっ飛んだことをしているシュガーがたまには真面目にしっかりと働く姿を見て、少し動揺していた。そんな中、横に回った敵がシュガーに襲い掛かろうとした。


「敵の回復手段を潰せ!」


「ヒャッハー! 隙だらけだねぇ!」


「ぶっ殺してやるよ!」


 クララは敵の存在に気付き、魔力を開放して氷柱を発して攻撃した。敵の一部は氷柱に命中して倒すことができたが、一部の敵は上手くバイクを使って飛び上がり、そのまま近付いてきた。クララは敵を倒そうと魔力を開放したのだが、目の前から新たな敵が続々と現れていた。


「クッ、これじゃあ間に合わない!」


 今の自分では一度に大量の敵を倒すことができない。そうクララが察した時、リナサが現れて闇の魔法を使い、敵を一掃した。


「リナサさん」


「大丈夫です。私が援護に回ります。クララさんはシュガーさんの援護をお願いします」


「援護はいらないよ~」


 と、シュガーが声を上げた。どういうつもりなのだろうと思ったクララとリナサはシュガーの方を振り返り、言葉を失った。シュガーの周りには先程倒した敵が起き上がっていたが、どこか様子がおかしいのだ。そして、シュガーの手には怪しげな色の液体が入った瓶があった。


「あの、シュガーさん。それは一体何ですか?」


「これはね、飲んだ人を催眠状態にさせるおっかない薬品だよ。これを飲んだらロボットみたいに言うことを聞くの」


 話を聞いたクララはもしやと思った。シュガーはこれを使って敵を操り、同士討ちさせるのだと。


「さぁ、私の命令を聞きなさい。あの変な服の連中をコテンパンに、めっちゃくちゃに、ぼっこぼこにやっちゃいなさい!」


「アイアイサー!」


 シュガーの命令を聞き、操られたボイスヘブンの信者は仲間の元へ向かい、そのまま殴る蹴る武器で叩くという暴力を始めた。シュガーの手によって生み出されたカオスな光景を目の当たりにして、前で戦っていたジャックやボーノ、フィアットは目を丸くして驚いた。


「シュガーの奴、一体どこで物騒な薬品の作り方を学んだんだ?」


「おっかないな、相変わらず」


「ほへー、こりゃすごい。少し楽できるわ~」




 バカップルはギルドの屋上にいた。シュウはスナイパーライフルを構え、クリムは後ろに立ってバリアを展開していた。


「敵は俺たちの居場所を察知している。どこから弾丸が来るか分からないから注意してくれ」


「はい」


 バカップルは壁のある所へ行き、壁を背にして周囲を見回した。シュウはウルトがいたビルを見て、その周囲を調べた。先ほどウルトがいたビルの周りには同じようなビルがいくつかある。そこのビルからの狙撃も十分可能で、移動中に他のビルに移ったと可能性も十分あるとシュウは思った。その時、どこからか銃弾が聞こえた。


「避けるんだ!」


 シュウはクリムを連れ、前に移動した。少しして、ウルトが放った弾丸がシュウの後ろの壁に着弾した。


「そこだな」


 着弾から居場所を推理したシュウはライフルを構え、ウルトの場所を探した。離れた所にある廃ビルの屋上近くのフロアで、銃を構えたウルトの姿が見えた。シュウはウルトの動きを予想して引き金を引いた。だが、ウルトもシュウの出方を察しており、シュウが放った弾丸をかわしてしまった。


「やっぱり距離があると難しいな」


「あの勢いだと、バリアを張ってても無理ですね」


 クリムはウルトが放った弾丸の勢いを見て、自分のバリアが貫通されるほどの威力があることを察し、バリアを解除した。その代わり、回りに強風を発した。


「先輩、風を発して奴の弾丸の勢いを落とします。ですが、先輩が放つ弾丸も弱くなってしまいます。撃つ時に風を止めますので、一言お願いします」


「分かった」


 シュウが返事をした後、入口の方から声が聞こえた。


「そんなことをしてても、敵は倒せないよー」


 声の主はローラだった。驚いたバカップルは入口に戻り、ローラに近付いた。


「おばあちゃん! ここにいると危ないよ!」


「危なくないわ。あの程度のスナイパー、私にとっては大した敵じゃないよ。代わりな、私があのバカをとっちめてやるから」


 クリムの制止を聞かず、ローラは屋上へ向かった。ウルトは突如現れたローラを見て、目を丸くして驚いた。


「誰だ? あのババアは?」


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