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ボイスヘブンの宣戦布告

 シュウたちハリアの村の戦士はナギに言われた通り、シェラールのギルドへ向かった。向かったのはシュウ、クリム、ジャック、シュガー、クララ。それとラーソンとローラも同行すると言って付いてきた。エイトガーディアン用の会議室に入ると、心配そうな表情のリナサやボーノたちが席に座っていた。リナサがシュウに気付き、駆け付けてシュウに抱き着いた。


「お兄ちゃん……タルトさんが……タルトさんが……」


「父さんのことは俺も聞いてる。リナサ、父さんがどんな状況かはっきりしないけど、ずっと落ち込むわけにはいかないんだ」


「お兄ちゃん……」


 いつものシュウの顔を見て、リナサは少し安心した。そんな中、ボーノたちはシュウたちと一緒にいるラーソンとローラを見てクリムにこう聞いた。


「誰だあの二人は?」


「私のおじいちゃんとおばあちゃんです。チュエールの大賢者です。一応」


「大賢者か……」


 ボーノはまじまじとラーソンとローラの顔を見た。見た所普通の老人だが、ボーノは二人の中にあるとんでもなく強い魔力を感じ、にやりと笑った。


「こりゃまたとんでもないお方が来たみたいで」


「お話はこれで終わりましょう。今、テレビで大変なことをやっています」


 と、キャニーが会議室のテレビを見るように促した。映像にはボイスヘブンの関係者らしき人物が映っており、大声でこう言っていた。


『哀れなシェラールのエイトガーディアンよ! 我らボイスヘブンの行動を邪魔するのをやめていただきたい! 我らは天の国から命令を受け、誠実に動いているだけだ。我らの邪魔をするからあの二人は死んだのだ! 天の国の声は貴様らを哀れな者とみなしている。今後、似たようなことがあれば天の国から貴様らの抹殺の命令が下される可能性がある。これは警告だ。命が欲しくば、我らの邪魔をするな!』


 シュウはボイスヘブンの動画を見て、睨めつけるような目つきでこう言った。


「天の国からの命令? あいつら頭がいかれてんのか? あんな奴らのせいで父さんやスネックさんが……」


「先輩」


 クリムはシュウに近付き、首を振った。ここで怒りを爆発させるなと告げたのだ。クリムの方を見たシュウは冷静になり、ため息を吐いた。


「少し、頭を冷やしてきます。話はあとで伝えてください」


「ああ分かった。十分冷やして来いよ」


「私も行ってくる」


 リナサはバカップルと共に会議室から出て行った。三人が出て行った後、ボーノは息を吐いてこう言った。


「かなり精神的に参ってるようだね」


「これでも少しは良くなったんだぜ。あいつらの動画を見たせいで、また怒りが爆発しそうになったんだろ」


「あんな奴らの声を聞けば誰だってああなるよー」


「全く。何が天の国からの声ですか。シュウさんの言うとおり、あの人たちは頭がどうかしてます」


「私もそう思う。私以上のバカだよ奴ら」


 キャニーはクララの言うことに同感し、ボイスヘブンに対し文句を言い始めた。ボーノは咳ばらいをし、周囲を見回して口を開いた。


「ではボイスヘブン対策の会議を始める」




 ボイスヘブン本部。ここには神の声が聞こえるという巨大な黄金の玉が天井にぶら下がっていた。信者たちは土下座のような形で何度も頭を下げ、黄金の玉に向かって祈りを捧げていた。そんな中、黄金の玉の下に白い絹の衣装を羽織った男性が現れ、信者たちの前に立った。


「お告げが来る」


 そう言うと、信者たちは顔を上げ、男性の方を注目した。しばらくし、男性は目を開いて大声で叫んだ。


「天の国からの声だ! エイトガーディアンを滅ぼせ、シェラールのギルドを滅ぼせと!」


 信者たちはこの言葉を聞き、勇ましい声を上げた。男性は信者たちの声を聞き、彼らの戦闘意欲を掻き立てるために言葉を付け加えた。


「武器を持て! 魔力を使え! 今こそ我らの妨害を行うシェラールのギルドを、シェラールのエイトガーディアンを滅ぼす時だと!」


 信者たちは大声を上げ、武器を求めて外に出て行った。信者たちがいなくなった後、男性は安堵の息を吐いてこう言った。


「あれだけ鉄砲玉がいりゃーシェラールのエイトガーディアンなんてイチコロだろ」


 男性は懐から高い高級の葉巻を手にし、火をつけて口にくわえた。この男の名はムジと言う。簡単に言えば詐欺に似た形で人を騙し、洗脳させ、自身が作ったインチキ宗教ボイスヘブンに入れさせて自分の手足のように使い、犯罪行為をさせていたのだ。そんな汚いやり方を行うムジだが、奴に協力する輩もいる。


「シェラールのギルドを攻めるには早すぎないか?」


 そう声を出したのはムジの右腕的存在、ルーファである。ルーファの話を聞いたムジは花から煙を吐き、返事をした。


「あいつらをほっといたら次に何されるか分からんぞ。奴ら、ビルのテロで巻き込まれた仲間の仇をとるため燃えてるぞ」


「そんなことをするからだ。洗脳されてるかどうか確かめるためにドーデカイビルを壊さなくてもいい気がするが」


「不安なんだよ。ちゃんと操られるかどうか」


 ムジは返事をし、携帯を手にしてウルトに連絡をした。


「ウルトか。今からシェラールのギルドに攻めに行く。お前は援護に行ってくれ」


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