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占拠事件発生

 タルトは最近起きた事件をまとめた資料を見て、うなり声を上げていた。


「変な宗教絡みの事件が多いな……」


 そう呟き、近くにあったテレビのリモコンを手にし、スイッチを入れてテレビを付けた。テレビではシェラールで起きた暴動のことを話題にしていた。この暴動のことを、タルトは全て把握していた。


 暴動を起こしたのはボイスヘブンという少し危ない宗教団体。ボイスヘブンは神の声を聞ける力を持つと語り、手品のようなことを行って人を騙し、信者としている。連中が目的にするのは精神的に落ち込んでいる人や、回りを信じない人。そう言った人たちに近付いて仲間意識を持たせ、そのまま仲間にするというやり方をしているのだ。その後、彼らは神のお告げと信じ、暴動を起こしているのだ。


「ボイスヘブンの事件か」


 と、部屋に入って来たスネックがこう言った。


「スネックか。一応把握はしているんだな」


「まぁな。これだけバカでかい騒ぎを起こせば、嫌でも目に入るし耳にも入る。いずれそいつらと戦うかもしれないと思ってる」


「お前の言うとおりだな」


 スネックにそう言い、タルトは紅茶をすすった。その時、テレビに映るアナウンサーが慌てて資料を受け取り、マイクを直してこう言った。


『速報です! 只今、シェラールの西にあるドーデカイビルが占拠されました! 犯人グループは不明、人質もいる模様です!』


 ニュースを見て、タルトとスネックは急いで立ち上がり、部屋から出て行った。その際、支度をしながら廊下を歩いていた。


「スネック、他のエイトガーディアンは何をしている?」


「ハヤテとナギは武器の手入れでシェラールの外に出てる。他の連中は大型モンスターの討伐依頼に出て行ってる。今いるのは俺とあんただけだ」


「ハヤテとナギに伝えてくれ。手入れが終わり次第西のドーデカイビルに向かってくれと」


「了解。援護はどうする?」


「シュウとクリムちゃんに頼みたいが、時間が無い。かといって、多人数で向かったら相手が挑発していると勘違いを起こし、人質に傷をつける可能性がある。私とスネックで解決しよう」


「ヘヘッ、腕が鳴るぜ」


 スネックは銃剣を手にし、気合を入れたが、タルトはため息を吐いてこう言った。


「冷静になってくれよ。人質がいるんだから」


「分かってる。作戦はあるのか?」


「簡単に思いついたものがある。だがしかし、現状を調べるのが先だ」


「そうだな」


 会話をしながら歩いている二人は外に出て、用意されている車に乗り込んだ。




 同時刻、ハリアの村にいるラーソンとローラもキッチンのテレビでドーデカイビルの占拠事件を知った。


「あらまぁ、物騒な事件が起きてるねぇ」


「占拠して何がしたいんだか」


 二人はそう言いながら煎餅をかじっていた。バカップルは食事をしながらテレビを見て、こう話をしていた。


「父さんたちがいるからすぐに片付くと思うけど……」


「人質もいますし、簡単に動けませんね」


「にしても、ニュースになるっていうのに何でこんなことをするのやら」


 シュウはそう言ってお茶を飲んだ。その時、現場で動きがあった。どうやら占拠しているグループの一人が窓を蹴り破ったようだ。何をするつもりだとシュウは思いながら見ていると、占拠グループがメガホンを持って大声で叫んだ。


『我々はボイスヘブン! 神のお言葉により、このビルを我らの物にする! そしてもう一つのお言葉として、歯向かう者は全て死によって粛清せよと我々に告げた! 死にたくなければ、我々に歯向かうな!』


「全く、そんな物騒なことを言う神様がいてたまりますか」


 クリムは呆れてこう言った。すると、現場のリポーターが何かを見つけ声を上げた。


『あれはシェラールのギルド……エイトガーディアンです! 騒動を聞きつけやって来た模様です!』


 リポーターの声を聞き、シュウはテレビの方を注目した。そこには車から降りるタルトとスネックの姿が映っていた。




 スネックは車から降り、大声でマスコミ陣にこう言った。


「おいマスコミ共! 大声で叫ぶんじゃねー! 俺たちの仕事の邪魔だ、下がってろ!」


「スネック、言葉に気を付けてくれ」


「そうでも言わねーとマスコミ共は言うこと聞かないぜ。ほら見ろ、俺が怒鳴ってもカメラ回してやがる」


 スネックはカメラを回すマスコミを指さし、呆れたようにこう言った。タルトはそうだなと呟いた後、占拠されたドーデカイビルを見上げた。


「魔力を感じる。魔法を使う奴もそれなりにいるようだ」


「少しだが、硝煙の臭いもする。誰かが発砲したな」


「スネック、このまま突っ込むぞ。援護を頼む」


「分かったぜ。あんたの背中は俺が守ればいいんだろ?」


「その通りだ」


 会話をした後、二人はドーデカイビルの入口へ向かって走って行った。扉を蹴り開けた先に見た光景は、銃を構えたボイスヘブンの信者たちだった。


「こりゃー物騒なお出迎えなこと」


「ゆったりしている場合じゃないぞスネック、来るぞ!」


 タルトがこう言った直後、信者たちは二人に向かって一斉に銃を放った。だが、タルトの斬撃が弾丸を斬り落とし、スネックの銃剣の発砲で信者たちの方は撃ち抜かれて行った。


「大したことねーな!」


「油断せず行くぞ、スネック」


「ああ!」


 信者たちを倒した後、二人は急いでこの騒動の黒幕を探しに行った。


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