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魔法を極めし者の実力

 ハリアの村の隣町に銀行強盗が現れた。その報告を受け、シュウたちは急いで隣町の銀行へ向かった。すでに野次馬ができており、近くのテレビ局の人間や雑誌の記者たちが慌てながら仕事をしていた。そんな中、シュウたちが現れたため、更に騒動は大きくなった。


「見てください! 有名なバカップルが到着しました!」


「シュウさん、クリムさん! この事件について何か思うところはありますか?」


 バカップルが来たことを察した記者たちが、急いでバカップルに駆け付けた。クリムは嫌そうな顔をして記者たちにこう言った。


「来たばかりで状況を把握してません。被害が広がるかもしれませんので、下がってください」


 記者たちを追い払った後、ラーソンは銀行の様子を見た。


「ふーむ。それなりに魔法を使える奴がいるのか」


「ま、私らより強くないわね」


 ラーソンの横にいたローラが、ため息を吐いてこう言った。その後、クリムの方を見て続けてこう言った。


「あんたらの仕事だよ。ささっとやっちゃいなよ」


「ですね」


 クリムは魔力を開放してさっさと片付けようとしたが、ラーソンがクリムの前に立った。それに驚いたクリム、そして銃の用意をしていたシュウと戦う準備をしていたラックは慌ててラーソンの前に立った。


「おじいちゃん、私たちがやるから大丈夫だよ」


「クリムの大事な祖父です。傷ついたら大変です」


「それに、これはギルドの仕事なので……」


 三人はラーソンを引き留めたが、ラーソンは欠伸をしてこう言った。


「周りを見てみろ。美女がいるじゃないか。ここでわしが事件を解決したらモテモテになるじゃろう」


「下心を持って動かないでください!」


 呆れたクリムは何が何でもラーソンを止めようとしたが、ラーソンは銀行の方へ行ってしまった。


「あああああああああああああああ! 謎の爺さんが銀行へ行ってしまいました! というか大丈夫なのあれ? 本当に大丈夫?」


 ニュースの実況をしていたアナウンサーも、この状況を見て少し慌てた。アナウンサー以外の人も、ラーソンが銀行へ入ってしまい心配していた。そんな中、ローラは心配せず銀行の方を見ていた。




「おい、さっさと金を出せ! それと、逃走用の車も用意しろ!」


 強盗系裏ギルド、シーフハンドは銃を店員に向けてこう言った。銀行を襲ったのはよかったが、店員たちが恐怖で動けなくなり、なかなか袋に金を入れようとはしなかったのだ。


「チッ、恐怖でブルっちまったのか」


「こうなったら無理矢理やらせろ! 銃を頭に付けとけば、何が何でも言うことを聞くだろうよ! 聞かなかったらやっちまえばいいだけだ!」


 と、シーフハンドのリーダーが大声で叫んだ。部下たちは彼の言うとおりにし、店員の後頭部に銃口を押し付け、無理矢理命令を聞かせようとした。だがそんな中、ラーソンが銀行内に入って来た。


「何だあのじーさん? この状況が分かってここに来たのか?」


「案外ぼけてたりしてな」


 部下たちはラーソンを見て笑い出したが、どこか様子が違うことをリーダーは察しし、部下にこう言った。


「なんか嫌な予感がする。あのじーさんを撃て」


「いいんですか?」


「いいからやれ!」


 リーダーの命令を聞き、部下の数人が銃をラーソンに向けて発砲した。その音を聞いた外にいるマスコミたちは、慌て始めた。


「銃の音だ!」


「中で一体何があったんだ!」


「あの老人は無事か!」


 マスコミたちや野次馬は大きな声で慌てているが、シュウたちは動じなかった。クリムはため息を吐き、全くやれやれと呟いていた。


 発砲した部下は目の前の光景を見て言葉を失っていた。自分たちが発した弾丸が、ラーソンの目の前で止まっているからだ。


「な……何故弾丸が……」


「壁にでもぶつかった……いや、壁はないはずだ……」


「魔力のバリアじゃよ。上手くやれば目に見えないように細工することも可能じゃ」


 ラーソンはそう言うと、バリアを解除した。バリアにぶつかっていた弾丸は下に落ち、ラーソンはそれらを蹴り飛ばしながら先へ進んだ。


「全く、いい歳した連中が銀行強盗なんてやるもんじゃないぞ。失敗するし、罪が重くなるだけじゃよ」


「うるせークソジジイ!」


 部下たちはもう一度ラーソンに銃を向けた。それを見たラーソンは呆れてこう言った。


「さっきの光景を忘れたのか。鳥並みの記憶力じゃな」


 その後、ラーソンは魔力を少し開放し、風を発して部下が持つ拳銃を叩き落とした。だが、リーダーは攻撃が来るだろうと感じ、後ろに下がった。


「お前らじゃあのじーさんは倒せない。どけ、俺が始末する」


 リーダーはそう言うと、拳銃を構えた。ラーソンはまた同じ展開かと思っていたが、リーダーが持つ銃が部下たちが持つ銃とは違うことを察知し、開放している魔力を強めた。


「お主がリーダーの用じゃの。それなりに強いと見たが……所詮クズはクズじゃ。このわしが貴様らを掃除してやろう」


「やれるもんならやってみろよ。あんたが何者か知らねーが、俺たちに歯向かった以上命はないと思え」


 二人はそう言った後、同時に魔力を解き放った。


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