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欲張り野郎に制裁を

 スリラータはコエッリオ家の屋敷へ到着し、入口にいたグアルに話しかけた。


「変な輩がここへ来いと電話があったのだが」


「お待ちしていました。こちらへどうぞ」


 と、グアルはスリラータを屋敷の中へ案内し、ある部屋へ向かった。


「まさか、貴様らがあの電話に関わっているのか?」


「それはあなた様の方でご確認をお願いします」


「ったく、面倒だのぅ……」


 グアルに案内された部屋に入り、グアルは絶句した。そこには捕らえられたカラスの爪のメンバーがいたからだ。


「なっ……あ……」


「この連中の事をご存知ですよね」


 ソファの後ろにいたクリムが、スリラータにこう聞いた。


「知らん……知らんぞそんな連中は‼」


「そうですか。ではこの人に聞いてみましょうか」


 クリムはボロボロのヴァローナに近付き、こう聞いた。


「すみません、あの人の事をご存知ですか?」


「知ってるさ。あいつがハーゼの暗殺を依頼してきたんだ」


「本当ですね?」


 ここで、ハーゼがシュウとラック、シュガーと共に現れた。ハーゼの姿を見て、スリラータは冷や汗をかいた。


「な……何を言っているんだ。君の暗殺なんて頼むわけないだろう」


「じゃあ、あなたの体に聞いてみましょうか」


 シュガーがこう言った後、シュウとラックはスリラータが動かないように抑えた。


「何をする!?」


「すぐにわかるよ」


 シュウがこう答えた直後、シュガーがスリラータに近付いて治癒魔法をかけた。


「治癒魔法……何でそんな無意味なことを?」


「健康な人に治癒魔法をかけたら、どうなるか分かりますか?」


「知らん」


「うふふふ。では、自分でその答えを体験してください」


 この直後、スリラータの体に異変が起きた。急にめまいが起き、酔ったような感覚になったのだ。それに、頭痛も発生した。


「な……何だこれは……」


「健康な人に治癒魔法をかけたら……逆に体調不良になるんですねぇ~。初めて知りましたー」


 嘘だ。シュウはそう思いながら、悪魔のような微笑みをしているシュガーを見た。


「シュガーさん、これ以上やると多分この人が死ぬので、ここでやめておきましょう」


「え~? もう止めるの? もう少し苦しませようよ~」


「あなた、本当にヒーラーですか?死んだら話を聞けませんよ」


「そうだね」


 クリムに言われ、シュガーは治癒魔法を止めた。スリラータは苦しそうにその場に倒れ、何度も激しい呼吸を続けた。そんな時にクリムは近付き、こう聞いた。


「話してくれますね?」


「断ると、またさっきのやるよ~」


 シュガーの言葉を聞き、スリラータは自分の悪行を全て答えた。




 数時間後、スリラータとカラスの爪の連中は全員捕まる事になった。


「ふー、これにて一件落着だな」


「ですねー」


 と、シュウとクリムは窓から去っていくパトカーを見てこう呟いた。


「大変な任務だったけど、無事に終わって何よりだよ」


「もう少しあの欲張りさんの苦しそうな顔を見たかったなー」


「ちょっと……物騒なことを言わないでよ……」


 ラックとシュガーはこんな会話をしていた。そんな時、グアルが部屋に入って来てこう言聞いた。


「皆様はいつお帰りになりますか?」


「今依頼が終わったことをギルドに伝えましたので、あと2時間後ですかね」


「そうですか。いろいろなことがありましたが、迷惑をかけてしまい申し訳ありません」


 と、グアルは頭を下げてこう言った。


「あなたが頭を下げる必要はありませんよ。悪いのはあの欲張り野郎ですから」


「ハーゼ様が捕まった時はヒヤヒヤしたけど、でもシュウ君とクリムちゃんがいたから助かったね」


 クリムとシュガーがこう言った直後、ハーゼがシュウに近付いた。


「シュウさん。ちょっといいかしら」


「ん? どうしたの?」


「ちょっとしゃがんで」


 と、ハーゼに言われた後、シュウはハーゼの近くでしゃがんだ。その時、ハーゼはシュウの頬にキスをした。


「……ホギャビエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ‼」


 クリムの奇声を無視し、ハーゼはシュウにこう言った。


「今のは助けてくれたお礼。本当にありがとう、シュウさん‼」


 と言って、ハーゼは去って行った。




 帰りの車の中、クリムはシュウに抱き着いて何度もキスをしていた。


「クリムちゃん、車内で激しくしてたら運転手さんが大変だよー」


 シュガーがクリムを止めようとしていたが、クリムはキスを止めなかった。


「この依頼の間、ずっと先輩とイチャイチャできなかったんです。今この時で出来なかった分を返上しなければ……」


「ギルドに帰って部屋ですればよくなーい?」


「もう止まらないんです‼」


 キスをする中、シュウは目の前のクリムを抱きしめ、シュガーにこう言った。


「クリムの好きなようにすればいいさ。俺もクリムと寝れなくてちょっと寂しかったし」


「あ、そ」


 キスを再開した馬鹿二人を見て、シュガーは呆れて溜息を吐いた。

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