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カーボン、驚愕!

 カーボンがハリアの村に来てから数日、どうしてもシュウと戦いたいカーボンは本当にハリアの村からは動かなかった。バカップルは最初鬱陶しく思っていたが、次第に完全に無視してしまった。カーボンはシュウを見て勝負しろとか言っていたが、それでも無視していた。


 その際、カーボンは何も口にしなかった。それが何日か続いたため、カーボンは弱り切っていた。そしてある日、薬草取りに行ったシュガーとその手伝いのストブが山から戻ってきた。


「ごめんねー、せっかくの休日なのに手伝ってもらってー」


「気にすんなよ。休日でもやることは修行しかないし」


 二人は会話をしながら歩いていると、白目を向いて倒れているカーボンを見つけた。


「あのおっさん死んでるぜ」


「ほんとだねー」


「おい……勝手に殺すな……」


 弱り切ったカーボンは何とか立ち上がり、無視して去ろうとした二人に声をかけた。それを見た二人はカーボンの事をゾンビと叫びながら攻撃を始めた。


 数日後、二人の攻撃を喰らって入院したカーボンは無事退院し、再びギルドへ向かった。


「おいシュウ‼ いい加減俺と勝負したらどうだ!?」


「悪いなおっさん、今シュウは仕事でシェラールに行った」


 ロビーで依頼が終わったことを伝えていたジャックが、呆れてカーボンにこう言った。その言葉を聞き、カーボンは悔しそうに地団太を始めたが、ラックが近付いてこう言った。


「止めてください。それに、もうシュウ君は剣を握ることはできません」


「何故だ!? 剣から銃に装備を変えたのか? やっぱり剣より銃がいいのか!?」


「理由があります。実は……」


 ラックはシュウの過去についてカーボンに伝えた。シュウが右腕に大怪我を負ったことを知ったカーボンは大声で驚いた。


「うっせーなー……とにかくシュウはもう剣を使うことはできない。出来たとしてもナイフぐらいの重さだな」


 ジャックはカーボンに決闘を諦めさせようとしたが、それでもカーボンは諦めることをしなかった。


「まだ左手がある‼ 片手剣なら左手でも使えるだろ‼」


「納得しないオッサンだなー」


 戦うする気満々のカーボンを見て、ジャックは呆れていた。そんな中、バカップルが戻ってきた。


「依頼終わりましたー」


「あ、まだいますよあのオッサン」


「誰あのオッサン?」


 と、バカップルと一緒に付いてきたリナサがカーボンを見て怯えていた。


「先輩と戦いに来たしつこいオッサンです。シュガーさんとストブにぶっ飛ばされて入院したんですが……まだいたんですね」


「シュウ‼ 左手だけでもいいから俺と戦え‼」


 カーボンの言葉を聞き、シュウはラックの方を見た。ラックは手を合わせて頭を下げてこう言った。


「ごめん、あの人を諦めさせるにはあの話をするしかなくて」


「で、諦めなかったってわけか」


 シュウはため息を吐き、カーボンにこう言った。


「仕方ねーな。やってやるよ」




 数分後、村の広場にシュウとカーボンが立っていた。カーボンは両手で木刀を持ち、シュウは左手で少し短めの木刀を持っていた。リナサはシュウを見て、不安そうに呟いた。


「お兄ちゃんの木刀だけ短いような……」


「先輩曰く、左手で使う時は短めの方が使いやすいと」


 クリムがそう言った直後、勝負の始まりを告げる鐘の音が響いた。


「行くぞシュウ‼ うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」


 カーボンはシュウに向かって突っ込み、木刀を振り下ろした。だが、シュウは素早く動いて攻撃をかわし、カーボンの喉元に木刀を突き付けた。


「なっ……」


「口じゃあ大事を言ってるけど、大したことないな」


「ぐっ‼」


 近くにいたシュウに向かい、カーボンは木刀を振り回した。シュウは木刀を逆手に持ち換えて防御し、後ろに下がって距離を取り、木刀を持ちなおした。


「ちょこまかと……」


 カーボンはこの一瞬のシュウの動きを見てあることを感じていた。ギルドの戦士として幾度も危険な現場でシュウは戦っていた。それとは逆に、カーボンは修行としていつも剣を振って技を磨いていた。だが、鍛錬のつもりで行っていた行為が逆にシュウと自分の力の差を広げてしまったのだ。実戦で戦うシュウの方が、かなり強くなったのだ。しかし、カーボンは諦めなかった。鍛えた技でならシュウを倒せると、自信を持っていた。


「うおおおおおおおおおお‼」


 カーボンは木刀を構えなおし、何度も突きを放った。シュウはこの動きを見切り、攻撃をかわし、反撃を行った。だが、カーボンは攻撃が来るところを察して突きを止め、防御した。


「それなりに強いようだな」


 防御されたことを察したシュウは攻撃が来るだろうと考え、再び木刀を逆手に持ち、反撃の構えをとった。その後、シュウの予想通りカーボンは攻撃を行った。この際、カーボンの動きは素早かった。


「てああああああああああああああ‼」


 カーボンの木刀は横に振られた。木刀を逆手に持っていたため、防御をすることは簡単にできたが、反動が強く体勢を崩してしまった。


「……勝ったな」


 カーボンは勝利を確信し、シュウに向かって木刀を振り下ろそうとした。二人の戦いを見ていたリナサはシュウが負けると思い、不安そうな顔をしていた。だが、クリムは興味なさそうに戦いを見ていた。


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