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追い詰められた王女

 ギルドの戦士たちが戦って時間稼ぎをしてくれたおかげで、パンジー王女は非常事態の為に用意されているシェルターの中に避難する事が出来た。周りには腕の立つ護衛の戦士、パンジー王女の横にはバラ女王がいる。


「大丈夫よパンジー。ギルドの戦士たちがドクダミの裏ギルドを倒してくれるわ」


「私……少し心配です」


 バラ王女はギルドの戦士の事を信頼している。しかし、パンジー王女はずるい裏ギルドの奴がいて、そいつが命を狙ってくるのではないかと考えていた。その時、上から爆発音のような轟音が響いた。


「敵か!?」


「女王と王女を守れ‼ 円を作って囲むのだ‼」


 戦士たちは冷静に動き出し、パンジー王女とバラ女王を守るかのように円を組んだ。しばらくし、シェルターの入口が外れる音がし、そこからドクロハンドの団員が入って来た。


「ケッケッケ‼ ドクダミさんの言う通りやはりここにいたぜ‼」


「誰だろうが構わず血祭りに上げろ‼ そうすりゃーパンジーも巻き込まれる形でくたばるだろ‼」


「ヒャッハー! 祭りじゃァァァァァァァァァァァァ‼」


 団員は銃を持ち、無差別に発砲しようとした。しかし、その前にどこからか銃弾が放たれ、正確に団員の肩を貫いていた。


「グッ……誰だ!?」


 団員の一人が後ろを振り返って誰が銃を撃ったのか確認しようとしたが、その前に団員を襲うように雷が襲った。


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


「うぼあああああああああああああああああああ‼」


「ジビレリュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ‼」


 続けて雷に襲われたため、団員のほとんどが感電して倒れてしまった。団員に攻撃を行った人物は地面に倒れている団員を踏んず蹴るかのようにパンジー王女の元へ走って近付いた。


「無事でよかったです」


「シェルターって見つからない場所にあったんですね」


 パンジー王女たちを助けたのはバカップルだった。その後、クリムは倒れている団員を魔力の縄で縛って動けないようにし、シュウの元へ近づいた。


「これで雑魚は片付きました」


「そうですか……」


 団員がもういないことを察したパンジー王女は安堵したが、シュウは構えている銃を下ろそうとはしなかった。


「まだ魔力を感じます。強い奴がいるので油断しないでください」


「とにかく、今はドクダミと遭遇しないように避難してください」


「分かりました。シュウさん、クリムさん、どうかご無事で」


 パンジー王女はバカップルにこう言った後、バラ女王たちと共に奥へ向かった。




 シュガーとティラによって無残な姿となったフォンを遠くから見て、フォーヒャは呆れてため息を吐いた。その時、ドクダミとアベツアが近付いた。


「団員がほぼ全滅した」


「雑魚がクリムに敵うわけがないだろう」


「アベツア、倒したのは賢者の仲間だ。それに、フォンも今やられた」


 フォーヒャの言葉を聞き、ドクダミは頭を抱えた。


「参ったな、賢者クリムだけが強いと思ったが、そのほかの連中も強いとは」


「魔力を感じて今知ったが、クリムと仲のいいバカ共もいる。まさか奴らもギルドに入っていたとは」


「話はそれまでにしておこう。話をするよりも行動に移す事を考えろ」


 ドクダミはこう言った後、アベツアに近付いてこう言った。


「もう一度俺の覚えている限りでシェルターの場所を探すぞ」


「クリムがいればいいんだがな。そうだ、フォーヒャはどうする?」


 アベツアにこう聞かれた後、フォーヒャは剣を左手に持って答えた。


「ここに残る。どうやら厄介な奴に目を付けられたようだ」


「そうか。死ぬなよ」


「後で会おう」


 ドクダミとアベツアはこう言った後、シェルターを探しに走って行った。その直後、走り出した二人に向かって衝撃波が飛んできたが、フォーヒャは剣を振ってその衝撃波をかき消した。


「そこをどけ。痛い目を見たくなければの話だが」


 衝撃波を発したのはタルトだった。フォーヒャはため息を吐き、剣先をタルトに向けた。タルトは団員の処分をスネックたちに任せ、周囲の団員と戦っていたのだ。その時、フォーヒャと出会ったのだ。


「エイトガーディアンのリーダー的存在、タルトさんとこんな場所で会えるとは思ってもいませんでしたよ。光栄です」


「言葉と態度がかみ合ってないようだが」


 剣を抜いて戦う気があるフォーヒャを見て、タルトはこう言った。その言葉を聞き、フォーヒャは少し笑いながら更に言葉を返した。


「そんな細かい事、どうでもいいじゃないですか」


「よくない。それよりそこをどくんだ」


「断る‼」


 フォーヒャは猛スピードでタルトに接近し、剣を振るった。しかし、タルトはフォーヒャの動きを見切って防御をしていた。


「グッ‼」


 防御した時、その衝撃でタルトは態勢を崩しながら後ろへ吹き飛んだが、フォーヒャは猛スピードで吹き飛んだタルトに接近し、剣を振り上げていた。


「シャラァッ‼」


「チッ‼」


 気合の入ったフォーヒャの声を聞き、攻撃が来るとタルトは察した。しかし、実際行った攻撃は蹴りだった。がら空きのタルトの腹に向かってフォーヒャの蹴りが入り、タルトは地面にたたきつけられてしまった。


「ガハァッ……」


「おやおや、エイトガーディアンのリーダーといえる人がこんな程度ですか? もう少し私を本気にさせてくださいよ」


 と、フォーヒャは呆れるようにこう言った。タルトは嗚咽しながら立ち上がり、呼吸をして体を整え、剣を構えた。


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