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ウエポンマスターVS魔力の粒子

 渾身の一撃を放ったフィアットは、突如にやりと笑ったバッチーを見て不信感を覚えていた。


「あんたおかしいの? これだけ追い込まれている状態なのに」


「おかしい? 悪いが俺は正常だ。ここまで追い込まれたのは初めてだからな。大ピンチと言うのがこう言うものかと初めて知った」


「へー、それなりに強いんだね」


「ああ。誰も俺に敵う事はなかったからな‼」


 バッチーが叫んだ瞬間、フィアットの左腕から突如血が発した。


「うおっ!?」


「ゲヒャヒャヒャヒャヒャ‼ テメーはもうここでくたばるんだよ‼ 女だろうが何だろうが関係ねぇ‼」


「何なの今の!?」


 フィアットは流れる血を抑えつつ、傷元を確認した。何も見えなかったが、微かにそこから魔力を感じた。それが傷を作った原因だと理解したフィアットは、自身の魔力を使って小さい風を発し、腕に付いた魔力を吹き飛ばした。


「さーてとぉ、これでもう片腕しか使えないねー」


「バカ言ってんじゃないわよ。右腕さえあればあんたなんて倒す事が出来るんだから」


「無茶言うなよクソガキがァ‼」


 叫び声を上げながら、バッチーは魔力を開放した。何かが来ると予想したフィアットは盾を発して攻撃を防いだが、何も攻撃が来る気配はなかった。


(おかしい。魔力は感じたのに防御をした手ごたえがない)


 相手の攻撃を防御したはずなのに、その際に発する衝撃が無い事にフィアットは疑問に思った。その直後、盾から突如魔力が活発する気配を感じ、慌てて盾を投げ捨てた。


「チッ、残念」


 バッチーがこう言った直後、フィアットの盾は粉々になってしまった。地面に落ちた盾を見て、フィアットはバッチーの攻撃の正体を見抜いた。


「小さな魔力を使って爆発か何かさせてるんだね」


「半分正解。だがま、どうやっても俺の攻撃は防げないがなぁ‼」


 もう一度攻撃が来る事を察したフィアットは、高く飛び上がってそのままナイフを投げ、バッチーに攻撃を仕掛けた。飛んでくるナイフを見て、バッチーは慌てて防御をしたが、防御できなかったナイフが彼の腕や足に切り傷を付けた。


「グッ‼ 小賢しい真似をするじゃねーか‼」


「あんたも人の事言えないんじゃない?」


 フィアットは右腕に銃を持ち、バッチーに目がけて発砲した。弾丸が来ることを察したバッチーはすぐに魔力を発した。だが、バリアを作ることはしなかった。


(バリアを張らずに魔力を発しただけ?)


 さらに不審に思ったフィアットは、自身が放った弾丸の行方を見守った。バッチーに向かって飛んで行く弾丸は当たる寸前で突如朽ちるように砕け、そのまま消えてしまった。


「さっきの盾と同じような感じだね。飛んで来る者や人に魔力で作った粒子みたいなのをくっつけて、操って傷つける」


「ご名答‼ 俺の風は粒子レベルの大きさだ。目には見えないし、どうあがいても攻撃を防ぐことはできない‼」


「へー、そりゃー困ったもんだー」


 と、フィアットはあまり緊張感が無いようにこう言った。その言葉と態度を見て、バッチーは少し苛立った。


「何だよ、慌てないのか?」


「攻撃のタネや仕掛けが分かればこっちのもんさ」


 フィアットの返した言葉を聞き、バッチーは大声で笑いながら魔力を開放し、無数の風の粒子をフィアットに向けて発した。


「なめたことを言いやがる‼ これを避けれるものなら避けてみろ‼」


「避けないよ」


 フィアットの言葉はバッチーの予想していた言葉とは外れていた。この言葉を聞き、観念してくたばる道を選んだかと思ったバッチーは大きな声で笑い始めた。


「ハーッハッハ‼ 何だ、俺の攻撃に敵わないから自ら死を選んだのか‼」


「ありゃま、まだ勝つ気でいるよこの人」


 フィアットはそう言うと、棒状の武器を取り出し、魔力を発しながら振り回した。その動きを見て、バッチーはある物を思い出した。


「何だその……扇風機みたいな動きは……扇風機……ハッ‼」


 ここでバッチーはフィアットの取ったこの行動の意味を理解した。避けれない粒子が飛んで来るのであれば、風を発して跳ね返す。そうすれば、一部の粒子が自分にくっつく。


「ま……まさか……」


 バッチーが冷や汗をかいた瞬間、全身から血が流れた。攻撃を受け、まずいと思ったバッチーは魔力を止めて粒子を消したのだが、もうすでに遅かった。


「グハッ‼ ガハァッ‼」


「自分の攻撃を受けて見てどんな気分?」


 傷を受けて瀕死のバッチーに対し、フィアットはバカにしたような笑みで片膝をつくバッチーにこう言った。この野郎と思いつつ、バッチーは魔力を開放して反撃に移ろうとした。しかし、その前にフィアットはバッチーの右手の甲に槍を突き刺した。


「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


「さ、大人しく私に付いて来てもらうよ。今丁度、あんたの仲間もやられたみたいだし」


 フィアットは別の場所で戦っているラックとハヤテの魔力が収まったことと、二人と戦っていたツバチの魔力が弱まった事を察してこう言った。だが、バッチーは笑い始めた。


「おいおい……俺らが二人で攻めに来たって思ってるのか?」


「えー? だって二人しかいなかったじゃん」


「エイトガーディアンも案外おお間抜けのようだな。白状しよう、もう一人いる」


 この言葉を聞き、フィアットはかなり動揺した。




(あの二人はやられちまったようだな)


 と、別の一人が身を隠しながらパンジー王女の部屋へ向かっていた。周りにいる兵士は慌てているせいで誰一人男の事に気が付かなかった。


(バカな奴らだ。今のうちに仕事をするか)


 心の中で兵士をバカにした後、ドクダミから聞いたパンジー王女の部屋へ向かっていた。男は音を立てずに部屋の扉へ近づき、扉が開くのを待った。それから数分後、部屋の中から声が聞こえた。


「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるよ」


「分かりました先輩。護衛は任せてくださーい」


 聞こえたのはバカップルの声。このタイミングで部屋の中に入ろうと男は思い、シュウが扉を開けるのを待った。そのすぐ、シュウが扉を開けたためすぐに部屋へ入ろうとした。しかし、シュウは男が部屋に入る前に扉を閉めてしまった。


(なっ!?)


「誰かそこにいるんだろ? 音を消して移動しようが、気配だけはしっかり消せなかったようだな」


 と、シュウは左手にリボルバーを持って男の方に銃口を向けていた。


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