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炸裂する炎の中で

 傷を負ったツバチを追うため、ハヤテとラックは血の跡を追った。先ほどの攻撃でツバチは傷を受けている。これなら追い込むのが楽だなとハヤテは気楽に思っていたのだが、ラックはツバチが何か手を残してあると思っていた。しばらく歩いていると、二人は草原へ出た。


「これじゃあ血が見つからねーぜ……」


「いや、所々草が倒れている所がある。奴が歩いた証拠だ」


「動物かもしんねーぞ」


「周りを見るんだ。動物は存在しない」


「……そうだな。足音はしないし、影も見えない」


「さて、この辺にいると思うけど……」


 ラックはこう呟いた後、魔力を感じて横に飛んだ。ハヤテも魔力を感じており、とっさにその場から離れた。


「ヘッ、敵さんのお出ましだぜ‼」


「気を付けろ、魔力を開放しているぞ」


 二人は遠く離れた所にいるツバチを見て、武器を構えて魔力を少し開放した。戦闘準備を終えている二人を見て、ツバチはにやりと笑って叫んだ。


「ガキ共……お前らが俺に追い込まれたって思わねーか?」


「追い込まれた?」


「……まさか‼」


 ラックはすぐに水の魔力を発し、周囲を濡らそうとしたのだが、その前にツバチは火を放ち、周囲を燃やし始めた。ここは草原、火が放たれたせいであっという間に火が広がってしまった。


「うわああああああああああああああ‼ こりゃやばい‼」


「待っているんだ。今火を消す」


 と言って、ラックは水を発して火を消そうとした。だが、火の中からツバチが現れ、ラックに飛び蹴りを放った。


「グガッ‼」


「火は消させねーぜ、このままお前らを黒焦げにしてやる‼」


「その前にお前をぶった斬る‼」


 ハヤテは両手の剣を振り回しながら、ツバチに攻撃を仕掛けた。この攻撃の最初は命中したのだが、途中で態勢を整えたツバチはハヤテの攻撃を防御していった。


「グッ……こいつ、かなりタフだな」


「お褒めの言葉として受け取っとくよ」


 ツバチはそう言うと、ハヤテを蹴り飛ばした。その時、負った傷が痛みだし、ツバチは片膝をついた。この光景を見てラックは察した。先ほどの傷と今の傷でツバチはかなり大きいダメージを負ったと。


「ハヤテ君‼ 僕がこの炎を消す。君はあいつを倒してくれ‼」


「オッケー‼ 俺に任せておけ‼」


 ハヤテは剣を構えなおし、魔力を開放してツバチに襲い掛かった。ハヤテが襲い掛かって来る事を察したツバチは炎を発し、ハヤテに反撃を行った。だが、魔力が注ぎ込まれている剣によってツバチの炎は簡単にかき消された。


「何だと!? 今の炎は簡単に消されないよう魔力を込めたのに‼」


「ざーんねん‼ 俺の魔力はお前より強いんだよ‼」


 ハヤテは自身の魔力がツバチより強いことを自慢しながら、一気にツバチとの距離を縮め、ラッシュをかけるかのようにツバチを攻撃し始めた。


「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


「子供だからって甘く見るなよおっさん‼」


 ラッシュの終わりとして、ハヤテは大きな衝撃波を発してツバチを吹き飛ばした。その際、ツバチは自らが発した炎の中に入りそうになった。


「グ……自分の炎で焼かれるのが俺の運命か……」


 これが自分の最期だろうと察したツバチは、目をつぶってしまった。だが、その前にラックが水を使ってツバチの炎を消した。


「あ……あれ?」


「終わりですね。いろいろと話を聞きたいので、僕たちの言う事を聞いてください」


「拒否したらどうなるか分かってるよな~?」


 立ち上がろうとするツバチの前に、武器を持ったラックとハヤテが立っていた。これはもうダメだと察したツバチはため息を吐き、二人にこう言った。


「分かったよ。これ以上痛い目を見るのは嫌だしな」




 フィアットとナギはツバチとは別の男と城内で戦っていた。戦う中、ナギはあることに気が付いた。


「そう言えば、兵士はどうなってるの?」


「こいつがやったんじゃない? 血の匂いがするよ」


「ピンポーン、その通り‼」


 男はそう言ってフィアットを蹴り飛ばそうとした。だが、フィアットは盾を出し、男の蹴りを防御した。


「かなりやるなぁ嬢ちゃん‼」


「エイトガーディアンを甘く見ないことね。ナギ‼」


「分かってるわよ」


 男の背後に回ったナギは剣で攻撃を仕掛けようとした。だが、男は回し蹴りで後ろのナギを追い払おうとした。男の攻撃を察知したナギはバリアを張り、男の蹴りを防御した。その時、ナギは後ろで倒れている血だらけの兵を見つけた。


「あんたがやったのね」


「俺しかいないっしょ。そのついでに、カメラもやっちゃったけどね~」


「このクソ野郎がァァァァァァァァァァ‼」


 激高したフィアットが、ナイフを持って男に斬りかかった。フィアットのナイフ攻撃をかわす男だったが、ナギが兵の方へ走って行くことに気が付いた。


「仲間を置いて雑魚の治療を行うってか? そんな役立たず治療しても無駄なんじゃないの~? また俺がやっちゃうぜ?」


「その前に私があんたをやっちゃうわよ‼」


 フィアットは大剣を装備し、そのまま男に叩きつけた。攻撃を受けた男はそのまま外に向かって吹き飛ばされた。


「グッ、隙見せちまった」


 落下する中、男は態勢を整えて地面に着地しようとした。だが、すでに上から巨大なハンマーを持ったフィアットが追撃を行おうとしていた。


「マジ!?」


「オラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」


 フィアットの叫び声と共に、巨大なハンマーは振り下ろされた。ハンマーと激突した男はそのまま地面にたたきつけられ、フィアットに踏みつぶされた。


「これで大人しくなったか?」


「この程度で……俺は死なねーぞ‼」


 フィアットに踏まれている男は魔力を発し、魔力で作った刀を装備した。それを見て、フィアットはこの技で兵士たちを倒したことに気が付いた。


「魔力を使って兵を倒したのね。バカな私でも分かるわ」


「ご名答。俺はドクロハンドのバッチー。魔力で武器を作ることに関しては天才だと自称している」


 バッチーはそう言うと、魔力でもう一本の刀を持ち、フィアットに襲い掛かった。だが、フィアットは盾を装備し、バッチーの二本の刀をへし折った。


「こう見えても、私は武器に関しての知識や使い方は誰よりも知ってるんだよね。だから、あんたがどんな武器を使っても私には敵わないよ」


 フィアットの言葉を聞き、バッチーは不敵な笑みを見せていた。


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