戦いは再び城内で‼
ドクロハンドの情報を得て翌日が経過した。寝ずの番をしていたバカップルは一度休もうと思い、パンジー王女の部屋へ向かった。
「すみません、少し休みます」
「誰か交代の方をお願いします~」
バカップルが部屋に入った時、目の前の光景を見て言葉を失った。ティラとミゼリー以外の女性陣は皆、変な寝相で爆睡していたのだ。
「何やってんの皆!?」
「あ、お疲れさん。ここは大丈夫だったわよ」
「何で皆寝てるんですか?」
「夜通し話してて疲れたみたい」
「ずっと話してたのか……」
そんな話をした後、ティラは寝ているシュガーたちを起こし、代わりに王女を守れと伝えた。シュガーたちが起き上がったのを確認した後、バカップルは一緒の布団で眠り始めた。
「はぁ~……私もシュウさんと一緒の布団で眠りたかったな~」
「そんな事言ってる場合~?」
フィアットとナギは外に出て見張りをしていた。その時、偶然通りかかったハヤテとラックを見つけた。
「あ、ハヤテ。変な奴はいた?」
「いねーよ。いたら騒ぐから安心しろ。それよりも、王女様は大丈夫か?」
「シュウさんがいるから大丈夫よ。それに、皆もいるから」
「そうですね」
ラックは笑顔でこう返事をした。その直後、急に鋭い目つきになった。それを見たナギたちは武器を持って背中合わせの態勢になった。
「魔力を感じたわね」
「ドクロハンドの連中ね」
「その可能性がありますね」
「姿は見えない。どこから襲ってくる変わらねーな」
四人はそう話した後、突如謎の二つの影が現れ、襲い掛かった。
「相手は二人‼」
「たった二人で私たちを相手に戦おうっての?」
「目覚めの運動には丁度いいわ」
「おいおい、起きたばっかりなんだから派手に暴れるなよ‼」
「うっさいわねハヤテ‼ あんたも歩き回ってばっかで腕なまってないわよね!?」
「たりめーだ‼」
ハヤテはそう言って男の一人に襲い掛かったが、横にいたラックがハヤテに近付いた。
「あまり熱くならないようにしよう。冷静になって戦おう」
「大丈夫だって‼」
正反対のことを言う二人を見て、ナギは少し不安になった。そんな中、フィアットがナイフを持って別の男と戦ってる光景を見て、さらに不安になった。
ラックとハヤテと戦う男は周囲を飛び回りながらハヤテの攻撃を回避ししていた。
「そんな攻撃が俺に通用するかっての。エイトガーディアンも大したことなさそうだな」
「んだとこの野郎がァァァァァァァァァァ‼」
男の言葉を聞き、ハヤテは激怒した。だが、ラックはハヤテの方に近付いてきついビンタをお見舞いした。
「何すんだ!?」
「そうやすやすと敵の挑発に乗るんじゃない。わざと君を怒らせて隙を作るつもりだ」
「だけど、あんなことを言われてムカつかねーのか!?」
「いえ。逆に考えるんだ。ああいう言葉を言う奴は大した実力じゃないってことって」
ラックの言葉を聞いた男は腹が立ち、飛び蹴りでラックに襲い掛かった。攻撃を予測していたラックは男の飛び蹴りを盾で防御し、剣で反撃を行った。その際、剣が男のズボンにかすって傷つけた。
「チッ、やるじゃねーか坊主‼ え……へへへへへへ、まさかお前、ワカゲの事を調べた田舎のギルドの奴じゃねーか? ニュースで見たぜ‼」
「僕の事を知っているようだね」
「ワカゲ? あ、裏で悪いことをしてたあの会社か。お前が解決したのか」
「解決したというか、手を貸しただけなんだけどね」
男はハヤテと会話をするラックの顔を見て笑い始め、両手にかぎ爪を装備した。
「俺はドクロハンドのツバチ‼ パンジー王女を殺せって言われたけど……ゲヘヘヘヘヘ‼ お前みたいな強い奴と戦えるとは嬉しいなぁ‼」
「僕は戦いに嬉しさを感じないね」
「戦い好きじゃないのか……だがまぁいい‼ お前が強者であることは間違いないのだからなぁ‼」
ツバチはそう言ってラックに襲い掛かった。途中でハヤテが現れたがツバチはハヤテを無視し、ラックと戦い始めた。
「おいコラ‼ 俺の事を無視するな‼」
「雑魚に用はねーよ‼」
「誰が雑魚だァァァァァァァ‼」
ハヤテは両手に剣を装備し、魔力を開放して後ろからツバチに襲い掛かった。ツバチはどうせがむしゃらに攻撃するのだろうと思っていたのだが、ハヤテの攻撃速度を見切ることはできなかった。
「早い‼」
「俺の二刀流に敵う奴はいねーぜ‼」
ハヤテは連撃の止めとして両手の剣を同時に振り下ろして十字の衝撃波を発した。ツバチは仕方ないと思いつつ、風を発してハヤテの衝撃波をかき消した。
「何!?」
「俺を少し本気にさせたことを褒めてやる‼ 目標を変えてやるよ……まずはお前から血祭りにあげてやる‼」
ツバチは猛スピードでハヤテに接近し、攻撃を仕掛けた。ラックはツバチに追いつこうとしたのだが、それ以上早いスピードをツバチは出していた。
「ハヤテ君‼ 何とか防御をしてくれ‼」
「防御はしない、このまま返り討ちにしてやる‼」
ハヤテはツバチに対し、再び二本の剣で攻撃を行った。それから、二人の素早い攻撃が始まった。ハヤテもツバチも相手の攻撃を見切りながら逆に反撃を試みているが、顔や体に切り傷が出来ている。しばらくし、二人は同時に攻撃の手を止めた。
「クッ、かなりやるではないか‼」
「しゃらくせー男だ……どうやって倒すかな……」
ハヤテがこう呟いた後、ラックが後ろからツバチを襲った。
「何……」
「戦いの最中、水を差すようなことをしてすみませんね。でも、あなたみたいな奴はどんな手を使っても倒さないといけないので」
ラックがこう言うと、ハヤテが怒りだしてこう叫んだ。
「バッキャロー‼ 何すんだお前、マジで面白そうな戦いになりそうなのに‼」
「これは遊びじゃない、仕事だ。エイトガーディアンと呼ばれている以上、それは重々承知しているはずだ」
「グッ……」
「タルトさんは優しいが、僕はそんなに優しくない。今は人の命を守っているんだ、その事を頭に入れておいてくれ」
「……分かった」
二人が会話をする中、背中に一閃を喰らったツバチはどさくさに紛れて逃げていた。ハヤテはそれを知って大声を出したが、ラックはハヤテに静かにするようにジェスチャーした。
「そんな中でも余裕だなあんたは」
「ええ。これを見てください」
と、ラックは床に落ちている血を見てこう言った。その血を見て、ハヤテはある事を察した。
「これってまさか……」
「ええ。この後を追えば奴に会えます」
その後、二人は血の跡をたどってツバチを追いかけた。