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壮絶な戦いの前触れ

 ドクダミはドクロハンドのメンバーを呼び出し、自分用の椅子に座って話を始めた。


「今からワラフ王国王座奪還の作戦の会議を始める‼」


 この話を聞き、一部のメンバーが小さな声で笑い始めた。それに気付いたドクダミは銃を天井に向けて発砲し、次に笑った奴は殺すと無言でメンバーに伝えた。それを察したメンバーは冷や汗を流しながらドクダミの話を聞き始めた。


「会議っつっても俺が考えた作戦を話すだけの場なんだけどな。俺の作戦は団員がワラフ王国に攻め込み、混乱を起こす。そして、幹部連中がギルドの連中と戦い、俺がそのどさくさに紛れてパンジーを殺す。作戦内容は簡単に説明したが、質問のある奴はいるか?」


 ドクダミがそう言うと、メンバーの一人が手を上げてこう聞いた。


「いつ行いますか? 後、どの時間帯で攻め込みますか?」


「日付はまだ決まってないが、近いうちに行う。時間は夜中だ。闇夜に紛れて行う方がいいだろう」


「うーい、俺から質問でーすよっと」


 と、フォンが手を上げてこう言った。ドクダミはどうせしょうもない事を聞くのだろうと思いつつ、フォンの方を見た。


「くだらない質問だったらぶっ飛ばすぞ」


「敵の中に俺好みのねーちゃんがいたら好きにやっちゃっていいか?」


「構わん。好きにしろ」


「うーっし‼ やる気出てきたー‼」


「アホンダラ。俺たちは女を抱きに行くんじゃねーんだよ、国を壊しに行くんだよ」


 ガッツポーズを決めるフォンに対し、フォーヒャはフォンの頭を叩いた。二人の口喧嘩が始まった後、あることに気付いたメンバーがこう言った。


「あの、暗殺部隊はどうなったんですか?」


「連絡がないため、恐らく存在がばれて始末されたと思われる」


「やられたんですか、あの暗殺部隊は失敗したことないのに‼」


「それだけギルドの戦士が強いというわけだ。噂だと、エクラードのエイトガーディアン、それにハリアの村のギルドの連中も護衛に付いたという。ハリアの村には賢者、クリムがいる。恐らく奴が一番の大敵だろう」


「そして、俺の獲物だ」


 そう声を出した男の方を見て、ドクダミはある事を思い出したかのようにこう言った。


「そうだな、アベツア。もし、お前がクリムを抑えてくれるならこの作戦はうまく行くだろう」


「抑えるのではない。俺が始末して、賢者となる」


 そう言うアベツアに対し、フォンがアベツアを見回して腹を抱えて笑い始めた。


「賢者って、お前のその物騒な面じゃあ賢者とは言えねーなぁ‼」


「フォン、俺の魔法を喰らって火だるまになるか、黒焦げになるかどちらか選べ」


 フォンの言葉に苛立ったアベツアは、左右の両手から炎を発してこう言った。その炎を見てビビったフォンはすみませんと言って土下座した。そんな二人を見て、ドクダミはため息を吐いてこう言った。


「下らん遊びはそれまでにしておけ。作戦はすぐには始めない。各々支度があるだろうから、それが終わり次第俺に声をかけろ。なお、この作戦は強制参加ではない。腕に自信がない奴はここにいてもいい。作戦に参加しなかったからと言って、俺は責めはしないからな。会議は以上。後は各々好きに動け」


 ドクダミがこう言った後、会議は幕を下ろした。それからメンバーたちは各々の準備を始めた。だが、アベツアは自室へ向かい、剣で刺してあるクリムの写真が載った新聞を見て、にやりと笑っていた。


「見てろよクリム……今度お前が俺にあった時が、お前の最期だ‼」


 そう言った後、クリムの写真が載った新聞はアベツアが放った紫色の炎ですぐに灰となった。灰になった新聞を見て、アベツアは笑い始めたが、隣の部屋いいるメンバーが窓から顔を出してこう言った。


「アベツアさん、こっちはもう寝るんですから小さな声で笑ってくださいよ‼」


「す……すまん」


 隣の部屋のメンバーの睡眠を妨害してしまったことを悔やみながら、アベツアは頭を下げた。




 同時刻、クリムはパンジー王女の部屋の窓から外を眺めていた。その横には赤外線スコープが付いたライフルを構えたシュウが立っていた。


「先輩、不審人物は見えますか?」


「そっちは見えない。クリムの探知魔法で何かあったか?」


「怪しげな魔力を持つ人はいません。タルトさんたちの魔力しか感知しません」


 バカップルが真面目に仕事をしているのを見て、クララは驚いていた。


「いつもイチャイチャイチャイチャしている二人が珍しく真面目に仕事をしている」


「やる時はやる人たちですからね」


 と、過去に一緒に仕事をしてきたキャニーがその時の事を思い出しながらこう言った。その言葉を気にしたパンジー王女とクララがキャニーに近付き、こう言った。


「キャニーさん。もう少しクリムとシュウさんと一緒にやった仕事の事を教えてもらってもいいですか?」


「私も神罰の代行者の話が気になります。かなり関わったと聞いたので、興味があります」


「そうですね……敵もいないようですし、今なら話せますね」


 その後、キャニーはバカップルと主に行った依頼の事を二人に話した。しばらくして話の内容が気になったストブやドゥーレが合流して話を聞いていた。そんな中、ナギは羨ましそうにクリムを見ていた。


「いいなー、私もシュウさんの横で仕事がしたーい」


「ダメだよ。クリムお姉ちゃんかなりシュウお兄ちゃんにくっついているから。もし、近付こうとしたらやられるよ」


「大人しくしてましょう」


 と、リナサとミゼリーに諭され、ナギは悔しそうに奇声を上げた。そんな中、尋問を行っていたシュガーとティラが戻ってきた。


「ドクダミの事を聞けたよー‼」


「つっても、大した情報じゃないけどね」


「小さな情報でも立派な情報です。話してください‼」


 キャニーが待ってましたと言わんばかりにこう言い、すぐにティラの元へ近づいた。それからナギたちもティラの周りに移動したが、バカップルだけは窓から動かなかった。


「二人は聞かないのー?」


「ここから聞けるので大丈夫ですー」


「この隙に変な奴が来たら大変だからな」


「そうだね。それじゃあそのまま話を聞いてねー」


 バカップルから返事を聞き、シュガーはドクロハンドの暗殺部隊を拷問して得た情報をクリムたちに聞かせ始めた。その話を聞き、クリムは少し顔が曇った。その話の中には、アベツアの名前が出たからだ。


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