豪華客船は大パニック!?
豪華客船で行われるカップル限定のイベント。それを狙うかのように爆破予告が発生。タルトはハヤテとナギをカップル役としてイベントに参加するように話し、自身とバカップルは裏で爆弾探し、リナサとミゼリーは船の外で犯人を捜すように話をした。しかし、タルトはバカップルと共に仕事をしている中で、ハヤテとナギの事を心配していた。
タルトの不安は見事に命中していた。ダンスをしている中、ハヤテとナギは大声でケンカをしていた。
「このバカハヤテ‼ 何度も私の足を踏みそうになるんじゃないわよ‼」
「お前が俺に合わせろよ‼ 知ってるだろ、俺がダンスがへたくそなの‼」
「知ってるわよ‼ だからあんたに合わせてるんじゃない‼」
「本当に合わせてるのかよ!? お前、ダンスが下手なんじゃないのか!?」
「あんたみたいなへたくそと私のダンスを比べないでよ‼ あんたより動きはましよ‼」
「何だと!?」
その後、二人は物凄い顔で睨み合いを始めた。そんな二人を見てか、スタッフの一人が二人に近付いた。
「あの、ダンスが難しいのであればブリッジへどうぞ。美しい夜景を見れば互いの醜い心なんて忘れますよ」
スタッフの話を聞き、二人はすぐにブリッジへ向かった。向かった理由は夜景を見るためではなく、ダンスをしたくないからである。
ブリッジへ向かい、二人は開いているソファへ座った。
「あー、最初っからここにいればよかったわー。あ、すみませーん、オレンジジュースお願いしますー」
「お前と同じ意見なのは悔しいが、俺もそう思う。あ、俺はコーラでお願いします」
飲み物を運ぶスタッフにこう言った後、二人はため息を吐くように息を吐いた。その時、ナギは一人で歩く不審な男性を見かけた。
「ハヤテ、タルトさんに連絡できる?」
「ああ。あの男、一人でいたな。連れはいなさそうだし」
ハヤテはこう言うと、トイレと言って席を立った。その時、二人がオーダーした飲み物が到着したが、ナギは笑顔でハヤテがトイレの為に席を立った事を伝えた。
船の外にいるミゼリーは豪華客船が出発した港を調べていた。もし、船に仕掛けられた爆弾が遠隔操作で爆発するなら、どこかで操作役がいるかもしれないと睨んだからだ。
「ではお願いします。この港を封鎖してください」
「分かりました」
シェラールの警察隊がミゼリーに敬礼をすると、手慣れた動きで港を封鎖した。その後、ミゼリーはリナサと共に捜査を始めた。
「この広い港をどう調べるの?」
「大丈夫よ、手段はある」
ミゼリーはリナサにこう言うと、魔力を発して霧を出した。この霧を見て、リナサはすぐに睡眠作用のある霧だと察した。
「大丈夫よ。リナサちゃんたちが眠らないように魔力のコントロールはしてあるから」
「ありがとうございます。すごい技術です」
「ふふっ。褒めてくれてありがとね」
その時、警察隊の一人が何かを見つけたらしく、大声で叫んだ。ミゼリーとリナサは急いでその警察隊がいるコンテナへ向かい、状況を調べた。
「あらあら、変な寝顔」
ミゼリーが見たのは大声でいびきをかいて眠る男だった。一人ではなく、五人ほどいる。リナサは魔力で作った縄で男たちの体を縛り、男の頬に強いビンタをして目を覚まさせた。
「はっ、俺はどうなったんだ?」
「お目覚めはいかがですか? 爆弾魔さん?」
リナサの言葉を聞き、男たちは自分たちの状況を把握したらしく、慌て始めた。
「チクショウ‼ 俺たちの計画が‼」
「計画? 一体何の計画なのかしら?」
と、ミゼリーが武器を持って男の首元へ近付けた。男は冷や汗をかきながら、ミゼリーにこう言った。
「俺たちはリア充撲滅隊のメンバーだ。いつもいつもカップル限定のイベントを行っているモリアームズ交易会社にムカついて、この事件を起こしたんだ‼」
「クソッたれが‼ リア充だけじゃなく、出会いの無い俺たちに救いの手をよこしてもいいじゃねーかー‼」
男たちの叫び声を聞き、ミゼリーとリナサは呆れてため息を吐いた。
「で、爆弾はどこ?」
「教えるかよ」
「教えなさい」
リナサは光と闇を放ち、男たちを睨んだ。リナサの圧倒的な威圧に負け、男たちは慌ててこう言った。
「船の下にある‼ そこをドカンとやればすぐに沈没するはずだ‼」
「ザマーミロリア充ども‼ 船と共に海の泡になっちまいなー‼」
男たちの暴言を聞いた後、ミゼリーとリナサは男たちに攻撃を加え、気絶させた。その後、急いでシュウたちに連絡をした。
船の裏を捜査しているシュウたちは、リナサから入った連絡を受けてすぐに船の下へ向かった。
「あんな所に爆弾が仕掛けられているなんて」
「船の下はかなり重要な部分です。もし、そこがやられたらとんでもない事になります‼」
「何が何でも爆発を食い止めるんだ‼」
三人は下へ到着した後、爆弾を調べるため周囲を見回した。すると、クリムが何か怪しいものを見つけた。
「ここだけ少しおかしいですね……」
「クリム、俺も行く」
「私も行こう。何かあってからは遅い」
三人はクリムが見つけた怪しい部分の所へ向かい、それが何かを調べた。ただの柱だったが、よく見るとプラスチックの容器がテープのような物で止められていた。そして、中からは時計針のような物が聞こえていた。
「まさか……」
タルトが容器のふたを取って調べてみると、そこには無数に出ている赤と白のケーブルと、何かが入ったデジタル時計のような物があった。
「これが爆弾か」
タルトの言葉を聞き、バカップルの中に緊張が走った。