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エダノケとの戦い!

 ラックはワカゲに雇われた戦士、エダノケと戦いを始めた。隙の無い動きに翻弄され、ラックは反撃を行うことは出来なかった。さらに、エダノケはラックの隙を逃すまいと思い、後ろに下がったラックに対しすぐに距離を詰め、攻撃を続けていた。


 攻撃を続けるエダノケは、心の中でこう思っている。攻撃さえ続ければ、こいつの体力は失って行くと。ラックが持つ盾は魔力を込めればまた元の防御力に戻る。その事を察し、攻撃を続けて盾にダメージを与え、魔力を使って盾を元に戻す。これを繰り返せばいずれラックの魔力が尽きるだろうと考えた。しかし、エダノケは気が付かなかった。ラックはわざと戦いが長引くようにしていることを。人目が付かないとはいえ、表に出れば人がいるビル街となる。この戦いを誰かが気が付けば騒動になるし、いずれドゥーレとヴァーナがこの戦いを察する。ラックはこの二つのどっちかが起こればいいと思いながら防御に回っていた。


 戦いが始まって数分後。ラックの呼吸は徐々に乱れてきた。エダノケはそろそろ魔力が減って来たのだろうと思っていた。だが、エダノケも同じように呼吸が乱れていた。


「ヤベェ……自分の体力の事を計算に入れてなかった……」


 と、エダノケは小声で呟いた。そう。エダノケはすぐにラックを倒そうと考えていたため、自分の体力の事を頭に入れてなかった。エダノケの一瞬のすきを見て、ラックは盾を強く振り払った。盾は隙だらけのエダノケに命中し、少し後ろへ吹き飛ばした。


「グガッ‼」


「今だ‼」


 ラックは剣を構え、倒れたエダノケに向かって走って行った。転倒したエダノケはラックが向かってくることを把握し、すぐに立ち上がって魔力を込めて地面を殴った。


「ふざけた真似をするじゃねーか坊主‼ 串刺しになっちまいな‼」


 エダノケが叫んだ後、地面から魔力の刃が生えてきた。ラックは地面から感じる魔力を頼りに攻撃を読み、生えてくる刃をかわしながらエダノケに接近して剣を振るった。


「ツッ‼」


 攻撃が来るだろうと予測したエダノケは魔力の剣を装備して反撃を行った。ラックが振るった剣はエダノケの脇腹に命中し、エダノケの剣はラックの右肩をかすっていた。


「グッ……」


「致命傷を負ったようだね」


 ラックはエダノケの脇腹から流れる血を見ながらこう言った。エダノケは魔力を使って傷を治したが、ラックが回復の邪魔を行い、自身が焦っているせいで傷は完全には塞ぐことは出来なかった。


「クソ……こうなったら……」


 最後の手段を残していたエダノケは、魔力を開放してその場から逃げて行った。


「あ、待て‼」


「待てって言われて待つバカじゃねーよ俺は‼」


 エダノケは猛スピードでラックから逃げて行った。逃げるエダノケを追う中、ラックはこの次に怒る展開を考えていた。エダノケは人がいる所へ逃げ、人質を取るかして非道な行為を行うと。他の人が被害にあう前にエダノケを倒さなければ。ラックはそう思いながら表へ出た。すると、女性の悲鳴が聞こえた。ラックはすぐにその場へ向かい、事態を把握した。


「おーっとそこまでだ。下手に動くなよ坊主‼」


 ラックの予想通り、エダノケは女性を人質にしていた。周りは騒然とし、一部の人が携帯を使って連絡をしようとしたが、エダノケは大声で叫んだ。


「警察に連絡するんじゃねぇ‼ 誰かが不審な行動をした時点でこいつの首をちょん切るぜ」


「外道が……」


「外道? 何とでも言えよ」


 人質のせいで、ラックは身動きができなくなってしまった。不審な空気が流れる中、ラックはため息を吐いてこう言った。


「分かった。僕はもう手を出さない」


「本当だな」


「ああ」


 ラックは剣と盾を地面に置き、降参の意思をエダノケに見せた。ラックの行動を見たエダノケは笑いながら人質を解放し、ラックに近付いた。


「最初からそうすればよかったんだよ。大人しく俺にやられれば痛い目に合わずに済んだものを‼」


 この言葉を聞き、ラックはにやりと笑った。エダノケはラックの笑みを見て、何か手があることを察し、すぐに魔力の剣を作った。


「テメェ、何考えてやがる!?」


「すぐにわかるさ」


 ラックがこう言うと、突如風が発生した。エダノケは風に驚いて後ろに下がったが、その風が異様な動きをすることに気付いた。


「何だこの風は……俺の体が浮いた!?」


「ラックさん大丈夫ー?」


 人の群れの中からドゥーレが現れ、ラックに近付いた。ドゥーレの姿を見たラックは安堵の息を吐いてこう言った。


「来てくれると思ったよ」


「苦戦してるみたいだね。でも、もう大丈夫だよ」


 ラックとドゥーレが会話をする中、宙を舞うエダノケは慌てながら周囲を見渡していた。


「クソッたれ‼ いつになったらこの風は収まるんだ!?」


 じたばたしながら何とか風を消そうとしてるが、エダノケは建物の屋根に立っているヴァーナの姿を見つけ、茫然とした。


「まさか貴様もあの坊主の……」


「予想通り、我はラックの仲間だ」


 ヴァーナはこう言うと、右手を上に上げて魔力を開放した。すると、ヴァーナの右腕に雷が集まった。ヴァーナは右腕を身動きが出来ないエダノケに向けて叫んだ。


「喰らえ、我の怒りの雷を‼」


 叫んだ後、ヴァーナは右腕に溜めた雷をエダノケ目がけて放った。バチバチと激しい音を鳴らす雷はエダノケに命中し、さらに激しく音を鳴らした。それと同時に、エダノケの悲鳴が轟いた。しばらくし、黒焦げになったエダノケがそのまま下に落ちて行った。それを見たヴァーナは、高笑いをしながらこう言った。


「まいったか‼ この勝負、我々の勝利だ‼ ハーッハッハッハ……アーッハッハッハッハッハ‼」


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