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ラックの大ピンチ!?

 ラックは少し不安だった。今入っている部屋にワカゲの役員と会長が入って来てしまったのだ。しかも、自分が監視カメラをショートさせて使い物にならないようにしたのがばれそうなのである。


「人の気配はありませんね」


 と、役員がこう言った。人目が付かない場所に隠れているラックは心の中で安堵した。一応、魔力を使って気配を消しているのだが、この役員には魔力を感じることは出来ないようだった。


「とにかく何もなかったようだが、鍵が故障しているようだから、すぐに直せ。特にこの部屋は重要な資料がたくさんあるから、必ずするように」


「分かりました、会長」


 そう言って二人は去って行った。ラックは人の気配を感じないと察し、こっそりと部屋から脱出した。そして忍び込んだところから外に戻ってヴァーナとドゥーレに連絡をしようとした。だが、その後ろから何者かの気配を感じ、武器を持って後ろに下がった。


「おっと、腕のいい奴のようだね」


 ラックの後ろにはリボルバー銃を持った男が立っていた。ラックは周りを見て、人の有無を確認した。


「仕方ないな……」


 そう呟き、ラックは魔力を開放して高く飛び上がり、人の気配がない所へ飛んで行った。移動中、ラックは後ろを向くと、後ろにはあのリボルバーの男が付いて来ていた。


「何も言わずに去るのかい?」


「うるさいなぁ」


 ラックはワカゲから離れた森へ着地し、リボルバーの男が着地する隙を狙って水の魔法を放った。だが、男のリボルバーはラックが放った水を散乱させた。


「質問くらい答えたらどう? 君、ギルドの戦士っぽいけど」


「あんたはなんなんだ? ワカゲに雇われた傭兵か何かか?」


「おいおい、質問をしているのは俺だぜ? 質問するなよ」


 男が話している中、ラックは剣を持って男に斬りかかった。男はラックの攻撃をかわし、リボルバーをリロードしながら後ろに下がった。


「質問に答える気がないならいいや。痛めつけた後で答えよう」


 そう言って、男はリボルバーをラックに向けてこう言った。




 一方、ドゥーレとヴァーナは会社の中を歩いていたが、ドゥーレはあることに気付いた。その時、ヴァーナがドゥーレに小声でこう言った。


「ラックの気配が消えたな」


「分かってるよ。さて、そろそろ帰りますかね」


 小声での会話を終えると、ドゥーレは案内をしている女性にこう言った。


「そろそろ帰ります」


「そうですか、まだいろいろと案内したい場所があるのですが」


「またの機会にします」


「ではさらばだワカゲの諸君‼ 近いうちに会う事があることを祈ろう‼」


「では失礼しまーす」


 ドゥーレは無理矢理ヴァーナの頭を下げさせた後、ビルの出入り口へ向かった。外へ出た瞬間、二人は魔力の衝突を感じた。


「何かと戦っているようだね」


「急ぐぞ」


 話をし、二人は目立たないところで魔力を開放し、ラックの元へ飛んで行った。




 森の中で男と戦っているラックは水でリボルバーの男と戦っていた。


「水しか使わないのか?」


「何か問題でも?」


「全然」


 男はラックにこう言った後、銃を放った。だが、銃はラックの方向ではなく、ラックの横の木に命中した。外したのかとラックが思ったのだが、横から弾丸が飛んできた。


「なっ‼」


 突如飛んできた弾丸をかわし、ラックは男の方を見た。その瞬間、三発の弾丸がラックを襲って来た。


「仕方ない……」


 ラックは電撃のバリアを張り、飛んできた弾丸を地面に落とした。


「ほう。電気の魔力か」


「あまり使いたくないんだけどね……」


 ラックは火や雷を使うのを避けていた。その理由としては、戦っている場所は森であり、火や電気を発生させて出来た火花のせいで森が火事になることを防いでいたのだ。だが、相手はかなり強いため、使うしかないと思った。


「本気を出そう」


 ラックはそう言って、周りに火や水、雷と風の魔力を発生させた。男はそれを見て、口笛を鳴らした。


「手を抜いていたってわけかい」


「ここを燃やしたくないからね」


 手を抜いていた理由を知り、男は笑いながらこう言った。


「そうかいそうかい。優しい戦士さんだねぇ。だが、俺には優しさっつーもんが無いんでね‼」


 男はそう言って、火の魔法を発して近くの木や草を燃やそうとした。


「止めろ‼ 火事になったら大変な事になるぞ‼」


「知らないねぇ、俺はそんな事興味がないんでねェ‼」


 ラックは水を発して火を消そうとしたが、少し遅かった。男が放った火は木や草に燃え移ろうとしていた。しかし、突如発生した突風が勢いで火を消した。


「何!?」


「この風は魔力の風……まさか……」


「ふぃー、危機一髪」


「何とか助かったな、ラック‼」


 空から現れたのはドゥーレとヴァーナだった。二人はラックの傍へ行き、魔力を開放した。ラックは二人の顔を見て、こう言った。


「情報は集めた。話はあいつを倒してからにする」


「りょうかーい」


「分かった。今はあの悪魔のような男をどう裁くか考えよう……」


 二人の返事を聞き、ラックも同じように魔力を開放した。戦闘準備を終えた三人を見て、リボルバーの男の額から、冷や汗が流れていた。


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