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筋肉が勝つか、銃が勝つか

 クリムは他のハンターをまとめて処理し、魔力で作った紐を操ってハンターの体を縛っていた。


「はーい、暴れないでくださいねー。暴れたら骨が折れちゃいますよー」


 と、笑顔で物騒なことを言うクリムを見て、ハンターたちは恐れていた。そんな中、大きな叫び声が聞こえた。


「先輩……」


 クリムは筋肉モリモリの傭兵と戦うシュウを心配しながら、ハンターたちを縛っていた。




 傭兵の男は大声を上げながらシュウに攻撃を仕掛けている。放たれるストレートの衝撃で、周囲の草が根っこから宙に浮かぶ。空高く蹴り上げられる足は地面をえぐり、砂ぼこりが宙に舞う。傭兵の男の技の威力を見て、シュウはこの傭兵がかなりの強者だと確信した。


「おいおい、逃げてばっかりじゃあつまらねーじゃねーか」


「俺はガンナーだ。距離を取って戦う。傭兵なら銃を使う敵がどう立ち回るか分かるだろ」


 シュウはこう言うと、リボルバーのリロードを始めた。傭兵の男はそうはさせるかと思いながら、強烈なストレートを発して風を出し、シュウが持つリボルバーを飛ばした。


「おっと」


「これで自慢のリボルバーは使えまい‼」


「そうでもないぜ」


 シュウは宙に舞っているリボルバーを素早く手に戻し、その時にリロードを終えて傭兵の男に向けて二発の弾丸を放った。


「何!?」


 銃声を聞いてすぐに傭兵の男は分厚い腕を使って顔を守るように防御した。だが、弾丸が放たれた場所は傭兵の脇腹付近だった。


「グガッ‼」


「殺しはしないよ。あんたらは捕まえないと意味ないんだからさ」


「へ……甘いんだな……」


「話を聞きだしたいからな」


 シュウはそう言ってさらに二発弾丸を放った。一発は外したが、残りの一発は傭兵の左足の太ももに命中した。


「グオッ‼」


「これで足は動けない。結構奥深くに弾丸が入ったから、早く取り出さないと大変な事になるぜ」


「……ハッ、これで勝ったと思うなよ小僧‼」


 傭兵の男はそう言うと、全身に力を込めて筋肉を膨張させた。その瞬間、左足の太ももにめり込んでいた弾丸が徐々に姿を現し、ポンと音を立てて地面に落ちた。


「すごい荒治療だな。血がすげー出てるぜ」


「フン。敵の心配をするよりも、自分の心配をしたらどうだ!?」


 傭兵の男は地面を殴り、亀裂を発生させた。驚いたシュウはその亀裂に足が挟まり、少し身動きが取れなくなってしまった。


「こんなのありかよ‼」


「ザマーミロ……グッ‼」


 傭兵の男は勝ち誇るかのように笑ったが、すぐに痛そうな表情を見せた。その後、慌てて傭兵の男は包帯を取り出して治療を始めた。シュウはにやりと笑い、リボルバーを構えて銃を発した。


「隙だらけかと思ったのか?」


 シュウが放った弾丸は傭兵の男に向かって飛んで行った。弾丸は傭兵の体に命中したが、跳ね返って地面に落ちてしまった。


「フッフッフ……俺の筋肉は弾丸を通さないぜ。魔力を使ってはいるが、厳しいトレーニングを続けた結果、俺は鋼の肉体を手に入れたんだ。俺の体は、剣よりも固い」


「あっそ」


 シュウはそう言って、地面の亀裂から足をどかし、傭兵に接近を始めた。


「バカが‼ 俺の体に傷を付けることは出来ない‼ さっきの攻撃で学ばなかったのか!?」


「バカから学ぶことは何一つない」


 銃を構えつつ、シュウは傭兵の男に銃口を向けていた。傭兵の男は治療を終え、筋肉をさらに膨張させて迫ってくるシュウを睨んだ。


「来い‼ 愚かな小僧よ‼ 俺の一撃で粉々にしてやる‼」


「やってみろよ、筋肉ダルマ」


 傭兵の男はシュウの言葉を聞き、苛立ちをあらわにしながら攻撃を放った。シュウはその攻撃をジャンプして回避し、背後に回って背中に向けて銃を放った。だが、シュウが放った弾丸は背中の筋肉に阻まれて途中で止まってしまった。


「残念だったな。それが最後の一発だったのにな」


「いーや、最後の一発じゃないさ。俺は一人で戦ってるわけじゃない」


「何!?」


 その時、傭兵の男は強大な魔力を感じた。振り返って確認しようとしたその前に、地面に落ちてた外した一発が急に破裂した音を出しつつ、傭兵の男に向かって猛スピードで飛んできた。


「何だと!?」


 その銃弾は背中にめり込んである銃弾に命中し、背中に押し込んだ。その結果、傭兵の男は大きなダメージを負った。


「グハァッ‼」


「先輩と戦ってると思っていたんでしょうが、私もいたことを忘れないでくださいね」


 と、後ろから現れたクリムがウィンクをしてこう言った。シュウはクリムに近付き、ナイスタイミングと言いながらハグをした。


「こ……こんなバカップルに……負けるのか……俺……みじめ」


 傭兵の男はそう呟き、気を失って倒れた。




 ストブは少しも動かないティラを見て、不安になっていた。敵のオイジーブラザーズは熱探知ゴーグルを装備していて、木の中に隠れていてもいずれ場所がばれる。だが、ティラは一歩も動かない。


「どうして動かないんだ? 私が火の魔法で奴らを丸焦げにしてやるのに」


「止めろ。場所がばれる」


「どうせばれるんだったら、いっそ暴れて……」


「静かにしな。考えはあるんだよ」


 と言って、ティラはストブを睨み、黙らせた。


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