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現れたシーフパラダイス

 会議の後、シュウたちは復興作業を手伝うとの名目でシェラールへ出かけて行った。バカップルやエイトガーディアンを見たシェラールの住人は、歓喜の声を上げて近付いてきた。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアア‼ シュウさんよ、あのイケメンショタで有名なシュウさんが来たわ‼」


「生で見るとかっこかわいい~‼」


「握手してください、そのついでにハグしてください‼」


「キャアアアアアアアアアアア‼ か~わ~い~い~‼」


 と、ボランティアに来ていた少女たちが一斉にシュウに群がった。だが、シュウを守るかのようにクリムが抱き着き、汚物を見るような目でこう言った。


「雑誌に書かれてませんでしたか? 先輩は私と付き合っているって‼」


「あ~、彼氏を取られると思ってやきもち焼いてる~」


「賢者のクリムちゃんもか~わ~い~い~‼」


 シュウを囲んでいた少女たちは、クリムも囲んでしまった。予想外の反応を受け、クリムは焦っていた。


「あの……その……これから仕事がありますので……すみませんがどいてもらいませんか?」


 この様子を見たジャックとリナサはポツリと呟いた。


「予想外の出来事があったから、戸惑ってるよ」


「クリムお姉ちゃんでも戸惑うことはあるんだ」


 そんな中、クララは誰よりも先に復興作業に取り掛かっていた。


「皆さん。とにかく復興作業に入りましょう。タルトさんが指示をしていますから、それを聞いてくださいね」


 真面目に働くクララを見て、ボーノとスネックは話を始めた。


「クリムの友達って癖が強い奴ばかりだと思ったけど、真面目な奴がいるんだな」


「他はかなりぶっ飛んでるけどな」


 その直後、大きな爆発音がした。シュウは銃を持ち、クリムとクララは魔力を開放してその場に向かった。


「シーフパラダイスか!?」


「一体何ですか!?」


 爆発現場に着き、目の前の光景を見てシュウたちは茫然とした。


「いやー、ミスったなー」


「魔力を上手く使って瓦礫をどかそうとしたら、木端微塵になっちゃったわねー‼」


「次はそうはいかないぞ。何とかやってやる‼」


 爆発現場にはストブとフィアット、ハヤテがいた。この三馬鹿が騒動を起こしたことを知ったクララは、額に青筋を浮かべながら魔力を開放し、三馬鹿に近付いた。


「ちょーっといいですかお馬鹿共」




 ドゥーレは風を利用して瓦礫をどかし、ナギがその下にあるごみを片付けていた。


「ありがとね、急に空を飛んで現れたから変な人かと思ったけど」


「私はマイペースなだけだよー。あの時は高い所に行きたくて空を飛んだだけ」


「空を飛ぶってなると、かなり魔力を使うんじゃない?」


「風を上手く利用すれば飛べるよ~」


 と、ナギと話していたが、ドゥーレは何かを見つけた。ナギもその事に気が付き、ちりとりを置いてトゥーレに近付いた。


「あそこって元は何の建物?」


「宝石店。もしかして奴らかも」


「行ってみよう」


 二人は魔力を開放し、宝石店の建物へ向かい、こっそりと中を覗いた。中では地味な服装の男たちが店内にあるショーケースを壊し、ケースの中にある宝石を手当たり次第手に取って袋詰めしている光景が見えた。


「奴らね」


「うん」


 ドゥーレは風を発し、中にいる男たちに攻撃を仕掛けた。突如攻撃を喰らった男たちは悲鳴を上げて逃げようとしたが、剣を持ったナギが猛スピードで男たちに斬りかかっていた。


「ここで何してるのよあんたたち?」


「悪い事はするもんじゃないよー」


「グッ……ガキが邪魔するんじゃねー‼」


 男の一人が大きなナイフを取り出し、ドゥーレの方へ向かって行った。しかし、突如ナイフの刃が音を鳴らしながら地面に落ちた。


「は……刃が……刃が……何で?」


「そんなもんより、私の風の方が切れ味は一つも二つも上だよ」


 と、ドゥーレは風を発してこう言った。武器を失った男は悲鳴を上げて逃げようとしたが、その前にナギが現れた。


「エイトガーディアンのナギ。そう言えば私が誰だか分かるわよね?」


「エイトガーディアン……勝てるわけがねぇ……」


 男はその場に泣き崩れるように座り、折れたナイフを手から落とした。


 その後、ナギとドゥーレは捕らえた男たちを連れてシュウたちの元へ集まっていた。


「おっ‼ 何だそいつは!?」


「変な奴だな」


「そいつがシーフパラダイス!?」


 クララによって宙づりにされている三馬鹿が声をそろえてこう言った。ドゥーレは宙づりになっている三馬鹿を見て驚いていた。


「何で宙づりになってるの?」


「バカなことをやってたからよ。全く……」


 クララはため息を吐きながらこう言った。そんな中、バカップルが男たちに近付いて話をしようとした。だが、男たちはバカップルの姿を見て悲鳴を上げた。


「うわああああああああああ‼ あのバカップルだ‼」


「殺される……皆殺されるんだ……」


「もうダメだ、おしまいだぁ……」


 自分たちが恐怖の対象になっていることを知り、クリムは愛想笑いをしながらこう言った。


「そんな事しませんよ。もうあなたたちはコテンパンにやられてるので」


「追い打ちはしませんよ。ただ、話をするかどうかで決まりますが……」


 と、リボルバーを持ったシュウがにやりと笑ってこう言った。その後、男たちは自分たちがシーフパラダイスの一員であることを告げた。


 話を聞き終えた後、クララはバカップルに近付いた。


「かなり有名人ね」


「そのおかげで手荒にしなくて済んだのですが……」


「まだ事件は終わってないよ。こいつらのボスを捕まえないとな」


 と、バカップルはこう言った。クララはいつもこのバカップルがどんな時でもどんな所でもいちゃついている所を目撃しているのだが、仕事となると真面目になるんだなと思った。それと同時に、いつもこうだと嬉しいんだけどとも思った。


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