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エイトガーディアンの新たなる仕事

 神罰の代行者ことデズガの事件により、大打撃を受けたシェラールの復興はかなり進んでいた。そこに住む人々の日常も徐々に戻ってきた。タルトはシェラールのギルドのベランダから復興の様子を見て、安堵した様子を見せていた。


「復興が終わるまでの間、何もなくてよかった」


 そう呟き、エイトガーディアンの部屋に戻ろうとした。部屋に戻ったと同時に、タルトの顔面にボールが飛んできた。間一髪ボールをキャッチし、タルトはため息を吐いてこう言った。


「誰だ暴れてるのは?」


「「こいつです‼」」


 と、同時にハヤテとナギが互いに指を指した。それからまた二人の喧嘩が始まってしまった。


「静かにしなさいと言ったんですけど……」


 キャニーが呆れてため息を吐き、タルトにこう言った。フィアットはハヤテとナギの喧嘩を見て馬鹿笑いしていて、ボーノはいざこざを無視して本を読んでおり、スネックは部屋で昼寝をしていた。騒騒しい中、タルトは部屋を見回してキャニーにこう聞いた。


「リナサはどこだ? 姿が見えないが」


「暇だからシュウさんの所へ行くって言ってました」


「暇だからって……まぁ、仕事もないしいいか」


 タルトがそう呟いた瞬間、電話の音が鳴り響いた。タルトは受話器を取って返事をした。


「はい。エイトガーディアンのタルトです。はい……はい……ええ!?」


 タルトの驚く声を聞き、部屋にいたキャニーたちは一斉にタルトの方を注目した。部屋で昼寝をしていたスネックにも声が聞こえたらしく、スネックが不機嫌な顔で部屋から出てきた。


「なんかあったのか?」


 欠伸と共にスネックが声を出すと。タルトは受話器を置いてこう言った。


「どうやら復興の最中、どさくさに紛れて裏ギルドが暗躍しているようだ。規模が大きいため、我らにも手伝ってほしいとのことだ」


 説明を終えると、タルトは携帯電話を手にしてリナサに連絡を始めた。




 その頃、リナサはハリアの村のギルドに来ていた。彼女の前には、ストブたちが立っていた。


「へー、この子がエイトガーディアンの」


「子供だけど、かなり強いんだね」


 ドゥーレの言葉を聞き、ストブの中の闘志が熱く燃え始めた。


「強いのか。私は強い奴と戦うのが好きだ。一戦交えよう」


「馬鹿言ってんじゃないわよ。リナサちゃんは光と闇を使うのよ。ストブが強烈な炎を使ってもかき消されるわよ」


 と、クリムがストブの頭を叩いてこう言った。そして、リナサの方に近付いた。


「ごめんね。馬鹿がうるさくて。ストブはかなり戦い好きだから強い魔法使いを見ると戦いたくなる性格なのよ」


「ならさー、クリムが私と勝負してよ。仕事がないから暇なんだよ」


「本でも読んでなさい」


 ストブはクリムにこう言われ、渋々戻って行った。そんな中、シュウがクリムたちの元にやってきた。


「おっ。着てたのかリナサ」


「お兄ちゃん、久しぶり」


「エクラードの方はどうだ? あの事件の後、かなり復興が戻ったか?」


「うん。あと少しで完全復活しそう」


「ならよかった。あの後依頼とか入ってなかなか連絡できなかったから、どうなってるか気になってたんだ」


 シュウとリナサが話している中、突如リナサの携帯電話が鳴り響いた。リナサはため息を吐き、携帯電話を手に取った。


「どうしたのタルトさん?」


『どうしたもこうしたもない。エクラードに裏ギルドが裏で動いていると情報が入った。出来れば今すぐに戻ってきてほしい』


「裏ギルド!? 何だ、おっかない奴が来てるのか!?」


 どこからか話を聞いたストブが戻ってきて、大声でこう言った。


『な……なんだ今の声は? リナサ、ハリアの村に行ってるんじゃないのか?』


「新人さんみたい。クリムお姉ちゃんの友達だって」


『クリムちゃんの友達か……』


 その時、ストブがリナサから携帯電話を借り、タルトに話を始めた。


「どもーっす‼ 私はストブって言います‼ なんかやばそうなんで、私達もそっちに行っていいですか!? いいですよね‼」


「いい加減にしなさいお馬鹿‼」


 ここでクララが現れ、ストブから携帯電話を奪ってリナサに返そうとした。だが、ヴァーナが携帯電話を受け取ってしまった。


「我はクリムの友達、雷使いのヴァーナ‼ 我の力が欲しいか? 欲しいなら貸してやる‼」


「言葉を考えなさい‼ タルトさんはエイトガーディアンのリーダーですよ‼ あんたは入りたての新人‼ 格が違うのよ‼」


 クリムは携帯電話をヴァーナから奪い、リナサに渡した。


『な……何かいろんな子が入ったね』


「どうするタルトさん? 魔力を感知してみたけど、この人たちからすごい魔力を感じるよ」


『うーむ……』


 タルトはしばらく考え、そこから編み出した答えをリナサに伝えた。




 それから数分後、シュウとクリムのバカップル。そしてストブたちとジャック、リナサがエクラードへ向かうバスに乗り込んでいた。


「何で俺が……」


「すみません。ストブたちのお目付け役として一緒に仕事をお願いします」


「俺以外にもいるだろうが。シュガーとかラックとかミゼリーとか。他にもティラさんとか」


「師匠はまずいです」


「……だな」


 バカップルとジャックが会話をする中、クララがシュウに話しかけてきた。


「エクラードの復興で何かが起きてるんですよね」


「裏ギルドが復興の裏で動いているみたい。父さんの方がもう動いているようだから、しばらくしたら連絡が入るかもしれないから、待とう」


「はい」


「仕事の話はいいから、今はジュースでも飲もうぜ‼」


「少しは気楽にいかないと駄目だよーい」


 と、ストブとドゥーレが無理矢理クララにオレンジジュースを飲ませた。それから慌ただしい声がバス内に響き渡った。


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