新たなる仲間達
クリム達の親友達がハリアの村にやってきた。その事を聞いたジャック達は珍しそうにストブ達を見に向かった。ジャック達が集まってきたところで、クリムの親友達は自己紹介を始めた。
「では私から」
と、クララは立ち上がって自己紹介を始めた。
「私はクララ・バブルボンです。クリムとはチュエールで修行をしていた仲です」
そう言ったのだが、後ろにいたストブ達が立ち上がって自己紹介を始めた。
「私はストブ・ディアルト‼ 強い奴がいたら勝負しようぜ‼」
「我が名はヴァーナ・エレクトリック‼ 電の使い手、ヴァーナ・エレクトリック‼」
「どもー、私はドゥーレ・チェリーツリー。自由な人でーす」
「がああああああああああああああああああああああああああああああ‼ まだ私の自己紹介が終わってないでしょうがァァァァァァァァァァ‼」
クララの叫び声と共に、ストブ達は吹き飛んだ。こんなハチャメチャな自己紹介を見て、ジャックは冷や汗をかきながらクリムにこう言った。
「なぁ、あれが本当にクリムの友人なのか? 賢者の修行場で共に修行してた子達なのか?」
「はい。いつもみんなあんな感じです」
クリムの説明を聞き、ジャックは少し焦り始めた。何でこんな子達がここに来たのか分からないからだ。
「で、ここに来た理由は何ですか?」
ラックがこう聞くと、クララは咳ばらいをして説明を始めた。
「チュエールの方から、クリムを狙う元賢者候補を倒して拘束せよと連絡が入りました」
「今日からここのギルドに世話になっから、よろしくな‼」
ストブの言葉を聞き、ジャック達は驚いた。その時、ギルドの事務員が慌ててジャック達の方へやってきた。
「すみません、皆さんに新入りの子達が来る事を伝え忘れました‼」
この言葉を聞き、ジャック達は少し呆れた表情となった。
「まったくも~、私の事は大丈夫なのに~」
クリムはこう言いながらストブ達にギルドの話をしていた。ストブ達はクリムの話を聞きながらギルドを見回っていた。
数分後、紹介と説明を終えたクリムはキッチンへ戻り、ストブ達の方を見てこう言った。
「これで説明は以上です。分からないことがあったら私か先輩に……」
ストブ達を見回したクリムは、ヴァーナがいないことに気が付いた。
「ヴァーナはどこ?」
「あそこ~」
と、ドゥーレが外を指さした。そこにはギルドの別室の屋根の上にいるヴァーナがいた。
「ちょっと待っててください」
クリムは外に出て、空を飛んでヴァーナに近付いた。
「何やってるのよヴァーナ‼」
「見て分からないのかクリム」
「分からないから聞いてるんでしょうが」
「フッ……なら答えてあげよう……」
ヴァーナは風が止むのを待ち、どや顔でクリムにこう答えた。
「風の声を聞いていた……」
「アホな事言ってないで、下に降りるわよ」
話を聞いて呆れたクリムはヴァーナを引っ張り、下に下ろした。そんな様子を見て、シュウはぽかんとしていた。
「変な子だな……まるで中二病だ」
「中二病なの。本当にしょうがないわね、まだ直ってないようだし」
クララはため息を吐いてこう言った。
その日の夜。キッチンではストブ達がギルドに入ったことを祝って宴をしていた。
「酒じゃ酒じゃ酒じゃァァァァァァァ‼」
「ティラさん、落ち着いて飲んでください」
「無理矢理酒絶ちされてたんだ、その分まで飲み干すぞ‼ そのまま村中の酒を飲み干すぞ‼」
そんなことを言いながら、ティラは樽に入った酒を飲み始めた。
「全くあの人は……」
「ストブ達が来たことを祝う宴なのに」
と、バカップルはイチャイチャしながら会話をしていた。そんなバカップルを見て、ジャックがツッコミを入れようとしたのだが、その前にクララがツッコミを入れた。
「クリムも言える立場じゃないでしょ!? イチャイチャしながらよく言えるわねぇ‼」
「このギルドではいつもこんな感じですよ~」
「そーなの!? チュエールで修行してた時は私と同じ真面目なイメージがあるのに」
「普段は真面目ですが、先輩といる時はいつもイチャイチャしてまーす」
「ああ。いつもこんな感じだ」
シュウの声を聞き、クララは呆れてその場に座った。
「真面目なクリムのイメージが崩れ去ったわ……」
「私はそうだと思ったんだけどね」
と、ドゥーレは焼き鳥を食べながらこう言った。そんな中、ステージ上から歓声が上がった。
「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ‼ これが私の爆炎演武どぅあー‼」
ステージの上では、ダンサーのような恰好をしたストブが炎の魔法を発し、それを振り回しながらダンスを踊っていた。その姿を見たクララはすぐに水の魔法を発し、ストブにぶっかけた。
「何するんだ!?」
「室内でこんなことをしたら家事になるでしょうが‼ 場所を考えなさいよ‼」
「いいじゃないか皆が楽しんで見てたぞ‼」
「私が止めなさいって言ってたのにねぇ……」
様子を見ていたミゼリーが、クララにこう言った。
「ミゼリーさんでしたね……あなたも大変そうで……」
「これからもっと大変になるわよ。覚悟しておいた方がいいわ」
ミゼリーはそう言うと、クララにウインクをしてさって言った。先ほどの言葉を聞き、クララは心の中でこう思った。これじゃあクリムの護衛どころではないと。