クリムの友人
ギャザーとの戦いが終わり、数日が経過した。その日、バカップルは休日だった。だが、別々の行動をとっていた。クリムはシュガーに連れられキッチンでおしゃべり中。話によれば、その中にティラやミゼリーもいるという。女子は女子で話をしているため、シュウは仕方なく一人で買い物に出かけた。
シュウが向かったのはよく使用している銃の店。そこの店主がシュウの姿を見たとたん、読んでいた新聞を机に置いて立ち上がった。
「よーシュウちゃん‼ 一人で買い物か?」
「クリムがシュガーに連れられてね」
「それで一人寂しくお買い物ってわけか。はっはっは‼」
店主はそう言うと、棚の前に移動して銃の弾丸が入った箱をいくつか手に取り、シュウに渡した。
「ほれ。目当てはこれだろ?」
「ありがとうございます」
「いつもシュウちゃんが買う弾丸だから分かるんだよ。あと、銃の部品も入ったから買っとく?」
「はい。お願いします」
その後、買い物を終えたシュウはギルドへ戻ろうとしていた。その時、携帯電話を持ってうろうろしている見慣れない女の子がいた。何かあったのかと思い、シュウは声をかけようとした。だが、その前にその女の子がシュウに気付いた。
「あ、あなたは確かクリムの彼氏さんですよね?」
この言葉を聞き、シュウは驚いた。自分の事はニュースで何度も取り上げられてるため、全世界的に顔は知られているため、そこに驚きはしなかった。だが、謎の少女がクリムの事を呼び捨てにした事に驚いているのだ。
「あれ? クリムってチュエールの事を彼氏さんに言ってないのかな?」
「少ししか聞いてないけど……それより君は一体何だい?」
シュウの言葉を聞き、その少女は慌てて頭を下げた。
「紹介が遅くなってすみません‼ 私はクララ・バブルボンと言います。チュエールでクリムと一緒に修行をしてました」
クララの紹介を聞き、シュウは全て納得した。
「クリムのチュエール時代の親友か。クリムに会いに来たの?」
「ええ。それとギルドにも用があるんですが……」
と、クララはこう言っているが、何かを探してるかのように周囲を見回していた。
「誰か知り合いでも探してるのか?」
「はい。事情はギルドで伝えます。ですが……あの子達本当に変わってないわね」
クララは呆れたように呟いた後、携帯電話を使って何かをし、シュウにこう言った。
「知り合いも来ると思いますが、先にギルドへ向かいます」
「ああ……分かった。案内するよ」
その後、シュウとクララはギルドへ向かって行った。
ハリアの村のギルド、何らかの気配を感じたクリムは慌ててキッチンから外に出た。そして魔力を発して宙を飛び、ギルドの建物の頂上へ向かった。
「はぁ……ここに来るんだったら連絡位よこしてよ」
クリムは目の前にいる二人の少女にこう言った。そこにいた金髪の少女がカッコつけたポーズでクリムの方を振り向き、話し始めた。
「フッ、お前ならば私達が来るぐらいオーラで察すると思ったんだがな……」
「今日風が強いから私の風と混ざっちゃったんだよ、きっと」
「はいはい。馬鹿なことをしている暇があったら下に来てください。私に用があるんでしょ?」
「それとこのギルドにもな……」
クリムはその二人の少女と共に地面に降り、周囲を見回した。
「クララも来てるのね。それと……遠くだけどストブの魔力も感じるわ」
「いやー、皆集合してるね。よかったよかった」
「よかったじゃないですよ。一体何のためにここに……」
その時、クリムはシュウと共に歩いているクララを見つけた。
「クリムー、久しぶりー」
「クララ。先輩と会ったんですね」
「結構優しいね、あなたの彼氏さん」
クララにこう言われ、クリムは少し照れ始めた。
「彼氏って……いや~、そんな事言われたの初めてです~」
クリムが照れ始める中、シュウは見慣れない二人の少女を見てこう聞いた。
「この二人もクリムの友人なのか?」
「はい。実はあと一人来てるんですが、まだ遠くに……」
「はぁ、道に迷ってるのかしら?」
クララがため息とともにぼやいた後、突如遠くの方で火の玉が発した。それを見たシュウは驚いたが、クリム達は呆れた目つきで火の玉を見ていた。
「何だあれ!?」
「ストブね」
「ストブだな」
「まーた変なことしてるー」
そんな中、火の玉は次第にシュウ達の方へ近づいて来ていた。クリムはクララに近付き、こう言った。
「水を出して止めましょう」
「あの馬鹿の事だし、自分で止めれないからね」
その後、二人は同時に水の魔法を発し、火の玉を消し始めた。クリムの水の量、威力についてはシュウは分かっているが、クララが発する水の魔法を見てシュウは驚いていた。クリムと同じくらいの威力だからだ。
「すげー威力……クリムと同じだ……」
「クララは水の魔法を極めたからね、クリムと同じくらいの力を持ってるよー」
と、緑色の髪をしたポニーテールの少女がこう言った。その後、火の玉は消え、そこには赤髪で短髪の少女が現れた。
「いやー、悪い悪い。テンション上がって魔力爆発させたらこうなっちまったぜー」
「全く、あんたを止める私達の身にもなってよ」
と、クララはその少女にこう言った。そんな少女達を見て、シュウは小さく呟いた。
「クリムの友達か……すげー子達が来たな」