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バカップルの温泉旅行

 神罰の代行者の事件が収まって一ヶ月ほど経過した。怪我をしたタルトが復帰、武器が戻ったスネックも復帰したという事で、バカップルはハリアの村へ戻って仕事をしていた。


「シェラールの仕事と比べると……」


「何だか簡単な仕事が多いですね」


 依頼を終えたバカップルは帰ってきたと同時にこう言った。シェラールにいた時はいろんな難題を解決してきた。その為か、バカップルは強くなっているのだ。当のバカップルはその事に気付いてないが。


 バカップルがギルドのカウンターに戻ると、そこにはタルトの姿があった。


「父さん。どうしたの?」


「帰りを待ってたんだ。シュウとクリムちゃんに渡したいものがあってきたんだよ」


 と言って、タルトはバカップルにチケットのような物を渡した。


「これって……有名な高級温泉宿、キラリのチケットではありませんか‼ 普通に買うと10万近くするのに‼」


「そんな、いいの父さん?」


「ああ。二人にはずいぶん世話になった。二人のおかげでいろんな事件を解決できたのだからな」


 そう言って、タルトはバカップルにチケットを渡した。バカップルは喜んでいたのだが、その光景を見ていたジャックはタルトに近付いた。


「いいのか、あの二人にあんなのを渡して?」


「どういう意味だ?」


「温泉街だ。俺達邪魔者がいない二人っきりの個室で何をするか分からんぞ」


 ジャックの言葉を聞き、タルトの頭の中にはいろんな光景が流れた。そして、頭を抱えて悩み始めた。


「私、プレゼントの選択を間違えたかも……」


「二人はもう温泉へ行く気満々だぜ。もう予定まで組んでる」


 ジャックはうきうきと話すバカップルを見て、小声でタルトにこう告げた。その後、ジャックはタルトにこう言った。


「作戦会議をしよう。出れる人物でバカップルを見張るぞ」




 数日後。高級温泉街キラリにバカップルはいた。


「うわー、大きな宿ですねー」


「周囲も自然がたくさんで気持ちのいい場所だな。流石高級宿」


 バカップルはうきうきと話しながら宿へ向かったが、その後ろには後を付けているジャック、タルト、ティラ、ナギがいた。


「むき~~~~~‼ シュウさんと一緒に温泉街でイチャラブだなんて、羨ましい~‼」


「そうカッカすんなよナギちゃん」


 ジャックが呆れながらナギの頭をなでていた。そんな中、タルトは震えながらこう呟いていた。


「私、42なんだけど……え? もう少ししたら私おじいちゃんって言われるよ。まだ若いのに、そんなおじいちゃんだなんて……」


「阻止すりゃーいいじゃん。あいつらがあれこれする前に止めればいいんだよ」


 と、ティラはタルトを励ましていた。しかし、彼女は心の中でこう呟いていた。


 ラッキー、今日はギルドの予算が出てるから、タダで酒が飲みほうだーい。


 嫉妬して暴れだす寸前のナギ、いろいろと混乱しているタルト、酒の事にしか頭にないティラ。このメンバーを見て、ジャックは大丈夫かと思っていた。


 その後、ジャック達はバカップルの追跡を始めた。温泉街だけあって、中には温泉まんじゅうを売る店や、名物のマスコットキャラクターのキーホルダーなどが売られていた。


「うわー、かわいいー」


 ナギはキーホルダーを手にしてこう言ったが、追跡がばれると言ってジャックが止めた。


「今日はあのバカップルの追跡だ。遊びに来たわけじゃない」


 ジャックの言葉を聞き、ナギは返事をした。その時、タルトは周囲を見回してこう聞いた。


「なぁ、ティラさんはどこにいるんだ?」


「あ……あれ? いつの間にかいない」


 その直後、近くの酒場でにぎやかな声が聞こえた。もしかしてと思い、ジャック達は酒場に向かった。


「ハッハッハー! ここの酒は美味いなー‼ どんどん持ってこーい‼」


 ティラが中に入っていて、もうすでに飲んでいたのだ。ジャックは少し怒りながらティラに近付いた。


「おいティラさん‼ あんた、俺達が何のためにここに来たのか知ってるのか!?」


「シュウとクリムの追跡だろ? だいじょーぶだよ。あの二人なら一線を超えないようにすると思うから」


「あの二人を信頼しているのか?」


「まーねー。私がそうしないように育てたしねー」


 と言いながら、ティラは酒を飲み始めた。しょうがないと思いつつ、ジャック達はティラを置いてバカップルの後を追って行った。しかし、ティラの相手をしたせいで、バカップルはどこかへ行ってしまったとさ。




 その頃、バカップルは足湯にいた。


「気持ちいいですね~」


「そうだな~」


 バカップルは足湯に浸かり、日ごろの疲れを癒していた。シュウが癒されていると、クリムが横に近付いてきて、頭をシュウの肩の上に乗せた。


「先輩と二人っきりでこうしていられるの、本当に久しぶりな気がします」


 この言葉を聞き、シュウは思い出した。シェラールにいた時はろくにクリムとイチャイチャできなかった。しようとした時にリナサやナギが入ってきたり、おちょくるためにフィアットが扉を開けて入ってきたりした。そんなこんなで、バカップルはいちゃつく時間がなかったのだ。


「今日は思う存分イチャイチャしような、クリム」


「はい、先輩」


 クリムはシュウの笑顔を見て、ニコッと笑った。

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