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糸口を掴め

 裏ギルドの脱走、そして自爆騒動から一週間が経過した。この騒動のせいで、シェラールの主要施設はほぼ爆破されてしまった。その為、神罰の代行者は次はどこを爆破しようか考えていた。


「一気に爆破するのも問題だったな……」


 そう呟きながらネットサーフィンをしていると、とある書き込みが目に入った。


『神罰の代行者って何考えてるか分からないよ。頭のねじがぶっ飛んだんじゃねーの?』


 この文章を見て、明らかに自分の事をよく思っていない人物であると神罰の代行者は考えた。それから次々とこの文章に対して、批判的なコメントが送られた。そのコメントを見て、神罰の代行者はにやりと笑って呟いた。


「馬鹿な奴だ。神罰の代行者を馬鹿にしたらどうなるか分からないんだね」


 その後、別のパソコンでネットを見ていたが、新たな書き込みがあった事を示す音が聞こえた。馬鹿な奴がまた何か言いに来たかと思い、その画面を見て文章を確認した。そこにはこう書かれていた。


『こんな騒動を起こして、人も爆殺して、何が神罰の代行者かっつーの。ただの快楽殺人者じゃねーか‼』


「快楽……そんなものの為にやってるわけじゃないのに」


 またもそのコメントに対し批判的なコメントが流れだし、神罰の代行者はほくそ笑んだ。だが、その人物は続けてこうコメントした。


『お前ら馬鹿じゃねーの? 変な殺人者の味方してるが、あいつのことをちゃんと理解しているのか?』


 それからコメントには、『ちゃんと理解しているさ‼』『腐った世界をただす唯一のヒーローじゃねーか‼』などと言った神罰の代行者を支持するようなコメントが現れた。だが、その中で一つ、こんなコメントがあった。


『そうだな……急に現れていろんなものを爆発した。狙いは政治家か有名人だと思うが、その巻き添えで死んだ人もいるだろうし』


 このコメントが流れた直後、このコメントに同感するようなコメントが流れ始めた。まずいと思った神罰の代行者は、慌ててキーボードの前に座り、コメントを入力した。


『我は神罰の代行者なり。我のやり方に反する者は、どうなるか理解しているはずだ』


 この直後、本物の神罰の代行者が現れたことで興奮したユーザーが、喚起するコメントをし始めた。しかし、あの人物の態度は変わらなかった。


『お前が本物の神罰の代行者か。こんな時間から暇人共が集まる場所でコメントするなんて、相当暇なご身分なんですねぇ』


 コメントを見て、苛立った神罰の代行者は勢いに任せて返事を返した。


『我は常日頃、神罰を落とす場所を考えているのだ。暇ではない』


『神罰を落とす場所を考える。どーせテレビやネットを見ながらポテチ食ってぐーだらしてるだけだろ。汗水流して働く人の方がよっぽどかっこいいぜ』


 すぐに帰ってきた返事を見て、神罰の代行者はさらに怒り出した。


『暇ではないと言っているだろう‼ これ以上我を侮辱するのは止めろ‼』


『侮辱? そんなことをしたつもりはないぜ、神罰の代行者さんよ。もしかして……だらだらしすぎて豚さんになっちまったのか? こりゃ傑作だ、神罰の代行者の正体が豚さんだったなんてな』


 自信を侮辱する言葉は止まらない。怒りのあまり、神罰の代行者はキーボードを殴ってしまった。だが、すぐに我に戻って返事をした。


『我は豚ではない‼』


『なら、証拠を見せろよ。豚じゃないんだろ? 人間なんだろ?』


 と、相手はこう求めてきた。こうなったら仕方ない。神罰の代行者はこう思いつつ、ハッキングソフトで相手の返事を解析し、パソコンとその場所を特定した。そして、自身が作った別のパソコンをオーバーヒートさせて爆発させるソフトを起動し、相手のパソコンを特定して爆破するように操作した。


「ふっ、逆らうからこうなるんだ」


 神罰の代行者はにやりと笑い、安堵の息を吐いた。




 シェラールのギルドの一室。そこでパソコンを操作していたクリムが、ある物を手に入れていた。


「やっと手に入れましたよ。神罰の代行者の居場所が」


「すげー、こうやって相手の情報を取る事が出来るのかよ」


 ハヤテが見ていたのは、クリムがわざと神罰の代行者を挑発し、自分が使うパソコンを爆破するように陽動した光景だった。その為、クリムはパソコンの事を学びに行ったのだ。先にパソコンが爆破されないように、すでに冷却用のプログラムを入れるなどして、態勢を整えてある。


「場所は……シェラールの駅近くの廃ビル。確か、あのコンビニ爆破事件の近くだな」


 ボーノがパソコンに表示されている住所を見てこう言った。その後、ハヤテとボーノは準備を整え、部屋から出ようとした。


「うし‼ 神罰の代行者をとっちめに行くぜ‼」


「奴にはいろいろとされたんだ。ぶっ飛ばしてやるよ‼」


「はい。その通りです」


 クリムはパソコンの電源を消し、ゆっくりと立ち上がった。


「あいつには、自分自身がどういった罪を背負ったか思い知らしめてやります」


「そうだな。あの騒動でたくさんの人が死んだ」


「裏ギルドの連中もいるが……」


「それでも、命であることには変わりません。では行きましょう、奴が逃げないうちに」


 クリムはこう言って、ハヤテとボーノと共に廃ビルへ向かった。

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