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クリムの大反撃、そのための準備

 ジャックとラックは目の前の惨劇を見て、目を丸くして驚いていた。


「何だよ……これ……」


「夢、ではないですよね……」


 二人の目の前で、連行した脱走犯が大爆発を起こしたのだ。充満した黒い煙の中から、ミゼリーやシュガー、エイトガーディアンの戦士が咳き込みながら姿を現した。


「おい、大丈夫か!?」


「ああ、何とかな」


 ボーノはジャックに近付き、仲間の無事を確認して話を続けた。


「一体何があったんだ?」


「俺が知りたいよ。急に奴らが爆発したんだ」


「何か仕込んでいたんですかね?」


 キャニーがこう言うと、ミゼリーが煙を払いながらこう言った。


「今となっては、分からないけど……」


 煙の中から、爆発によって散乱した服の破片や脱走犯が身に着けていた首輪の破片が見えた。ミゼリーは首輪の破片を手にし、皆に見せた。


「この首輪、少し熱いわね」


「もう少し調べてみましょ」


「何か分かるかもな」


 ハヤテとナギの言葉の後、ジャック達は話をして次の行動を考えた。話の結果、首輪の破片を調べる班と、怪我人を助ける班で分かれることにした。


 作業開始から数分後、瓦礫が崩れる音が聞こえた。ボーノが後ろを振り返ると、そこにはスネックとティラが立っていた。


「大丈夫か?」


「スネック、ティラさん」


 スネックとティラはボーノに近付き、状況を聞き始めた。


「そっちも大規模な爆発があったようだな」


「その言葉からして、お前の方もあったのか?」


「ああ。俺が戦ってた野郎が爆発した」


「私もだよ。いきなりだからびっくりしたさ」


 言葉の後、ティラは周囲を見回して何かを探した。


「あり? シュウとクリムは来てないのか?」


「まだ見たいだが……」


 その時、ナギの悲鳴が聞こえた。何か見つけたと思ったボーノは、ナギに近付いた。


「どうした?」


「シュウさん‼」


 ナギが見たのは、気を失ったシュウを魔力で背負ったクリムの姿だった。バカップルの姿を見て、ボーノは慌てて近付いた。


「そっちはどうだ?」


「私達が戦ってた奴は爆発をしました。先輩は私を庇って……」


 クリムの言葉を聞き、ボーノの顔が青ざめた。すぐにシュウの様子を見て、安堵の息を吐いた。


「火傷や打撲、骨は折れてると思うが、生きているようだ」


「ですが……先輩をこんな目に合わせた奴を……私は絶対に許しません」


 その後、クリムはシュウをシュガーの元へ連れて行き、治療を頼んだ。


「手当はするけど、後で病院には行くから」


「そのあとの事はお任せします。私は神罰の代行者を捕らえに行きますので」


 この言葉を聞いたシュガーは驚き、クリムに尋ねた。


「捕らえにって、場所とか分かったの?」


「分かりません。しかし、先輩に酷い事をした奴を追い詰めるため、徹底的に奴を追い詰めます」


 そう言って、クリムはどこかへ去って行った。




 翌日。クリムはシェラールのとあるビル街に来ていた。


「ここですね」


 クリムの目の前には、シェラール一有名なパソコン教室の看板があった。その部屋に入り、クリムは事情を説明して奥へ入った。


「やぁ。有名なバカップルが来るなんて思ってもなかったよ。あれ? 彼氏さんは?」


「今、仕事で怪我をして入院中です」


 クリムは教室の先生にこう言うと、続けて話をした。


「少し、私の仕事に協力してもらいます」


「拒否権は無いのか。ま、こんな状況だから生徒誰一人来ないし、暇だからいいよ。で、何をしたいの?」


「パソコンについて教えてください。パソコンの操作ではなく、内部的なことについて」


「応用や専門的な知識のあれこれを知りたいってわけか」


「はい。しかし、私が知りたいのは一部の知識だけです」


 クリムの返事を聞いた後、先生は指を鳴らした。


「で、何を知りたいの?」


「ハッキング対策とパソコンの冷却方法。そして、ハッキングされた時、逆にハッキングした相手の情報を抜き取る方法です」


「それらの話になると、完璧に理解するのに時間がかかると思う。それでもいいかい?」


「はい」


 クリムの返事の後、本格的なパソコンの話が始まった。その話を聞き、クリムは知りたかったことを全て理解する事が出来た。


「ありがとうございます」


「いえいえ。ギルドの力になれて光栄です」


「あなたのおかげで、神罰の代行者を捕らえる事が出来そうです」


「本当かい? 私が力を貸しただけであいつを捕まえられるとは」


「吉報をお待ちください。では、失礼します」


 話を終え、クリムは教室から去って行った。


 その後、クリムは病院へ向かい、入院しているシュウの元へ向かった。


「クリム」


 シュウの部屋にはすでにリナサとナギがいた。ナギはチョコらしきものを口に入れ、シュウにキスしようとしていた。リナサは慌ててナギを止めようとしていたが。


「何やってるんですか?」


「く……口移し」


「素直でよろしい」


 クリムはそう言った後、ナギは悔しそうにチョコを食べ始めた。


「神罰の代行者は捕まえられそうか?」


「はい‼ そのために先ほどパソコン教室へ行って、知りたいことを学んできました」


「知りたいこと?」


 シュウがこう尋ねると、クリムは話を続けた。


「神罰の代行者がどうやってパソコンを爆破するか仕組みは理解しました。それを利用して、奴の居場所を特定します」


「大丈夫なの、クリムお姉ちゃん?」


 リナサが心配そうに聞いてきた。クリムはリナサの頭をなで、こう言った。


「大丈夫です。私は賢者ですから」

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