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悪を貫く弾丸

 銃剣を持つスネックを見て、グルザークは心の中で彼を見下していた。一度、ハチェーズTVで戦った時は簡単に武器を破壊する事が出来、戦闘不能にする事が出来た。今はボックスアーマーや愛用の剣はこの場にないが、街中という場所を利用し、戦おうとグルザークは考えていた。


「来ねーならこっちから行くぜ‼」


 スネックは銃剣を剣のように構え、グルザークに向かって走って行った。


「仕方ねー」


 防御できるものを探し、グルザークはとっさに近くにあったパイプを盾代わりにした。これなら何とか防御できると予想していたが、グルザークの考えは外れた。銃剣はバターを切るように簡単にパイプを斬ってしまった


「なっ……」


「魔力を込めればその分威力が上がるようになってんだよ」


「魔法の刃が出る仕組みか。厄介なのを手にしやがって」


 舌打ちをしながら、グルザークはスネックから距離を置いた。逃げるだろうと考えたスネックは、銃剣を持ち換えて銃のような構えをとった。


「逃さねーぜ」


 この直後、銃剣から勢いよく銃弾が放たれ、グルザークの脇腹をかすった。飛んでくることを予測してかわしたのだが、この弾速は予測できていなかった。


「早い……」


「まだ弾はあるぜ」


 その後、スネックはグルザークに狙いを定めて銃を撃ち始めた。グルザークは何とか避けながら、弾切れを狙っていた。


「ん? 弾がねーか」


 スネックの呟きを聞き、弾切れだと判断したグルザークは、大きな魔力の刃を発して襲い掛かった。


「隙あり‼ 死ねェェェェェェェェ‼」


「そう簡単に事は行かねーぜ」


「何!?」


 スネックが銃を構えたのを見て、グルザークは驚いていた。弾が切れたため、リロードをしなければ銃は使えない。剣としても利用可能だが、構え方が違う。


「何をするつもりだ?」


「喰らってみればわかるさ」


 スネックがこう言うと、引き金を引いた。銃口から放たれたのは、魔力で作られた弾丸だった。


「いざという時の為に、魔力で作った弾丸を数発マガジンの中にいれてんだよ。実弾の方が好きだが、戦いとなるとロマンとかそういうのは考えないんでね」


 魔力で作られた弾丸は、グルザークの右肩を貫いた。この一撃で、骨も貫通したと確信したグルザークは、すぐに治療をしようとした。だが、スネックはグルザークの左手を銃剣の刃で貫いていた。


「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


 グルザークの左手は、地面に押し付けられる形で剣に突き刺さっている。スネックが銃剣を回す度、左手の傷が広がって行く。


「止めろ……これ以上は……」


「好き勝手暴れた奴の言う事なんざ聞きたくねーな」


 スネックは銃剣を両手で握り、素早く手前に引いた。その攻撃で、グルザークの左手の一部が引き裂かれてしまった。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼ 俺の左手がァァァァァァァ‼」


「テレビ局で好き勝手暴れて、そんで脱走してまた好き勝手暴れる。こんなことをするなって言われなかったのか?」


「ハッ……俺の勝手だ……」


「そうか。じゃ、今からテメーをどんなふうに仕留めるかは、俺の勝手だ」


 その後、スネックは刃で何度もグルザークを斬り、止めの蹴りを喰らわせて後ろに飛ばした。


「グッ……」


 何とか持ちこたえたグルザークだったが、すでにスネックはリロードを終え、銃を撃つ構えに入っている。


「殺しはしないが、痛い目には合ってもらう」


 スネックは引き金を何回も引き、銃弾をグルザークに当てて行った。体の一部を弾丸で貫かれたグルザークは、血を流しながらその場に倒れた。グルザークが倒れた後、スネックは彼に近付いて呼吸を調べた。


「やりすぎてはいないようだ」


 グルザークがギリギリ生きていることを知り、スネックは端末を出してボーノに連絡を始めた。


「俺だ、スネックだ。グルザークは倒した。奴を捕縛次第援護に向かう」


『了解。こっちも雑魚の片付けは終わりそうだ。久しぶりの戦いで疲れてると思うから、ゆっくり来いよ』


「心配しなくてもいいぜ。久しぶりの運動だが、腕は鈍っていなかった」


『それならいいさ。ま、お前が来る前に終わらせるつもりで戦うよ』


「少しは俺の見せ場を残しておけ。まだ暴れたりないからな。じゃ、これから行く」


 連絡を終え、スネックはグルザークを縛った後、ボーノたちの所へ戻って行った。




 ナフは焦っていた。ティラが相手になるといった直後、ナフは彼女に向かって行ってはいけないあの言葉を言ってしまったのだ。


「君みたいなおばさんが相手か。フフフ……おばさんが俺の相手にふさわしくないな……」


 その言葉を聞いたティラは、怒りに任せて魔力を開放し、所構わず銃を乱射し始めたのだ。だが、ティラはただ無暗に銃を撃ってはいなかった。銃弾は確実にナフに向かって発射されているのだ。


 このままじゃあやばい……確実にあのおばさんに殺される。


 ナフは心の中でおどおどとしていた。これまで悪事の度にいろんな戦士と戦ってきたナフだったが、ティラはそれら以上の猛者であることを察した。この戦い、勝つよりもどうやって生き残ろうか、ナフは考え始めた。

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